20/25
第19話「ピットイン」
レースは20周目。
ピットインするチームが出始める。
『飛花、今永野がピットに入ってきた。次の周で松下を入れる。最後にお前が入る、いいな』
「了解」
現在の首位は松下。
その後ろを離れて飛花が追いかける。
飛花は松下のペースに合わせて走るので2台はまとまって走っている。
最終コーナーに差し掛かった時、前を走っていたマシンが視界からいなくなる。
松下の20号車はピットレーンに入っていった。
これにより、一時的に飛花が首位になる。
『今1位、1位だ。』
「了解、了解。」
『この周ピットインするよ。この周ピットイン。』
76号車が疾走していく。
「私、このまま勝てるよね。」
突然そんな考えにとらわれる。
もし、クラッシュしたら?もしタイヤがバーストしたら?もしパワーユニットが燃えたら?
「ダメダメ。私は絶対1位になるの。私ならできる。」
もう一度アクセルを深く踏み込む。
ピットレーンへと向かう。
『ミディアムに変えるよ。』
「りょーかい」
ピットイン。
タイヤ交換が始まる。
1.99秒。
その一瞬で作業を終える。
そのままマシンが発進する。
『ここから先、1位を追いかけるんだ。』
「攻めるよ。なんかあっても文句言わないでね、兄ちゃん。」
『あぁ、お前が満足行くまで攻めろ。』
「了解」
さっきふと考えたことを置き去りにするように1位を追いかける。




