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はじめに

この物語は、長編Webノベル

『闇に堕ちても、君との約束は守る』

――その物語が始まる、少し前のお話です。


本編の主人公は、レオン。


そして、彼と共に旅をする仲間の一人に、フィンという少年がいます。


明るくて、よく笑って、少しお調子者で。

失敗しては怒られ、それでも懲りずにまた何かをやらかす。


本編で描かれるフィンは、そんな少年です。


けれど――


彼がレオンと出会うより前には、別の人生がありました。


家族がいて。


帰る場所があって。


くだらないことで笑い合える毎日があって。


フィンにとって、それは特別なものではありませんでした。


ただの「いつもの日々」でした。


だからこそ、その日々が失われたとき、彼は初めて知ることになります。


当たり前だと思っていたものが、どれほど大切だったのかを。


この物語は、フィンがすべてを失った後の物語だけではありません。


彼がまだ何も失っていなかった頃。


まだ笑っていて。


まだ泣いて。


まだ明日のことを当たり前のように考えていた頃。


そして――その後、レオンと出会い、少しずつ新しい居場所を見つけていくまでの物語です。


本編を読んでいなくても、この物語だけで楽しめるように書いています。


けれど、本編を読んでいる方には、きっと別のものが見えるはずです。


フィンが笑う理由。


誰かと一緒にいたがる理由。


時々見せる、ほんの小さな不安。


そして、彼にとって「家族」という言葉が、なぜそれほど大切なのか。


本編では描かれなかったフィンの過去を知ったあとで、もう一度『闇に堕ちても、君との約束は守る』を読んでみてください。


何気ない会話も。


くだらない冗談も。


一緒に食べる食事も。


きっと、少し違って見えると思います。


これは、英雄になるまでの物語ではありません。


世界を救う物語でもありません。


ただ一人の少年が、笑い、泣き、失い、そしてもう一度、人と出会う物語です。


――まだ、みんながいた頃。


フィンの物語を、ここから始めます。

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