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21.ないよ? (日夏過去編)



連絡先を交換して、とりあえずは通話しながら教えることに。


でも、まあ通話しながら教られる事には限りがあるから、そのうち彼女のプレイ画面を共有したりしながら教えることになるだろうな。と、ぼんやり考える。



......まあ、出来る限りは通話で済ませたい所だけど。



しかし、その未来がきたのはそう遠くなく、なんなら通話を開始して数分後の事だった。


まずおどろいたのが、彼女はこのゲームがどういうものなのか殆どわかっておらず、更に基本的な操作すらもおぼつかないレベルであった。



「よし、じゃあとりあえずメニューを開こうか。 開けたら言ってくれ」


「ん、え? メニュー......出前? ヌーバーイーツ頼むん?」


「いや、お夜食は食べない、ってメニュー......え、まさかメニュー画面わからないのか?」


「あー、ね?」



あ、この感じ。この『あー、ね』はよくわかってなやつだな。


「えっと、真白さんはフレステ4(フレンドステーション4)でプレイしてるんだったよな」


「うん、そーだよっ」


「じゃあ、パッドの中央あたりにボタンがあるでしょ?」


「ん? ないよ」





え、ねえの?





「いやあるよ」


「え、ないよ」


(!?)


いやあるだろ、いい加減にしろ!く、このままでは先へ進められない......仕方ねえ!


携帯のカメラで俺のパッドを撮って、その写真を画像編集で赤丸して......これでわかるだろ、流石に。はい送信っと。



「今、写真送ったからそれで確認してくれ。 このボタンな」


「あー、これかぁ!」


「それそれ」


「パッドってコントローラーの事だったのかぁ」


「いや何見てたの今まで!?」


「ゲーム画面にそれっぽいのないかってさがしてたよ」


「あ、ああ......」



あー、なるほどなー。このこはゲームとか全然やらないタイプの女子。おそらくアプリなどの携帯ゲームすらもしてこなかったのか。だからこそ、ゲームに関する知識も無ければ勘も全くない、まっさらなんだろう。


しかし今どきそんな人いるんだな。据え置きのゲームをプレイしない人は結構いるが、携帯のアプリもやった事ないのか。


(......それって結構すげえな。 そんなん白雪くらいしかいないかと思ってたけど)


でもいくらなんでもパッドくらい普通しってるだろ......ん、もしかして普通わからんのか?


(うーん......けどこれ、このまま教えていくにはちょっと無理がないか?)


「しかし、あれだな」


「ん?」


「ここまでで、もうわからない事がわかったな」


「え、どゆこと? わからないのにわかったの? 謎掛け?」


「いや、違う。 このままじゃ埒が明かないって事だ」


この間のやりとりでわかった。これはとてもじゃないが、通話越しでは教えるのは不可能だ。しかもこのレベルだとゲーム内で教えてくれる人間を探したところで、逃げられてまたすぐに探す羽目になるだろうな。


仕方ない、もうこれは......俺の部屋で教え......




――ゆっくりと振り返り、置かれるフィギュアやキャラクタークッション、漫画本に攻略本等、山のようなオタクグッズを眺めた。




......れない。教えれないわ、これ。


と、なると彼女の部屋におもむいて教えるしか。でも女子の家だろ?向こうの親にはなんて言えば......遊びに来ましたとでも言えばいいのだろうか。


そもそも、こんな陰気な男の俺なんかを家に入れてくれんの?不審がられねえか......?もし真白が娘だとして、俺が父親ならおそらく近づく事すら阻止するだろう。


あれ程の可愛い少女だ、男友達というだけで危険視して警戒する。


......でもゆくゆくは、成長してお父さんには関係ないでしょ!なんて言われるんだろうな。


そうやってぶつかって喧嘩して、それをきっかけに一人暮らしを始めるかもしれない。


そうなったとき、俺は毎日のように彼女の住む部屋の周囲を見回り危険がないか、不審な人間がいないか、ストーカーがついていないかなんて警戒してまわるんだろう。


んなことしてたら俺が職質されたりしてな?んで、帰宅した真白に「え、お父さん何してるの? あ、この人うちのお父さんです」とか助けられたり。


そんな真白もいつかはいい人があらわれ、綺麗なドレスに身を包み......「お父さん、今までありがとう。 幸せになるからね」とか言って......幸せな家庭を



......いや、そうだ。それでいい......お前が幸せなら、それで。


ぐすっ












いや何の話!?



な、謎の妄想しちまった......なんだこれ。


俺は袖で目元を拭った。


「え、え? 急に黙って......どーしたの? もしかして、めんどーになったけい?」


「いや、立派になってと思って」


「何が?」


「真白が」


「何が!? ばかにしてるの!?」


「いや、ごめん、してないしてない。 しかし、このまま通話で教えていてもおそらく進展しないだろうなって思ってさ」


思ったことをそのまま伝える。誤魔化したところで意味もないし、なんなら真白から別の案が生まれるかもしれない。



「ああ、んじゃ家きてよ、画面みながら直接おしえて」


「......え」


(......いま家来いって言ったの?)


「いや、さすがに女子の部屋にこんな時間からお邪魔できないだろ」


「大丈夫! うち一人暮らしだし、誰もいないよ!」



え〜、余計にだめな気がするんですケド〜。襲われたらどーすんのよ?いや、んなことしないけど。


こいつのこのガードの甘さ......なんか心配になってきた。



これあれだな、そこらへんもしっかり言っとかないといつか痛い目にあいそうで怖いな。


こんな陰キャメガネに説教たれられたら流石に怒るかもしれないが、そうなればそれはそれで好都合。


ゲームを教える約束を無効にすることが出来るかもしれない......まあ、密かに俺の後任でも作ろうかと考えてはいるが。ゲーム内のフレで。



「わかった、今から行く......何号室?」


「やったあー! 304」


「真上だったか、了解」




無駄にテンション高杉くん。なんでこんな嬉しそうなの、この子。あ、ゲーム教えてもらえるから、そりゃそうか。







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― 新着の感想 ―
[良い点] 全く知識の無い人に言葉だけで説明するのはとても難しいことですね。 主人公はすごいと思います。 とにかくこれで話が進みますね。 [一言] 更新お疲れ様です。
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