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前半華穂視点。後半は唯視点。
宗純先生の作品の前に戻ってきたけどそこに流はいなかった。
当たり前だよね。
どのくらい時間が経ったかわかんないけど、叩かれたところにずっといるわけないよね。
まわりをきょろきょろ見回すけど唯さんも見当たらない。
一緒にいるのかな。
「どうしました?」
後ろからかけられた声にびっくりする。
なんかわたし、今日は宗純先生に驚いてばっかりだな。
「あのっ、流に謝ろうと思ったんですけどいなくなってて・・・・。」
そう伝えると、宗純先生は他のお弟子さんのところに話を聞きに行ってくれた。
「槙嶋様は平岡さんに連れられて会場を出られたそうです。平岡さんと連絡は取れますか?」
「あー、スマホ、部屋に置いてきちゃってて・・・・。」
受付してる間はどうせ見れないから邪魔だと思って、ホテルの部屋に置いてきていた。
「ちょっとわたし、連絡してきます!」
「私も一緒に行きましょう。槙嶋様には私も詫びをしなければなりません。」
「宗純先生も?」
「弟子の不始末は師匠の責任ですから。」
「すすすすすっすみません!!」
わたしはちょっと青ざめながら急いで部屋に向かった。
ガチャッ
慌てて扉を開けて中に入ろうと一歩踏み出す。
「!!!!!!!??????」
バタンッ
思わず同じ勢いで扉を閉めた。
いいいいいいいいいい今のは気のせい!?
み、見間違い!?
りゅ、流と唯さんがキスしてた!!!???
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頬に当てていたタオルを外して様子を見る。
華穂様はおもいっきり叩いたらしく、ずっと冷やしているのだが、ちっとも赤みが引かない。
困ったな。
華穂様の様子を見に行きたいがこのまま流を放置するのは無責任だし、こんなに頬を腫らした人間を連れ歩くわけにはいかない。
どうせ赤みが引かないならこのまま帰ってもらってもいいのだが、華穂様の性格上怒りが収まったら謝りたいと考えるだろう。
それだったら今日のうちに謝ってしまった方がいい。
テーブルの上に置かれた携帯にちらりと視線を投げる。
まさか別行動することになるとは思っていなかったので携帯を置いていくという華穂様に何も言わなかったが、こんなことになるなら持っておいてもらうべきだった。
おそらく宗純と一緒にいるのだろうが、宗純への連絡はいつも花柳邸にかけていたので携帯番号は知らない。
自分で持っててくれてもいいんだけど・・・・
今の状態は流が一人用のソファーに座り、わたしがその前に跪いて流の頬を冷やしているという状態だ。
時折、タオルを冷やし直しに動くものの、いい加減 着物姿で中腰もきつくなってきた。
しかし、ここまで来て今更『自分で冷やしてください』とは言いづらい。
しっかり氷を包みなおして再びタオルを流の頬に当てる。
すると、私の手の上から流がタオルを押さえてきた。
「・・・・まだ痛みますか?」
「あぁ・・・だいぶ効いたな。」
うちのお嬢様がすみません・・・・。
「綺麗な手をしているな。」
・・・・・・はい?
「冷たくて気持ちいい。」
それはずっと冷やしたタオルを握っているからかと
・・・・・。
「今日の着物の柄は川か。お前のようでよく似合っている。」
・・・・・それはつまり私が川みたいに冷たいってことですかね?
なんとも返答に困る言葉をもらって微妙な顔になる。
一応、褒め言葉と受け取るべきだろうか。
「ありがとう・・・ございます。」
さっきから至近距離にいるせいで流の視線が痛い。
じっくり見られている気がして落ち着かない。
「お前は・・・・
ガチャッ
バタンッ
突然の音に後ろを振り返る。
ドアがしまった音がしたがそこには誰もいなかった。
不審に思い、ドアを開けて廊下を見る。
そこには真っ赤になった華穂様といつも通りの無表情の宗純がいた。




