表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/111

第111話 再会2


 平和な通りを歩いていくと、ローレンスがとある家の前で立ち止まった。

 立派な玄関があるそこそこ大きい平屋の住宅だ。


「ここか?」

「ああ。この時間はいると思う」


 ローレンスはそう言って、敷地に入ると、玄関の扉をノックする。


『はーい?』


 中から女性の声が聞こえ、その瞬間、ドキッとした。

 もちろん、恋の予感ではない。


「おー……背筋が伸びる」

「な? ローレンスです」


 ローレンスは苦笑いを浮かべた後、家主に答える。

 すると、すぐに扉が開き、長い黒髪の女性が現れた。

 かつて、軍服を着て、鋭い目つきで俺達に命令していた黒影団の隊長である。

 しかし、その10年前の面影が多少あるものの、柔和な笑みを浮かべていた。


「お久しぶりです、隊長。エリック・ローウェルです」

「お久しぶりですね……元気にしていましたか?」


 隊長が優しい声色で聞いてくる。


「ええ。もう会えないかと思っていました」

「私もですね。まあ、中に入りなさい」


 隊長がそう言って、家に招いてくれたので中に入ると、部屋はリビングになっており、まだ5、6歳くらいの女の子がテーブルでお絵かきをしていた。

 さらには赤ちゃん用の柵が付いたベッドがあり、そこで赤ん坊が寝ている。


「だーれ?」


 少女が手を止め、首を傾げながらこちらを見る。


「ローレンスのおじさんはわかるでしょ。挨拶しなさい」

「おじさん、こんにちは」


 隊長に促され、少女が挨拶をした。


「はい、こんにちは」


 ローレンスが笑顔で挨拶を返す。


「こっちもお母さんの友達のエリック。それと……その奥さん」


 隊長が俺とアンジェラも紹介した。


「エリックだ。こんにちは」

「アンジェラよ」

「シャーロットです。こんにちは」


 シャーロットという名前らしい。

 しっかりした子だな。


「シャーロット、お母さんはお友達と話があるからあっちで絵を描いてきなさい」

「はーい」


 シャーロットはテーブルを片付けると、お絵かきセットを持って、奥の部屋に入っていった。

 すると、隊長がどかっとテーブルにつき、先程までの柔和な笑みを消してこっちを見てくる。


「夜に来いよ、バカ共。旦那がいない時に人妻の家に来んな。近所に噂されたらどうするんだ?」


 あ、隊長だ。


「すみません。ローレンスがいつでもいいだろって言うもんで」

「お前、ずるいぞ」

「ふん。お前らに言っても無駄か……で? そいつは誰だ? 自己紹介を受けてないから適当に答えたぞ」


 隊長がアンジェラを見る。


「あ、妻……妻? 一応、妻のアンジェラです」

「は? 何だ、その失礼極まりない紹介は? そいつに悪いと思わないのか?」


 すごく思っている。


「すみません。自分の中では妻なのですが、正式にはまだ教会で祝福をもらっていないんです。ミルオンの町に帰ったらもらう予定です」

「あー、はいはい。そういうことね」


 隊長は納得し、立ち上がると、アンジェラのもとに行き、じーっと見る。


「エリック、どこまでしゃべった?」


 この質問はどこまでしゃべっていいのかわからないからだろう。


「ほぼ全部です」

「そうか……元上官としてはしゃべるなって言いたいが、私も旦那には全部話している。今後、そういうパートナーを見つけるかもしれないローレンスは覚えておけ。隠し事をするとロクなことにならんぞ」


 そうそう。

 俺もアーヴィンも悪くないぞ。


「肝に銘じておきます」


 ローレンスが一礼した。


「よろしい。アンジェラ、私はこいつらの上官だったメイベル・ヘミンズリーだ。旧姓はシンフィールドだがな」

「アンジェラです。エリックと共にミルオンの町で魔道具屋をやっています。また、Cランク冒険者です」


 アンジェラが丁寧な言葉遣いで自己紹介し、頭を下げた。


「魔法使いか……ふむ。歓迎しよう。また、結婚おめでとう。実にめでたいことだ。座ってくれ。お茶を淹れよう」


 隊長が勧めてくれたのでテーブルについた。

 すると、隊長がお茶を用意しだす。


「隊長、さっきの優しい感じは何ですか?」

「子供の教育のためだ。というか、私は近所にも元軍人であることは隠している。こんな軍人しゃべりだったらすぐにバレてしまうだろ」


 あ、そうか。


「俺も隠してますね」

「良いことだ。それこそロクなことがないからな。エリック、元気だったか?」

「ええ。色々ありましたが、アーヴィンを頼ってミルオンの町に行きました。そこで多くの人に支えられ、なんとか生きてこられました」


 本当に町の皆には助けられた。

 そして、何よりもアンジェラがいてくれた。


「良いことだ。アーヴィンは元気か?」

「元気ですよ。隊長によろしくと言っていました」

「元気ならいい」


 隊長は頷くと、お茶をテーブルに置き、席についた。


「ありがとうございます」

「どもっす」

「いただきます」


 俺達はお茶を一口飲む。


「ふむ……エリック、嫁さんを大事にしろよ」

「そうしますよ」

「結婚おめでとう。悪いが、一番結婚しないだろうなって思っていたのがお前だった」


 ひねくれ者だからかな?


「こいつは?」


 ローレンスを指差す。


「そいつはどっかの女にハマってデキ婚をすると思っていた」


 しそう……


「ねーっすよ」


 あるある。


「隊長もご結婚されたんですね。おめでとうございます」

「やはりエリックは人間が出来てるな。このバカは目を見開いて嘘認定してきた。実に失礼だ」


 うん、失礼。

 でも、俺はあらかじめ知っていたから驚きがないだけだ。


「俺達は上官のあなたしか知りませんからね……」

「普通に恋愛をして、普通に結婚しただけだ。それで娘と息子ができた」


 あの赤ん坊は男の子か。


「軍を辞めたとアーヴィンに聞きましたが、あれから何を?」

「うーん……そこは後で話そう。それよりもお前の話を聞かせてくれ。よくわからんが、大きい娘がいるんだろ? いつ仕込んだんだ? やることやってたんだな、お前」


 確かに娘の教育に悪いわ、この人。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
~6/8発売予定~
その子供、伝説の剣聖につき(1)
web版(カクヨムネクスト)はこちら


【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
さすがは軍の精鋭、子どもたちはいつ気が付くかな?(笑)
やっぱ黒影団なんていかれた連中のリーダーだったわ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ