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華穂視点。

一弥が開けてくれたドアを通り抜ける。

その光景に息を飲んだ。

逆光だから顔は見えにくいんだけど、肩から纏っている薄いチュールは夕陽浴びてキラキラと輝いてる。

着ているドレスもラメ素材か何かが使われてるみたいで輪郭が淡く光って神々しい。

別世界に迷い込んだような気分になった。


「華穂様。」


女神様から声をかけられる。

その声はいつもと変わらない。

わたしは思わず飛びついた。


「唯さ〜〜〜〜〜〜ん!!」


優しく抱きとめてくれる唯さんの腕はドレスの素材がラメでザラザラしてるからちょっと痛い。

逆に現実感が出てホッとする。


「会いたかった!!心配したんだよ!?いっくんに何もされなかった???」


ぎゅっと抱き着いていた腕を緩めて、唯さんの顔を覗き込む。


「会いたかった??心配??え???」


びっくりしていた唯さんの顔がだんだん困惑したものになっていく。


「いっくんが唯さん誘拐したなんてメッセージ送ってくるから、会えなかったらどうしようって・・・・」


「・・・・・・華穂様、ちょっと失礼します。」


にっこり笑って唯さんが抱きついていたわたしから離れる。

ドレス姿で微笑む唯さんはとっても綺麗。

なんだけど、なんだか宗純先生並の冷気が漂ってるのは気のせい・・・・じゃないよね。


長いドレスの裾やチュールを揺らしながら唯さんが優雅に歩いていく。


「一弥。どういうことか教えてもらえる?」


女のわたしでもうっとりしちゃうような微笑みを浮かべる唯さんの前で一弥が跪く。

その隣では隼人くんが冷気の流れ弾を受けて凍りついてる。


「女王様の仰せのままに。」


手を取ってその甲に口づける。


すっごく綺麗な光景なのに寒気が止まらなかった。




にこにこ微笑む唯さんの隣にわたし。

唯さんの正面でそれを面白そうにどこかうっとりした様子で眺める一弥とその隣で座る隼人くん。


四人でコーヒーを飲んでるんだけど、正直味がしない。

たまーにちらっと隼人くんと目があうんだけど、隼人くんも多分同じこと考えてるんだと思う。

とにかくこの場から逃げたい。


「つまり、私を誘拐したことにして華穂様たちをパーク中歩き回らせたと?」


「ま、そーゆーこと。

普通に遊んでも楽しいけど、なんか目的意識があった方が連帯感が出てより楽しいでしょ?」


明らかに唯さん怒ってるのに悪びれた感じがない。


「ね!華穂ちゃん、隼人!」


こっちに振らないで〜〜〜〜〜〜〜!

たっ確かに楽しかったけどっ!


「攫われたお姫様を助けるなんて物語の王道じゃん。

今回は女王様だったけど。

てことで、唯ちゃんには格好も女王様になってもらいました。」


唯さんの今の格好は完璧に雪の女王だ。


「100歩譲って、今回の演出は華穂様達を楽しませるためだったからいいとして、どうして私に言わなかったの?」


「そりゃあもちろん反対されるから?」


「・・・・・・反対されるようなことを無断でやっていいと思ってるの?」


「結果オーライ?何事もやってみないとわかんないからねぇ。」


・・・・・・笑顔のまま唯さんの眉間にシワが寄った。


「で、もし華穂様たちが間に合わなかったら私はどうなってたの?」


「あーあ、今晩はせっかく唯ちゃんとベッドで語り合えるとおもったのに。」


「華穂様、携帯電話を貸してください。」


今の唯さんに理由を聞いちゃいけない。本能がそう言ってる。


私からスマホを受け取ると唯さんは素早く操作してすぐに返してくれた。

あ、一弥のメッセージ、ブロックされてる。


「隼人様、私たちはこの辺りで失礼しますが、隼人様はどうなさいますか?」


「えっ、えーっと・・・・・」


隼人くんは唯さんと一弥の顔を焦ったような表情で交互に見比べている。

それと比べて一弥は余裕の表情。


「別に帰るんなら止めないけどさぁ。その格好で帰んの?」


あ、唯さん雪の女王のままじゃ帰れないよね。


「・・・・・そういう言い方するってことは、私の服はあんたが持ってるってこと?」


「ご名答。」


うわぁ!唯さんから『あんた』なんて言葉初めて聞いた!

こっこれってかなり怒ってる・・・ってことだよね。


「・・・・・変態。」


「否定はしない。」


唯さんの眉間にさらに皺が増えた。

それを楽しそうにニヤニヤ眺めてる一弥は確かに変態かも。

それとも好きな子ほどいじめたいってことかな。


パンッ パパパパパパッパン


わりと近くから聞こえた大きな音にビクリとして窓の方を見る。

お城が見える位置に大きく取られた窓から花火が見える。


「夜のパレードが始まったねぇ。」


キラキラ光るステージと光の中で踊るキャラクター達。

昼間のパレードももちろんよかったけど、イルミネーションがあるとまた違って見える。

昼間は元気いっぱいで楽しい感じだったけど、夜は幻想的。


「きれい・・・・・」


思わず零れたわたしの一言で、唯さんの雰囲気がやわらいだのがわかった。


「はい、とても綺麗ですね。」


・・・自分で言うのもなんだけど唯さんはわたしに甘い。

きっと今回もわたしがパレード見たいだろうと思って、ここでゆっくり過ごすことにしてくれたんだろうな。


パレードを楽しんでいると食事が運ばれてきた。

一弥によるとここは貸し切りでパレードを見ながら食事ができるのがウリらしい。


唯さんの冷気が止まったから隼人くんもいつもの様子に戻る。

4人で賑やかにおしゃべりをしながら食べる食事はとっても楽しかった。







初投稿から2ヶ月。

読者の皆様のおかげで頑張ってこれました。

ブクマ、拍手、とっても励みになります。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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