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発情中のうさぎメイドは狼騎士に食べられちゃう?!  作者: つきのくみん
第2章 恋する気持ちを通わせて
37/88

37 優柔不断への対処法

長いけれど後悔はさせないので、人がいないところで読んでね♡

「よし、こんなもんじゃろ。しばらく無理はしちゃいかんぞ」

「はい、わかりました。ゴードン先生、どうもありがとうございます」


 心を込めて頭を下げると、レナは治療を受けていた自分のベッドから、すぐに立ち上がろうとした。それを見たゴードンは苦笑いで彼女を止める。


「今、無理をしちゃいかんと言ったばかりじゃろ? 気遣いは不要じゃ。……さて、ワシはこれで失礼するからな」


 そして退室する間際、ゴードンは何事かをラフィールに耳打ちした。ラフィールはレナを見ながら頷くだけで、彼女にはその会話の中身はわからない。


 静寂が落ちた部屋で、ラフィールはレナの隣に腰掛ける。


 ダンスのときはあんなに密着していたのに、宴から離れれば、この距離でさえも恥ずかしい。


 シーツが僅かに動く音。ベッドが軋む小さな音。

 聴こえる周りの音すべてが、レナの鼓動に重なって大きくなる。


「大変だったな」


 優しく手を包まれ、そっと彼の方に引き寄せられた。


 服越しに伝わるラフィールの固い太腿の感触。自分とは違う筋肉質の身体は、レナの全身を心臓に変えてしまう。


「いえ、そんなことは、ないです……。ラフィールさまが助けてくださったので……。こちらこそ、本当にご迷惑をおかけしました……」


 途切れ途切れの言葉を何とか繋ぐと、レナは落ち着かなく視線をさまよわせた。

 琥珀色の双眸そうぼうはきっと自分レナを映している。それがわかるから、彼の方を向くことができなかった。


 窓際にある簡素な机と、椅子に掛けられたラフィールのマント。


 レナの胸がちくりと痛む。


 他の女性と踊っていたら、ラフィールは今もまだ夜を楽しんでいたかもしれない。年に1度のお月見の宴。その貴重な休憩時間を、彼は楽しむことはできたのだろうか。


「仕事とは言え、1人にした俺が悪かったんだ。失敗した」


 レナをシルバー席まで送り届けるべきだったと、ラフィールは後悔していた。


 けれど彼女はそう思わない。

 隙があった自分が悪い。すべての責任も原因も自分にある。そう思っていた。


「そんな……! ラフィールさまのお相手が私だったのがいけないんです……」


 ショボくれて肩を落とすレナに、ラフィールは呆れるしかなかった。


「……お前、相当残念だな」

「そうですよね、私も自分が残念です」

「そういう意味じゃない」

「?」


 大体ほかに踊りたい女がいたならば、ラフィールは誰に遠慮することもなく、その女を誘うだろう。レナなんかに要らぬ配慮をされるほど、彼は女に困っていない。


 気位の高い女には腹が立つが、自己評価が低すぎるレナにもいらついた。


 今日のうちに、彼女には()()()()をしてもらわなければいけないのに。


 レナは人前でその類い稀なる美貌を晒した。恋人にうつつを抜かす門番に見られたのとは訳が違う。明日にもきっとレナの噂は領主館中に広まるだろう。


 ラフィールはチラリとベッドサイドの時計を見た。時間がない。休憩時間は限られている。彼は間もなく任務に戻らなければいけなかった。


「レナ」


 ラフィールは包み込んでいる華奢な手を、再度強く握り直した。


「はい」


 そらしていた瞳を合わせれば、忽ち彼の眼差しに囚われる。もうレナは、目を離せない。


「このまま俺の女になれよ」

「え……」


 直接的な物言いは、彼女をどうしようもなく戸惑わせた。

 愛の告白よりもわかりにくくて、そこに気持ちがあるのかさえもわからなくなってしまう。


「俺なら、お前を守れる。怖かったんだろう? 俺の姿を見ただけで、泣いてしまうくらいには」


 それは間違いのないことだった。ラフィールが来ただけで、レナは希望に満たされたから。


「ラフィールさま……。でも……」


 近いうちに確実に来る別れは、期間限定の恋人ごっこに他ならない。


(好きだけど……。好きなのに……。こういう場合、どうしたら……)


 レナはここまで来て、ラフィールの胸に飛び込めなかった。

 いつか訪れる別れのときに、お互いが傷つかない方法がわからない。


 カチコチカチコチ……


 時間がなくなっていくのに、続く沈黙。


(これ以上は、もう待てない)


 遂にラフィールはレナを見切った。


 優柔不断な彼女は、結論を出した後もきっとグダグダと悩むだろう。ならば決断する前の悩みは無駄なこと。切り捨てても特に問題はないはずだ。


「早く返事をしろ。5秒以内に答えないと、受け入れたと見なして、このままベッドに押し倒す。5……」

「えっ?!」


 突然のカウントダウン。

 恋の迷宮ラビリンスに入り込んだ思考は、迷宮ごと破壊されて出口まで引きずり出されようとしていた。


「断っても、罰としてお前を押し倒す。4……」

「ば、罰……?」

「早く決めろ。3……」

「確かにラフィールさまのことは嫌いじゃないですけど……でも私にも……事情が……」

「こっちは時間がないんだ。どうせ大した事情じゃないだろ。2……」

「わ、わかりましたから、もう数えるのを止めてくださいっ……!」

「何がわかったんだ。はっきり自分の口で言え。1……」

「私、ラフィールさまの女になりますっ! だから数えるのを止めてください……!」


 ラフィールはニヤリと笑った。


「わかった。もう数えない」


(私、つい……)


 レナは顔を手で覆い、それからおそるおそるラフィールの顔を見た。そこにあったのは彼の意地悪で完璧な笑顔。


「俺の女になるって、言ったな?」

「はい……。言いました……」

「これからよろしくな」

「はい……よろしく、お願いいたします……。でも、あの、押し倒すのだけはちょっとまだ心の準備ができていなくて……だから……それだけは待ってください……」


 ラフィールは冷たかった。


「却下する」

「!」


(何を選んでも、結局押し倒されるってこと……?!)


 混乱していたら、ラフィールにかきいだかれた。

 首筋にかかる熱い吐息。愛の言葉を囁かれて耳をまれ、凄まじい男の色気にくらくらした。


「このまま進んだら、あなたのことを……本当に……本当に好きになってしまいます……」

「そうじゃないと困る」


 顎を掬い上げ、優しくレナに口づける。


「……初めてだろう?」


 腕の中にいるできたばかりの愛しい恋人。

 口づけただけで薄桃色にそまる頬と、潤んだ瞳が可愛らしい。


「俺に任せてくれれば良い」


 レナをいたわるように、フッと表情をやわらげると、次は深く口づけた。

長老「この物語は清く正しいR15なので、全力全開の脳内補完が必須じゃぞ?」

レナ「そんな無茶な……」

長老「かぁぁぁつ(喝)! ここに集いし読者さまはなぁ!『初めて』の3文字を見ただけで大興奮しちゃうくらいの、優れた妄想力をお持ちの方々じゃっ! 舐めた発言をするでないぞっ!」

レナ「……し、失礼致しました(。-∀-)」

☆ 作者は読者さまの鍛え上げられた妄想力を信じております。本当に詳細は書きません。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ........図星をしたの感想会で当てるんじゃないよ!その通り過ぎてなにも言えないっす。んで結局二人はどうなっちゃうの?めっちゃ気になるwww ラフィールのドS感好きだわぁ レナまさかの…
[良い点] す、寸止め!!!!!!(゜ロ゜屮)屮 この先走った妄想はどうしたら? もう一周読んで、妄想強化してきます(笑) それにしても、イラストが欲しい作品ですね。きっと可愛いと思うのです。
[良い点] 私のレナちゃんがラフィール隊長に食べられちゃった・°・(ノД`)・°・まだわんこメイドのうちは大丈夫だと思っていたのに( ;∀;)私のレナちゃん……(私のレナちゃんだとは言ってない) でも…
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