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買ってもらった服を着てメイクをする。
ロングチャイナドレスような形のトップスは袖や襟元は白で胸元から黒に切り替わるツートンカラーで、白い襟は顎を覆うほどに大きく高く広がっていて、そこから胸元まで入ったスリットが鎖骨をチラ見せしてセクシーだ。
腰から足元にかけても大胆にスリットが入っていて、白いガウチョパンツがそこから見える。
モノトーンですっきりとまとめたスタイルは私の長身をよく活かしていてさすが凄腕販売員が選んだコーディネートだと頷きたくなる出来上がりだ。
メイクはいつもより濃く派手に。
エステのおかげでいつも通りに戻った目に、しっかりメイクを施していく。
特にアイラインは自分の意志が強く伝わるように長く吊りあがり気味に。
髪はまとめずにそのままストンと落とすとシャープなイメージに出来上がった。
鏡の前で仕上がりを確認して気合いを入れる。
自分でいうのもなんだが、モデル風に仕上がったはずだ。
これで執事になんて見えないだろう。
ピンポーン
迎えが来た。さあ、出陣だ!!
運転手に連れられて車に乗り込んだ私を見た流は、ちょっと固まった後ニヤリと笑った。
「いい顔になったな。それでいい。」
「ありがとうございます。全て流様のおかげです。」
「気にするな。俺は俺のやりたいようにやっただけだ。」
かっこいいなぁ。
いつもこうだったら尊敬するのに。
時々出てくる面がびっくりするくらい残念すぎる。
それがなければ華穂様の相手として申し分ないのに。
「流様、申し訳ございませんが邸ではなくこちらの住所に送っていただけますか?」
ホテルで貸し出されていたパソコンで調べた住所を印刷した紙を流に見せる。
「構わないが・・・・・。何をする気だ?」
「ちょっ殴り込みにいってまいります。」
にっこりと言い放った言葉に流はクククッと笑って答えた。
目的地に近くなった頃に私は聞かなければならなかったことを思い出した。
「流様、昨日は私のせいでお時間を取らせてしまい聞かずじまいだったのですが、どのようなご用件だったのですか?」
すると流はちょっと顔をしかめた後バツの悪そうな顔になった。
「あー・・・・・・そう、そうだ!土産を持ってきた。」
「土産?」
「あぁ、一昨日まで出張でフランスに行っていた。」
ごそごそとバッグから両手のひらに乗るくらいの箱を渡される。
箱だけでもフランスの有名ブランドだとわかる。
「わざわざありがとうございます。
私から華穂様にお渡ししてもいいのですが、流様が直接お渡しになられた方が華穂様も喜ばれると思いますので、これはこのまま流様がお持ちください。」
返そうとするとすごく嫌そうな顔をされた。
「何を言っている。それはお前にだ。
華穂には華穂の分を準備してある。」
「え?」
とくんと鼓動がひとつ鳴った気がした。
そこからじわじわとあたたかいものが広がっていく。
どうしよう。すごく嬉しい。
自分宛のお土産なんて久しぶりだ。
『使用人みんなでわけて』というお土産は裕一郎様からよくもらうが、やはり自分用というのは特別な感じがする。
昨日からとても『唯』が喜んでいて舞い上がってしまいそうだ。
「ありがとうございます。・・・・・開けてみてもいいですか?」
「あぁ。」
出てきたのは香水だった。
綺麗なカットガラスの容器の中に薄い緑色の液体が揺れている。
「使ってみろ。お前に似合うはずだ。」
手首に少しだけつけてみる。
ポンプを押した瞬間、新緑のような爽やかな香りが広がった。
この香りがを似合うと流がおもってくれていると思うとくすぐったく感じる。
「素敵な香りですね。本当に昨日から流様にはよくしていただいて、どれだけ感謝しても足りません。」
昨日の朝の気分とは天と地との差だ。
昨日の夜も思ったが、その時以上に今だったらどんなことでもできそうな気がする。
「俺はお前が元気でいればそれでいい。」
言われた言葉に胸が高鳴る。
これで他意がないのはいいことなのかタチが悪いのか。
特別な感情があるわけではないとわかっていても、顔が赤くなってしまう。
天然タラシというのはこういう人のことをいうのかもしれない。
「はい。元気が出ました。頑張って決着をつけてきます。」
車は目的地に到着した。




