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「槙嶋様のおっしゃった通りですね。」
「え?」
「槙嶋様が『あいつは奥ゆかしいから絶対に必要ないというはずだ。服は最低でも3セットは選ばせろ』とおっしゃっていました。」
奥ゆかしい・・・・・・?
流は日本語の意味がわかっているのだろうか。
「そういうわけですので、最低でも3セットはお選びください。選んでいただくまでわたくしこちらでお待ちしますので。」
・・・・・・・・・・・。
「そのような顔をなさらないでください。男性からのプレゼントを気前よく受け取るのもいい女の条件ですよ。それにファッションは女の武器です。気が滅入る時ほど気合いを入れなくては。」
その言葉を聞いて気がついた。
この人は私が騒動の渦中にいることを知っているのだと。
考えれば簡単なことだ。
報道されている社長令嬢が華穂様だというのは広く知れ渡っている。
私にあったことがある人であればすぐに私が渦中の人物であると気づくはずだ。
「わたくしの一押しはこちらなんですけど、ちょっと鏡の前までいきましょう。」
そうして鏡の前まで連れていかれ、ファッションショーがはじまった。
自室とは違うキングサイズのふかふかベッドに寝転がって先ほどのことを考える。
ファッションショーを終えた後、私は今回の騒動で彼女に謝った。
豊福デパートも高良田グループの一社として被害を受けているはずだ。
すると彼女はきょとんとした後、笑ってくれた。
「誰も平岡様のせいだなんて思っていませんよ。
芸能人だって人間ですもの。
誰と恋をするのも自由だわ。
そんなことにいちいち文句を言う方がおかしいのよ。
文句を言う暇があるなら自分を磨いて振り向いてもらう努力をすべきだわ。」
コロコロと笑っているが、報道については思うところがあるようだ。
「それにああいう話もどこまで本当かわからないしね。
最初はお相手は華穂様だって騒いでいたし。
少なくともわたくしがお会いしたことのある平岡様は、お仕事熱心なしっかりされた方だったから、嫌がらせを受けるような方ではないと思っているわ。」
それに・・・・と選んだ服を畳みながら続ける。
「こんなに素敵な贈り物をくださる殿方が別にいらっしゃるんだし、テレビなんて信じられないわ。」
いたずらっ子のように目を細めてこちらを見てくる視線痛い。
すみません、私もなんでこんなことになってるのかわからないのでツッコまないでください。
私が困っているのがわかったのか、彼女はすぐに視線を下げた。
「申し訳ございません。
立ち入ったことを申しました。」
ぺこりとあたまを下げると、明日必要な道具以外はも高良田邸に配達するといって帰っていった。
自分と少ししか会ったことのない彼女でもそう思ってくれたのだ。
今までは邸内の人々のことばかり気にしていたが、まわりの人にも心配をかけているかもしれない。
隼人なんかはテーマパークで一緒にいたし性格上とても心配しているかも。
それとも最初の華穂様との交際報道の方でショックを受けただろうか。素直に報道を信じそうで怖い。
空太は華穂様との報道初日に華穂様宛に連絡が来て、根も葉もないことだと言っておいたから報道に怒っているかも。
ん?そういえば流は邸に来た時に報道がどうのと言っていなかっただろうか。
何をしにきたのだろう?
いろいろあって聞きそびれていたが、明日は忘れずに用件を聞かなければ。
明日の着替えとして残された服を見る。
『これを着ていたら誰も平岡様を執事だなんて思いません。』とにっこり笑って言われた言葉を思い出す。
そうだ。せっかくばれずに邸の外に出たんだからそれを活かさずにどうする。
幸い顔はバレていない。
燕尾服を着なければ私が報道の人物だと私を知っている人間以外にはわからないはずだ。
今日は流のおかげでゆっくり休めた。
『執事』の顔を続けていたらきっとこんなにスッキリすることがなかったはずだ。
今だったらいつもはできないような大胆なこともできる気がする。
せっかく唯に会ったのだから、屋敷に帰るまで唯をおもいっきり満喫しよう。
そう心に決めてまぶたの腫れを取るべくエステの予約をした。
評価2件目ありがとうございます。
ストーリー満点いただけてとっても嬉です(^-^)
最近話さくさく進めることができず創作力不足を実感して凹んでましたが、楽しんでいただけているのがわかって元気が出ました。
これからもよろしくお願いいたします。




