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面倒くさいから全部チェンジで  作者: 衣之谷こうみ
アリシア編

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13/18

13 事情聴取


翌日、わたしは冒険者ギルドに呼び出された。

わたしだけでなく、ミラ姉も一緒にだ。

一昨日の青年の件だと思うが、何故にミラ姉まで?



「何故、呼び出されたのかは解るわよね?」


ギルドマスターのシンシアさんが笑顔で尋ねてきた。

笑顔ではあるが目が笑っていない。


「何のことでございましょう?」


わたしはシンシアさん相手にシレッと(とぼ)ける。

わたしの中の警報がけたたましく鳴り響いていたからだ。


「ねえ、アリシアちゃん?」


笑顔で迫って来るシンシアさん。

後ずさるわたし。


「あの方をどこで見つけてきたの?」

「河原」

「何処の河原?」

「ロワール川の源流」

「ロワール川の源流!?」


今度はミラ姉が激しく反応した。


「あなた! そんな危険な場所に行っていたの!?」


だから言いたくなかったんだよ。

ミラ姉は過保護なくらい心配するから。


「だ、大丈夫よ。こう見えて、わたし、凄腕冒険者だから」


ミラ姉が蟀谷(こめかみ)を押さえている。

こりゃあ、後でお説教確定だね。

参ったなあ。



「まあまあ、ミランダ。今は抑えて」

「でも、シンシア!」

「今はもっと重要なことがあるんだから」

「わかったわ」


ミラ姉が横目でわたしを見た。

うん。

ミラ姉の怒りは収まっちゃいない。

『わかった』は『保留』って意味だ。



「それで? あの人を何処で見つけたのかは言ったよ。正確な場所が知りたいなら地図に記しておいたから見る?」


マジックバッグから地図を取り出して机に広げる。

地図上に赤丸で示した場所を見たシンシアさんが明確に顔を歪めた。

ミラ姉も黙って地図を凝視している。

立ち会っているゼストさんの表情も真剣そのものだ。



「どうしたのよ?」


明らかに異様な場の雰囲気。



「わかったわ。ありがとう。もう、地図は仕舞っていいわ」


溜息混じりのシンシアさんに言われるまま地図をマジックバッグに収納する。


一瞬、シンシアさんとミラ姉が目を合わせて(うなず)き合ったのをわたしは見逃さなかった。

何だろう?


「わたしへの事情聴取は終わりよね? じゃあ、わたしこれから用事があるから」


わたしは(きびす)を返して冒険者ギルドを立ち去ろうとした。

トンネルのことも気になるしね。


だが、わたしは立ち去ることができなかった。

シンシアさんが背後からわたしの両肩を掴んで離さなかったからだ。



「ねえ、アリシアちゃん?」

「ひゃい!」


恐る恐る振り返るわたし。


「あの方が意識を取り戻したのよ」

「へえ、それはよかったですね」


愛想笑いを浮かべるわたし。


わたしの前世の勘が告げている。

これ以上の深入りは禁物だと。



「あの方があなたに会いたがっているわ」

「わたしは会いたくながっているんですけど…………」

「ご意見無用よ」


ニッコリ笑うシンシアさんが指を鳴らすと、どこからともなく現れたガタイのいい黒いサングラスを掛け黒いスーツに身を固めた男二人。


わたしは彼等に両脇を抱えられると問答無用で3階の貴賓室に強制連行されるのだった。

まるで、メン・イン・■ラックのエージェントに連行されるグレイみたいに。




黒服どもに貴賓室の中まで連行されたわたしはそこで解放された。


貴賓室。

初めて入ったが、部屋の(しつら)えが豪華だった。

王都で王宮に呼びつけられた時に、待たされた控えの間より凄い。

冒険者ギルドの3階にこんな豪奢(ごうしゃ)な部屋があったとはね。


――――ていうか、どうしてザ辺境と言ってもいい片田舎の冒険者ギルドにこんな部屋があるんだよ?

もしかして、不正蓄財でもしてたのか、このギルドマスター?


わたしの視線に気付いたシンシアさんが蟀谷(こめかみ)をピクピクさせている。


「アリシアちゃん、後で二人きりでお話をしましょうか?」


わたしの目が口程に物を言ってしまったらしい。

わたしは聞こえないふりをしてやり過ごす。

シンシアさんの突き刺すような視線が痛い。

そんな視線を向けないで!

穴だらけになっちゃうよ!




シンシアさんの視線を逃れるべく貴賓室の奥に進む。

向こう側の窓際。

手を後ろに組んで立つ金髪の青年が外を眺めていた。


綺麗な人だなあ。


いかんいかん。

思わず見蕩(みと)れてしまったよ。



「やあ」


青年が振り返って挨拶してきた。


「どうも」


素っ気なかったか?



「キミがボクを助けてくれたんだね?」


青年がわたしの下に歩み寄って来る。


「これは運命だ。まさか夢にまで見た最愛の人に助けられるなんて」


『夢にまで見た最愛の人』?


わたしは振り返って、シンシアさんとミラ姉を見た。

二人とも黙って(うなず)くだけで何も言わない。


何で(うなず)いてるのよ?

意味わかんないんですけど?



次の瞬間、わたしは振り向かされ――――


青年に唇を奪われたのだった。


わたしのファーストキスを。

わたしの意思に関係なく。



今週から当分の間、本作は『異世界に勇者として召喚されたのですが、不本意なので女神から逃亡して自由気ままなスローライフを送ってやろうと思います。』と同時更新になります。

月火木金に更新ですのでよろしく。

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