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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第3章

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第095話 リーダー……


 ロジャーが帰り、仕事をしていく。

 そして、夕方になると、メアリーが帰ってきた。


「ふっふっふ……」


 メアリーは店に入ると、胸を張り、ドヤ顔で髪を払った。

 どう見ても調子に乗っている。


「どうした?」

「今朝の私と今の私は違う。レベルアップしたスーパーメアリーなの」


 これが皆が懸念しているバカさなんだよな……


「レベルアップねー……」

「ふーん……」


 俺とアンジェラはメアリーの戦力弱めの胸部を見る。


「そこじゃなーい」

「Aランクだもんね」

「Bランクじゃい。Fランクは黙らっしゃい」


 しょうもない会話……


「どうしたんだ? Cランクに昇格したか?」

「それは夢のまた夢……あ、いや、そうそう! ついに私もCランク! アンジェラちゃんに並んだ!」


 わずか2、3ヶ月でねー……


「良かったな。今日はお祝いのフライドチキンだ」

「わーい……って、エリックはなんで知ってるの?」

「昼にロジャーが来たんだよ。それで聞いた」

「あ、なるほど」


 メアリーがぽんっと拳で手のひらを叩く。


「エリック、今日はもう閉めない?」


 アンジェラが提案してきた。


「そうするか。片付けて、飯を作るわ」

「お願い。メアリー、着替えたら話があるわ」


 アンジェラは真剣な顔だ。


「何、何ー? ちゃんとアクセは買ってあげるよー」

「どうも。あんたのこれからについての大事な話」

「わかったー。ちょい待ってねー」


 メアリーが住居スペースに入っていったのでアンジェラと片付けをし、店を閉めた。

 そして、キッチンで夕食の準備を始めると、アンジェラとメアリーがテーブルで話し始める。


「メアリー、あんた、ずっと冒険者をやるつもり?」

「うん。そのつもり」

「魔導具屋をやるつもりは? あんた、魔道具を作るのも好きでしょ」

「それはいつでもできるじゃん。冒険者は今しかできない」


 冒険者はだいたい30歳くらいで引退する。

 女性の場合はもっと早いケースもあり、結婚をしたら辞めるか、アンジェラみたいに不定期冒険者になる。


「どこまでやる?」

「伝説を作るまで」


 マジな顔で言ってるんだよなぁ……


「それはAランクになるってこと?」

「まあ、そうかな? やるからにはてっぺんを目指さないと」


 心がけは良いな。


「そう……カトリーナとシャーリーは?」

「うーん、そこだよねー……2人はそこまで付き合ってくれないと思う。カトリーナは教会があるし、シャーリーは騎士になりたいわけだからね」


 確かにメアリーに付き合っている形だ。


「ええ。いつかはあなた達のパーティーは解散になる。その後、どうするの? あんたはソロでもそこそこやれると思う。でも、それはダメ。私もエリックも反対。多分、ギルドも反対する」

「なんで?」

「あんたは誰かがいて、初めて能力が発揮されるタイプだから。絶対にパーティーを組みなさい」


 猪突猛進だもんな。

 抑える人間が必要になる。


「うーん、まあ、1人ではやんないかな? つまんないし」

「それとだけど、この町を出るのもダメね」


 うんうん。


「出る気ないけどね。別に私、都会に行きたいとかないし」

「王都に行きたがってたじゃない」

「遊びには行くよ。お店だっていっぱいあるしね。でも、住むのはねー……」


 メアリーって意外にも地元志望だったんだな。


「そう……ならいいわ。それとだけど、あんたがCランクになって、カトリーナとシャーリーは何て言ってた?」

「んー? 『メアリーちゃん、すごいね』と『メアリー、嬉しいのはわかったから叩くな』だね」


 シャーリーを叩くな、バカ。


「メアリー、驕ったらダメよ? 格差パーティーは解散になりやすいからね。いつかは解散になるかもしれないけど、それは今じゃないでしょ」

「わかってるよぅ……私がアタッカーだから評価をされやすいだけ。ヒーラーのカトリーナは前に出ないし、シャーリーは私やカトリーナを守ってくれるから成果が私に集中してるだけでしょ」


 それもあるだろうな。


「報酬はどう分けているの?」

「一部をパーティー用の貯金にして、残りを3等分。最初に話し合った」


 堅実だ。

 提案したであろうカトリーナ、ナイス。


「絶対にそれを崩したらダメよ。2人が言ってもね」

「わかった」

「それと手柄を2人に譲ろうとするのもダメ。今のあんたらの役割分担がベスト。絶対に魔物討伐をシャーリーに譲ろうとかも考えたらダメよ。シャーリーはアタッカーになれるけど、あんたにタンクはできないから」


 メアリーは器用で魔法も剣も使える。

 ただ、スピードタイプなので防御は避ける一択だ。

 それではカトリーナを守れない。


「りょ」

「当分は難しい依頼を受けるのもやめなさい」

「あ、それは話し合った。というか、パーティーランクがまだEだしね」


 メアリーがCランクでも他2人がEランクだからか。

 パーティーランクは平均と聞いているし、カトリーナとシャーリーのどちらかがDランクになればパーティーランクもDランクになるのだろう。


「堅実にやりなさいよ」

「わかってるってー。というか、アンジェラちゃん、ギルド職員みたいだね」

「私は色んなところのパーティーに入れてもらっているから色々と見てきたのよ。私が見てきたパーティーで揉めるベスト3は格差による報酬の分配、リーダーの能力不足、恋愛を始めとする人間関係の崩れね」


 わからないでもない。


「へー……じゃあ、ウチは大丈夫!」

「そういやあんたらのパーティーのリーダーって誰?」

「私に決まってんじゃーん」


 リーダーの能力不足……


「そう……まあ、カトリーナとシャーリーは内気だからね」


 大丈夫かね?


「アン、そろそろできそうだ。付け合わせを頼む」

「わかったわ。メアリー、食器」

「はいはーい」


 その後、3人で夕食を食べ、メアリーのCランクを祝った。


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