第112話 丸くなったなぁ……あ、性格が
俺は隊長にこれまでのことを話す。
とはいえ、メアリーのことは知人の子ということにし、町の皆に説明したものと同じ説明をした。
そして、ミルオンの町に着いてから今日までのことを話していく。
「ふむふむ。魔道具屋か。お前なら良いかもな。それに水筒も知ってるぞ。ウチにもある。良いものを作ったじゃないか」
隊長も買ったのか。
「ありがとうございます」
「エリックは順調そのものだな。実に良いことだ。アーヴィンも元気そうだし、私も自分のことのように嬉しい」
「俺は?」
ローレンスが自分の顔を指差した。
「お前は……さっさとどっかで落ち着け」
うんうん。
「考えてます」
「そうしろ」
隊長がちょっと呆れている。
「隊長、俺達の他にも誰か訪ねてきましたか?」
「いや。特にないな。お前達とノクスの地で別れてからは金を渡しに行った時にアーヴィンと会っただけだ。他は知らん。暗部が解散となり、私は近衛隊に異動になったんだ。それから1、2年で辞めた」
近衛隊……王族の護衛だ。
出世したんだな。
「隊長は女性ですし、王妃様の護衛とかですか?」
「まさしくな。良くしてくれたし、今でもたまにお茶会に呼ばれるぞ」
そりゃすごい。
「でも、辞めちゃったんですか?」
「まあ、色々あってな。エリック、お前はいつまで王都にいるんだ?」
隊長が聞いてくる。
「2、3週間ですね。実は水筒で儲けた金で家の改修をしているんですよ。なので、それくらいまでは王都にいます」
「そうか、そうか。もし、良かったらお前らを夕食に招待しよう。せっかく、お前の嫁さんを紹介してくれたわけだし、こっちも旦那を紹介しようじゃないか」
まあ、気にならないと言ったら嘘になる。
「お邪魔では?」
「そんなことはない」
隊長が誘ってくるとは……
「アン、いいか?」
アンジェラに確認する。
「ええ。せっかく招待してくれたわけだし、お言葉に甘えましょうよ」
それもそうだな。
「では、お願いします。メアリーは呼ばなくていいですよね? あいつ、友達と来ているんですよ」
「メアリー? ああ、娘か。せっかく王都に遊びに来ているんだからそれでいい」
「わかりました。それと旦那さんの前ではメイベルさんって呼んだ方がいいですか?」
「どっちでもいいが、気持ち悪いからやめろ」
俺も名前を呼んで、ものすごい違和感があった。
「では、そうします」
「いつがいい?」
「今のところ、夜の予定はないです」
明日、ランドルさんのところに行くが、昼間だ。
「じゃあ、明後日な。ローレンスもそれでいいか?」
「え? 俺もっすか?」
ローレンスが驚く。
「当たり前だろ。両夫婦と可愛い子供に囲まれ、自分の人生を焦るといい。そして、さっさと良い子を見つけろ」
「皆、同じようなことを言うなぁ……」
そりゃそうだ。
「お前はそうした方が良いからだ。昔から寂しがり屋のかまって君だろ」
うんうん。
「じゃあ、お邪魔します……」
「そうしろ。18時くらいに来てくれ。すまんが、そろそろシャーロットを習い事に連れていかないといけない時間だ」
隊長がそう言って立ち上がったので俺達も立ち上がる。
「急に来て、すみません」
「こちらもロクに歓迎ができなくてすまない。明後日にまた来てくれ……シャーロット、ピアノの時間だから準備しなさい」
隊長が急に声色を変えた。
『はーい』
奥から返事が聞こえると、隊長がベッドで寝ている赤ん坊を抱っこする。
「可愛いですね」
アンジェラが赤ん坊を見る。
「だろう? 子供は良いもんだ。抱いてみるか?」
「良いんですか?」
「構わん。慣れとけ、慣れとけ」
隊長が赤ん坊をアンジェラに渡した。
「おー……」
アンジェラが嬉しそうに赤ん坊を抱く。
「慣れてるな……メアリーでも抱いてたか?」
「メアリーとは5歳しか離れてませんね」
「複雑な家だな、おい」
隊長がこっちを見てくる。
「普通ですよ」
「そうかい……まあ、慣れているのは良いことだ」
「近所の子とか抱かせてもらいましたからね。なんかよく言われるんです」
アンジェラは面倒見が良いからな。
「わかる、わかる。お前はそうだ」
「お母さん、準備できた」
奥の扉が開き、シャーロットが出てきた。
「そう? じゃあ、行きましょうか。あなた達もまたね」
隊長がそう言うと、アンジェラが赤ん坊を返す。
「ええ。お邪魔しました」
「明後日、よろしくっす」
「ありがとうございました」
俺達は一礼し、先に家を出た。
そして、町中を歩いていく。
「あの急にしゃべり方と声色が変わるのに慣れんな」
顔つきまで変わるのがすごい。
「な? 隊長からお母さんに変わるからびっくりする。この前もそうだった」
というか、ずっとお母さんで良くないかな?
そのまま歩いていくと、通りに出たので立ち止まる。
「ローレンス、これからどうする?」
「俺は魔物退治の仕事でも行く。それでちょっと考えてみるわ」
今後のことね。
1人にした方が良いだろう。
「そうか。じゃあ、明後日な」
「ああ。また飲みに行こうぜ」
ローレンスはそう言って、南門の方に向かっていった。
「アンジェラ、昨日の続きで商業街にでも行くか」
「そうね。そうしましょう」
俺達はローレンスとは逆方向の中央の広場に向かって歩いていく。
「隊長と会ったら俺もなんか胸のつっかえが取れた気がするな」
ほっとした感じがした。
「優しい人だったじゃないの」
「そうだな……あれでも鬼上官だったんだぞ。何度もウジ虫って言われた」
「軍は怖いわね……」
そこはそう。
「それよりも明後日、付き合ってもらって悪いな」
「全然いいわよ。というか、ちょっと旦那さんが気になる。軍人らしい強そうな人なのか、優しそうな人なのか」
「実は俺もかなり気になる」
隊長には悪いけど、ちょっと想像ができないのだ。
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