↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
21/21

第二十章 三人

マルティンは最初、それぞれ別の道を行くほうが楽だと言った。


「それは最悪な考えだ」とフィンが即座に反論し、レオンは静かに付け加えた。


「行き先も決まってないのに、別れる話をしても意味がない」


その日一日、三人は一緒に簡単な仕事をこなしながら、誰が一番働いたかで言い争い続けた。


フィンは久しぶりに、周りが振り返るほど大きな声で笑っていた。


マルティンは文句を言い、レオンは黙って笑い、フィンはふと気づく――自分たち三人は、驚くほど自然に、隣を歩いていた。


夜、三人は一部屋を借りて、宿代を分け合うことにした。


その晩、フィンは村が滅んでから初めて、明日のことを考える必要を感じずに眠りについた。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


フィンがまだ「フィン」だった頃の話は、ここで終わります。


母親に叱られて。

祖母に笑われて。

くだらないことで友達と騒いで。

小さな魚を釣っただけで、大物を釣ったような顔をして。


そんな毎日を、フィンはきっと、ずっと続けられると思っていました。


でも――続きませんでした。


村はなくなり、家族もなくなり、帰る場所もなくなった。


そして、ひとりになったフィンが最後に手にしていたのは、母から渡された小さな木の欠片だけでした。


……けれど。


この物語で、本当に大切なのは「失ったもの」だけではありません。


ひとりになった少年が、旅の途中で出会った二人の少年。


無口で、不器用で、それでも困ったときには黙って手を差し出すレオン。


文句ばかり言って、生意気で、何かにつけてフィンと張り合うマルティン。


最初は、ただの旅の仲間でした。


同じ道を歩いて。

同じ飯を食べて。

くだらないことで言い争って。

誰が一番働いたかで喧嘩して。


そんなことを繰り返しているうちに――


いつの間にか、三人にとって互いが「いなくては困る存在」になっていきます。


けれど、家族というものは。


一緒にいるだけで、ずっと続くものなのでしょうか。


守ると決めたものを、本当に最後まで守れるのでしょうか。


そして――


フィンが母から託された、あの小さな木の欠片には、一体どんな意味があるのか。


この先、三人が歩く道の先には何が待っているのか。


それを、ここで語るつもりはありません。


なぜなら――


ここから先は、「村を失った少年」の物語ではないからです。


大切なものを失った少年が。


失ったからこそ、もう一度誰かを大切にしようとする。


笑うことを忘れかけた少年が。


もう一度、誰かとくだらないことで笑えるようになる。


そして――


一度「帰る場所」を失った少年が、


今度は自分自身の手で、その場所を作っていく。


これは、そんな物語です。


もしあなたが、


「この三人が、この先どうなるのか」


少しでも気になったのなら。


どうか、もう少しだけ彼らの旅についてきてください。


きっと最初は、ただの三人です。


でも読み終わった頃には――


この三人が笑っているだけで、少しだけ嬉しくなるかもしれません。


そして、彼らが何かを失ったときには。


きっと、フィンと同じように、


「どうか、もう一度帰ってきてくれ」


そう願ってしまうはずです。


それでは。


本編で、また会いましょう。


――フィン、レオン、マルティン。


三人の旅は、ここから始まります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。