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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#14 Bravery in my heart
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#14-17 おそろいの眼帯、不揃いの会話

 

 会場の中溢れるオルガーにパニックとなった人々があれよこれよと逃げ惑う。


「はい皆さん上はダメです下下下!!下の広間で固まっててください、はいそこ走らない!!」


 龍斗は警備員と共に中で避難誘導を行っていた。オルガーが出たってことはザセルが来ている。優也と海美ちゃんは外で戦闘してるなら中のオルガーをなんとかできるのは俺だけだし、避難誘導よりザセル探したいんだけど……!


 けれど龍斗の周りは人で溢れ返り、そもそも動ける状態ではなかった。それにオルガーによって変異が連鎖すればこちらが不利。なら、まずは邪魔な乗客を減らしてからザセルを探すしかないと判断したところだった。


 流れる人々をいなす中、一際ボディガードの多い男が上へと移動するのが目に入る。何してんの!


「こらそこの男!上はあぶな……って、鮫島厳夫!?」


「んん?なんだね君は」


「おい何してんだ!?上は戦ってる、危ないから下に逃げろ!!」


「君は……そうか。上には娘がいるんだ。この船なんぞ沈んでもいいが、娘だけは回収しなければな」


「は!?話聞いてます!?」


「どうせ孤虎くんも一緒だろう。彼が戦っている間に娘と逃げることにするよ。上なら特別なモーターボートもすぐに出せるようにしているし、数秒ですむ。娘がサメジマの血を継いだ最後の子だ。必ず回収させてもらうぞ」


「アンタ死ぬぞ!?」


「死なせないのが君たちの任務だろう?任せたよ」


「ちょ、ま、」


 静止を振り切ってスタスタと空いた上り階段から甲板へと行ってしまう。いやダメだって上は上で忙しいんだよ!それで気を割かれた優也と海美ちゃんに何かあったらどうしてくれんだよ!!


 人混みの合間を縫って近づき腕を伸ばす。あと、あともうちょ────


「────っ!」


 その瞬間、伸ばした腕に勢いよくシュルルっと植物の蔦が絡まる。そのまま体が釣り上がり、横にブンと乱暴に投げられ壁に叩きつけられた。その衝撃に酷くむせこんでいるとコツ、コツ、と高いヒールの音が近づいてくる。


 来たな。避難する客が流れる方向とは別方向にぶん投げられたおかげで人もいない。絶好のチャンスだ。そう顔を上げると予想外のその姿につい驚きと笑いが飛び出た。


「ゲホッ……ぁあー、ん!?あははっ!あはははははは!美人が台無しだなぁおい!」


「嵐巻龍斗……!」


「そんな睨むなって!折角お揃いなんだから」


 黒いレースが可愛らしいドレスに緑のカーディガンを合わせた美女。その綺麗な顔には眼帯がかかっており右目で龍斗を強く睨んでいる。


 龍斗はゆっくりと立ち上がり汚れたスーツをパタパタとはたいてズレた眼帯を掛け直す。この潜入用のスーツ、結構高いやつなのにもったいない。そうぼやきながら拳の骨をポキっと鳴らした。


「殺す……!」


「あー前回のご自慢の作戦潰されてご立腹ってわけ?あはは、いつも淑女ぶって結局中身はガキってわけか」


「うるさい!!ただの研修生ごときが頭でアタシに勝ったと思ってんじゃないわよ!!前回は孤虎利人が作った計画だし!?アタシはアンタなんかに負けてない!!」


「!」


 研修生……研修生って、事件の時の話か。


 というか何で俺が研修生ってことまで知ってる?知っていたとして何でそれでキレる?何がそこまでザセルをイラつかせているんだ?


「……あぁそうだよな。ちゃんとした研究者様ならもちろん研修生なんかに負けるわけない。よっぽどダメなやつじゃなきゃね」


「アタシに指図してんじゃないわよ!その調子に乗った口、永遠に黙らせてやる!」


 否定せず乗ってきた。光莉の体を使っている奴は研究者ってことだ。え?ちょっと待てよ?


 ドクン、と龍斗の心臓が跳ねる。



 コイツ、俺の知ってる誰かか?



 頭の中の記憶をひっくり返して探し出す。


 言い方的にあの日あの事件の時研究者だったに違いない。それもなかなか厄介なプライド──立場の低い者から正しい指摘を受けて激昂するような──もはや意地と呼んだ方がいいそれを抱えている。


 一人称からするとおそらく女性。あの頃の研究者の中の女性ってこと?それが光莉の体を乗っ取っとり孤虎教授に濡れ衣を被せたコトラ事件の真犯人じゃないか?


 ザセルが腰下から胸元あたりまで掌を上に手をゆっくりとあげるた足元から植物が床を裂いてメキメキと生える。そのままクルッとその場で反時計回りに回転し、その回転に合わせて植物がザセルの体を這う。回転のまま左手を前に向け、パチンと指を鳴らす



「変身」



 体に絡みついた植物が体の中に取り込まれていき目は隠され、緑のショートドレスと側頭部の紫色の花が咲く姿へと変身する。いつもの余裕の笑みこそないがザセルの人ならざる姿がそこに顕現し、龍斗へ向けて尋常ではない殺意を発していた。


「……とりあえずやるしかねーか」



 Storm!Ready for injection!



 気になることは後回しだ。とりあえずこの状況をなんとかしないと!


 左腕を頭の上から前へ弧を描くように回し、インジケーターが青く光るミューシスに振りかぶって前へ拳を突き出す。



「change my feature!!」



 そう宣言するとあたりの空気を巻き込んで小さな竜巻を起こす!


 数秒でその竜巻は晴れて、中からこれまた人ならざる龍の化け物がその場に顕現した。青い両目がザセルを捉える。


「ストーム変身完了。戦闘に入る」


「私のことをコケにしておいてタダで死ねると思わないことです。生きていることを死ぬほど後悔させてあげましょう」


 バチンバチンと茎や蔦、大きく肉厚な葉を地面に叩きつけ威嚇する。痛々しく跳ねる音はビリビリとその場に響き、その恐怖に遠くからは逃げる乗客達の悲鳴が上がる。


 けれど龍斗は──ストームは鼻で笑った。


「ご生憎様、そういうのはもう終わりにしたんでね。今はただ」



 ──忘れない。君が教えてくれた熱



「夢見る未来へ飛ぶだけだから」




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