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知識馬鹿  作者: よもぎ
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8

ほんとに終わります!!

 ローラがアデルを投げ飛ばしたあと、事前に知らせを送っておいた馬鹿王子がやってきた。


「大丈夫か?」

「ええ、なんとか」


 肩に手を回し、体を起こしてもらい、その手を見てぎょっとした。


 ローラの右の親指が、赤黒く変色していたのだ。


「ローラ、この手は!!」

「ああ、これか?以前読んだ本にな、縄抜けの術が書いてあった。それを実践したんだが・・・」


 縄抜けはできるが、指が使えなくなるのが難点だな、というローラ。しかも、自分で治療すると嬉々という姿には、顔が引きつる。


「ふむ、両腕も今動かしづらい上に痛みを感じるな」


 あれだ。あの馬鹿力は、己の筋力の限界を知らないで使ったから出たのか。反動を恐れないだけに、本当に馬鹿の力が出たのだろう。


「ふむ、とりあえずこれを飲んでみろ」

「・・・・なんです?これは?」


 さっきのゾッとするような強い光ではなく、いつもみたいなキラキラした光が戻っていやな予感。


「ばら撒かれた方の花を研究して作った解毒薬だ!!」

「・・・・私には、効かないと思いますが」

「ふむ、確かに。ああ、そうか、お前は森の民だったな」


 何を今さら、と思ったところで、いきなり口を塞がれた。


 何を、という言葉は、ローラの口の中に吸い込まれ、ついでに舌が私の口に侵入してきた。


「ん!!」


 唾液を吸われ、ローラのものと混ぜられ、また流し込まれる。


「ふむ、こんなものか?」

「な、何するんですか!!」


 たぶん今、自分は真っ赤な顔をしているだろう。なのに、知識馬鹿は涼しい顔。


「お前も前にしただろ?草で痺れた俺に?」

「気づいていたんですか!!」

「??次にあったとき、お前は包帯していただろう?」


 ああ、もう恥ずかしくて顔が見れない。


「で、でも、あの時は口づけしてません」

「??血を飲ませただけだろう?」

「ええ、だから同じじゃ・・・」

「体液を飲ませたことには変わりないだろう?」


 もう最低だ。この男。


 血を垂らして飲ませるのと、口づけで唾液を飲ませるのが、同じだと考えられるこの思考が!!


「もう、よろしいですか?」

「!!」


 輝かんばかりの笑顔で声をかけてきたウリエルの顔から、速攻で私は目をそらした。


「ラン兄!!無事でなによりだ!!」


 馬鹿王子もいた!!


 


 そのあと、妙な独占欲を見せた知識馬鹿が、私に他人が触れるのを嫌がり、震える両手で馬車まで運んだのは、屈辱だった。いつあの腕から地面に叩き付けられるかと思うと、恥も捨てて抱きつかざるを得なかったから。


 

 城の一角に、巨大な温室ができるのは、これから数か月後のこと。


 それが、ある森の民にささげられたことを、いや、押し付けられたことを、知る者は、たくさんいたりする。

つたない文章ですが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!!

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