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唐突に、  作者: 紅
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忘れた。(サブタイトルを、)

 榊は彼にあるまじき失態で大いにあせっていた、のだと思う。会長の横暴なんて今にはじまったことではないけれど、―その日は日一日気不味さが漂っていたから―副会長が蒼い顔をして生徒会室から出って行ったのを目撃してから早五分、会長は相変わらず不遜なまでに専用の椅子に腰掛けていたけれど。その表情は何故か非情に愉快そうだった、副会長は“保健室で体調不良により寝ている”と報告をしにきた生徒に礼も言わず、生徒・・会長は走って行った(件から一時間後のことである)。

 大方。副会長の体調が優れないのも会長のせいだろうに、


 その日の夕方、ふたりは険悪なまでに関係が冷え込んだらしく。一緒に帰って来たのはいいけれど一言も口を利かなかった、普段は何かしら会長が話し込んでいてそれに副会長が相槌をうって聴き手にまわる構図も、今日は誰も発言しないで作業だけ終えた。

 来る日も来る日も、気の合ったふたりは未だ仲違うようで、けれど「あのふたり、仲はどちらかと言うと端から冷え込んでいたぞ。主従関係から副会長は逆らえなかっただけらしいけれど」妙な話を聞いてしまった。

 「おい、田中なかた」田に中と書いて中田と読む。曇天から急に差してきた日がきれいな秋晴れ、頗る機嫌の悪かった会長に名指しされた「此れ買って来い。」


 「会長かいちょー、買って来ました、…ょ」


 使い走りにさせられて損な気分で下校がほとんど済んでいる襤褸校舎にかえって来たら、とんでもないものを見せられてしまった。会長と榊の愁嘆場である、な、何を遣っているんだ、君達!榊はとても気不味そうに目を逸らした「・・・・」えぇっとぉぅ。田中は空気と化して退散します、(この場合 会長に覗いたことが露見したらあちらの不手際であっても罰されるのは此方なのだ)しかし田中は痛恨のミスを犯した「榊は女の子なのだから、大事にしないと」旧知の彼女の肩を持ってしまったのだ。鬼の迫力の会長が此方を注視した―間抜けにも今まで気付かなかったらしい―「は?」眉間のしわが攣りあがる、おお怖っ。咄嗟に手持ちすべて会長目掛けて投げてしまった、人間(大人しいと普段言われていても)防衛反応せきずいはんしゃをしめすと強ち如何にでもなるらしい、目晦ましが炸裂している内に田中は霧の如く逃げた、この間八秒ほどと榊が証言している。

 榊が後々謝りに来た、「どちらかと言うと君は被害者でしょう?」苦笑いが浮かぶのを止められなかった―そもそも会長に直接謝罪などを要求したら「手前が悪い」の一言で済ませそうである―取り敢えず軒先で話すのも難だと彼女を手招いた。家族も勝手を知る仲の‘榊ちゃん‘を歓迎する。軽く茶と間食おやつを出したら、蒸発し易いほうだけ。

 「りっちゃん、バイバイ」手を振る榊は何だか懐かしくて好かった。


 後日、再度揉め事で会長と副会長が荒れているらしい、原因はアレだ(頭を抱えた)。


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