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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#20 change my future
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336/342

#20-1 勝負の日


future

fjúːtʃɚ(米国英語)/フューチャー

意味:未来、将来、行く末、将来性など





#20 change my future





*****



 青い空。

 

 ゆっくりと目を開くと、そこには青空が待っていた。周りを見渡せば、ジンベイザメがポーズをとっている謎のオブジェにはしゃぐ子供達の姿が見える。


 空は高く清々しいほどに晴れていて、俺は私服でベンチに腰掛け、何かの入り口をぼんやりと眺めていた。


「え…………?」


 何をしていたんだっけ。俺。


 鞄の中の携帯をとりだす。カレンダーアプリで今日の予定をみたら、アクアワールド・マリアという文字。集合は10時。携帯の時間は9:50。


 その隣には指輪の絵文字。

 あぁ、そっか。今日は俺の勝負の日だ。


 鞄の中を確認すると、手のひらサイズの小さな箱が入っている。そうだそうだ。何をぼーってしてるんだ。


「あれ、龍斗?」


「光莉」


「まだ10分前だよ?」


「そっちこそ」


「ふふふ。お互い楽しみにしてたってことで!」


「はいはい。じゃ、行こう」


 俺の視界に横から入ってきたのは光莉だった。群青のロングスカートに白の清楚なトップス。いつも研究所では見ない服装。それに長く艶のある黒髪はアイロンで丁寧に巻かれて、光莉が歩くたびにゆらゆらと可憐に揺れる。その髪の隙間に見えた、耳につけられた青の宝石に思わずドキっとしてしまった。


 手を繋ぎ、中に入場する。


「すごーい、入り口からもう広いんだ!」


「天井高いなー。SNSでも見たけど、こういう幻想的な雰囲気いいな」


「ね。早く行こ」


「あぁ」


 手を繋いで入り口のゲートを抜ける。水族館らしく薄暗い館内の照明、まず目に入ってくるのは、壁に埋め込まれた水槽のなかのカラフルなお魚たち。揺れる水草の合間を赤や黄色、青の鮮やかな小魚たちが泳いでいく。


「ね、見てみて!これチンアナゴじゃない?」


「あー知ってる。ニシキアナゴ?」


「そうともいう!」


 水槽をじっと覗き込んで、水流に身を任せるそれを見てはかわいい〜と笑っている。どうやら随分とお気に召したようだ。


 俺はというと、水槽の中の明かりがユラユラと照らす光莉の美しさにチンアナゴよりも夢中になっている。


 その横顔が、


 ザザッ

「っ!?」



『酷いこと、龍斗にも、大事な子たちにもしたよね。ごめんね』



 一瞬とても悲しそうに泣いているように見えた。

 ノイズの走った視界はすぐに戻った。頭を抑えて俯く。なんだ今の。変な……記憶?


「えっどうしたの?体調わるい?大丈夫?」


「いや、別になんでも」


「無理しないでね?」


「うん、大丈夫。なんか変なの見えて」


「……疲れてるんじゃないの?」


「大丈夫。ほら、先に行こう。アザラシとセイウチがいるから」


「え?何で知って……まいっか!行こ行こ」


 入り口からの光もなくなり館内はさらに薄暗くなっていく。先にはアザラシが広々と泳いでいる。セイウチはその大きな前足?で波をたててガラスに打ちつけた。


 変だな。なんか見覚えがあるような気がする。


「すごい、大迫力!」


「……こんなでかいんだな」


「写真で見るより全然かっこいいね。牙とか鋭い……餌とか何食べるんだろう」


「……」


「龍斗?」


「……」


「ねぇ、ちょっと本当にどうしたの。黙ってないでよ。体調悪いんじゃない?」


「女の子」


「えっ」


「女の子、は?」


「女の子?誰?周りには誰もいないけど」


 そう言われてみれば、この水族館には誰もいない。おかしい。外には子供がいたし、友達と来たであろう学生も、家族連れも多かった。


 この水族館はアクアワールド・マリアの名物だ。なのにこんなに人がいないなんて、俺たちが貸切なんてありえない。だってあの時も家族連れでいっぱいで、迷子の子が。


 あの時?


「なぁ、光莉」


「どうしたの?ね、近くのベンチで休もう?」


「俺たち、ここに来たの初めてだよな」


「うん?……わ、私は初めてだけど。龍斗も初めてって言ってなかった?」


「そう……だよな」


 あの時って、なんだ。


 こめかみに手を当てる。思い出せない。肝心なところがモヤがかってはっきりとしない。


 何か大切なことを俺は忘れている。

 本当に本当に大切な、何かのこと。


 でも、今の俺が大切にすべきは、


「あーーごめん。なんか寝ぼけてたわ」


「ちょっと!」


「変な夢?みたいなの見て。ははは」


 肩に手を置いて微笑む。俺の大切な人は今目の前にいるじゃないか。よくわからないことは一度振り切っておこう。貸切状態なんてラッキーだと思おう。


 先に進めばペンギンが暮らす山が待っている。身を寄せ合って集まっている子もいれば、水中をスイスイと泳ぐ子もいる。水の中を見通せるガラスの展示で、ちょうど真ん前を通り過ぎていくペンギンに驚いた。


「速い!すごーい!」


「見てみて、奥のアイツお腹ぷくぷくだよ」


「ほんとだ!かわいい~~!ね、帰りにお土産見ていこうよ。ぬいぐるみとかあるかも!」


「いいね。あのペンギンの顔ちゃんと覚えとこ」


「わかる?違い」


「3割ぐらい」


「ひっく」


 笑いながら先に進む。先には天井が2階までつながった吹き抜けになっており、高い天井にはクラゲを模したようなひらひらした飾りが緩やかな風に揺られている。その近くにはクラゲの水槽。色とりどりの水槽の中で水流に揺られるクラゲたち。じっくり見る人が多いからか、近くにはソファが設置されていた。


「クラゲっていくらでも見れるよねぇ」


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