表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/252

77

流に感謝を述べて、その車が去っていくのを見送ってから目的地の前に立つ。

今日の目的地であるビルはそれほど大きくなかった。


ビルに表記されている会社名を確認する。


『スターフロントプロモーション』


間違いない。ここが一弥の事務所だ。



ビル内に入ると受付などはなかった。

どこに行けばわからないので、すぐそばにある守衛室の守衛に声をかけると案内してくれた。



「お客さんですよ。」


案内された部屋では女性が一人デスクに座っていた。

他にもデスクはいくつかあるがみな出払っているようだ。


「はいはーい。」


ちょっだるそうそうな返事をして女性がこちらにやってきた。


「ご用件は?」


「私、高良田家で執事をしております平岡と申します。本日は皇一弥様、もしくはマネージャー様かその上の方とお話ししたいことがありましてまいりました。」


「はあっ!?」


女性は大声をあげた後まじまじとこちらを見つめてきた。


「えぇ!?うっそ!!本物!?

あぁぁ、じゃなくって、アポとってありますか?」


「3日ほど前からアポイントを取ろうと何度もこちらの事務所や担当者の方に高良田の方から連絡しているのですが、まったくつながりませんので直接出向きました。」


この部屋で電話はなっていない。

電話を取る部門が別にあるのかもしれないが、今回の騒動での電話の多さにもしかしたら電話線ごと引っこ抜いてるんじゃないだろうか。


「いや、アポないと会えないんですけど・・・」


「では、代わりにアポを取っていただけますか?私からでは相手にしていただけないようですので。」


にこやかに話してはいるが実は非常に私は怒っている。

うっすら漂わせている冷気に気づいたのか、だんだん女性が縮こまっていく。


「いや、でも、その・・・・・」


「私、本日は高良田グループ代表取締役 高良田裕一郎の代理としてきております。目的の方にお会いするまで帰る気はありませんので、よくお考えください。」


“高良田を門前払いする度胸がありますか?”


言外にそう伝える。

大丈夫、昨日裕一郎様から名前を出す許可は頂いた。

事務所に乗り込むことを電話で話した時、裕一郎様はとても面白がって『好きに暴れておいで』と言ってくださった。


おそらくこちらからの連絡はわざと無視されている。

それが一弥の意思なのか、事務所側の方針なのかはわからないが随分なめたマネをしてくれる。

家名や規模を武器にすることは私はもちろん裕一郎様も華穂様も望まないが、それでも理由も言われず無視されるのを受け入れる必要はない。

それに主人をバカにされて黙っている執事はいない。ましてや今は執事ではなく裕一郎様の代理だ。

きっちり今回の件、説明してもらわなければ。


「ちょ、ちょっとわたし連絡してきますっ!!」


慌てたようにデスクに戻って電話をかけはじめた女性を見つめる。


さぁ、誰が出て来てくれるのやら。





目的の人物が帰ってきたのは2時間後だった。

応接室を勧められたにもかかわらず、ずっとその場に居座っていたため2時間 私からの圧力を感じていた女性はげっそりしていた。

たまーに『早く帰ってきてくださいぃぃぃぃ』と泣きながら電話していたから、2時間待ちで済んだのかもしれない。


「唯ちゃん、ひさしぶり〜。」


ニヤニヤ笑いながらこちらを見ている一弥に向かってお辞儀をする。


「ご無沙汰しております、皇様。最近は頻繁にテレビで拝見しておりましたのであまり久しぶりな気はしませんが。」


「あはははは。人気者は困るよねぇ。俺はモザイク顔の唯ちゃんしか見てないから寂しかったよ。」


「ご冗談ばっかり。」


「えー、本気なのに。あいかわらずつれないなぁ。ところでなんで今日はそんなに硬いの?いつもみたいに一弥って呼んでよ。あぁ、頭に『大好きな』ってつけてくれてもいいよ。」


「本日は高良田の代理で参りましたので。高良田にはしっかりと『大好きな一弥』と呼ぶようにお伝えしておきます。」


一弥の少し後ろに男性が二人。

ひとりは以前パーティでも見たこの事務所の社長だ。もう一人は40代の男性だった。マネージャーかそれとも歌手部門の担当者か・・・・・。

2人とも真っ青な顔で私と一弥のやりとりを聞いている。

・・・・・・・主犯はやはり一弥こいつか。

事務所主導で無視をしていたのなら、ある程度の結果は予想していたはずだ。

今更こんなに青くなるはずがない。


一弥の事務所は限りなく小規模に近いくらいの中規模事務所だ。

歌手やタレントを複数有しているが、一弥以外は『あぁ、なんとなーく見たことあるけど、名前は覚えてない』と視聴者から思われている知名度の者しかいない。

一弥は間違いなく事務所の稼ぎ頭で、事務所側よりも一弥の方が権力を握っているのだろう。


・・・・・・・今日話さないといけない相手はこれで確定だ。



「唯ちゃん、話があるんでしょ?応接室あっちで聞くよ。」



その軽薄な唇はどんな言葉を紡いでくるのやら。


一弥を先頭に4人で応接室に向かった。






ひさしぶりに刺々しい!?唯が書けてスッキリ。

次回も強さを取り戻した唯が頑張ります!


ブクマありがとうございます。


再評価、感謝です(^-^)

なんかストーリー満点おねだりしたみたいになってすみません。

でもとっても嬉しいです!

これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ