第17話「最終戦、開幕」
まだ、先週開幕したばかりのように感じたF1ももう最終戦。
24レースのうち、まだ5レースくらいしか戦っていない気がするくらいだ。
Storm F1のピット。
「ちょっと、亮兄ちゃん!なんでうちのマシンのサスペンション変わってるの!?」
「いやー、もっと前に替えたんだが…気づかなかったのか!?」
「なんか今日練習走行走っててなんか変だなーって思って、今バラしてるの見たら気付いた」
「実は、松下からの提案なんだ。」
「松下先輩?」
「あぁ、今搭載しているパワーユニットとの相性を考えて変更した。」
「そうなの?」
「あんま、言っちゃなんだが、トヨタのやつの方がパワーが出ているんだ。」
「じゃあ、そのパワーを活かすために替えたってこと?」
「そうなるな。」
「まぁ、そんな大きな違和感がないなら、良かったよ。この後の予選期待してるぞ」
「わかってる」
最終戦、予選が始まる。
すると、その展開は誰もが予想していた通りだった。
松下が最速タイムを出すとそれを永野が塗り替え、さらにそれを上回るタイムを飛花が記録する。
結果、ポールポジションを取ったのはフェラーリの永野駿。
2番手に松下、3番手に飛花となった。
「飛花、新しいトヨタのパワーユニットとも相性良さげだな」
「はい!ストレートでもぐんぐん速度が伸びて、こういうのが欲しかった!って感じです」
「なら良かった。最初はメルセデスとの協業がなくなった時はどうなるかと思ったよ。」
「そんなことあったんですか!?」
「ニュース見てないのか?今更感もあるが…」
「飛花がインディーカーに行く、ってデマが流れてさ。すぐいなくなるやつのために支援はできないって言われちまってさ。」
「でも、そこで助けてくれたのが」
「トヨタだったってわけ。」
「私達がトヨタとつながりがあったのも影響してますかね?」
「そうだよな。もし、俺達がホンダとかはたまた海外のプライベートチームからF1目指してたらこの結果にはならなかったかも」
「やっぱ、何が起きるかわかんないですね〜」
「本当だよな〜」
2人は談笑しながらピットまで戻ってきた。
「おかえり2人とも。取材も良かったぞ。」
「あざっす」
「へへん!今日のは自信あったよ!」
「そうか。それで、松下、この後平気か?」
「あ、はい。着替えてくれば」
「じゃあ頼む。」
レーシングスーツからチームウェアに着替える。
「すみません、おまたせしました。」
「いいよ、いいよ。さ、ちょっとラウンジでも行こうか。」
F1の予選も終わり、人も減ったラウンジに来る。
シャンパンと少々のつまみを持って、コースが見える席につく。
「さて、今日の予選、お疲れ様。」
「あ、ありがとうございます。」
「正直、今年、どうだった?」
「いやー、最初は飛花もトラブルとか多くて、この子大丈夫か?とは思ってましたけど、気づけばモナコで勝って、それ以降は表彰台にも上がり続けて…見てて楽しい1年でしたよ。」
「そうか。でも、正直飛花が来年F1に出られる可能性がほとんどなくなっちゃったんだ。」
「VERTEXのF1参戦は今年1年だけですもんね。」
「実は、田邊先輩、新しい話が来たんですよ。」
「?」
持ってきた封筒をテーブルに置く。
封筒を開封し、田邊がその内容を読む。
「こ、こ、こ、これって…!?」
田邊は驚いていた。
「これを彼女が承諾してくれれば大きなニュースになりますよ…」




