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招待状の問題はすぐに解決した。

裕一郎様に華穂様のパーティーへの参加承諾を取りに行った時に説明をしたら、裕一郎様も招待されているが仕事で行けないので華穂様を自分の代理として行かせるようにして、流の招待状は私が使うといいということになった。



翌朝、すぐに流に電話をする。


「おはようございます。平岡です。お時間よろしいでしょうか?」


「あぁ、どうなった?」


「パーティーには参加は可能です。裕一郎様も許可をくださいました。

ただし、いくつか条件が。

まず、槙嶋様の同伴者としてではなく裕一郎様の代理としての出席であること。

華穂様の希望で私もご一緒させていただくこと。

最後に、絶対に華穂様のことを婚約者だと周りに話したりしないこと。

それでもよろしければ、参加してもよろしいそうです。」


「ふむ・・・気に入らんが仕方ない。いいだろう。

昨日の荷物はまた送っておく。」


「かしこまりました。では、当日のお迎えをお待ちしております。」





流から送られてきたのはドレス・靴・アクセサリーの一式だった。

ドレスは裾がふんわりと広がったAラインドレスで、パステルブルーの生地に銀糸の刺繍とスワロフスキーがきらめいている。

靴もアクセサリーもそれに合わせたもので、上品だが華穂様の可愛らしさによく合いそうだ。


「・・・・・すっごく素敵だけど、これ本当にもらっていいのかなぁ??」


中身は気に入ったものの、送り主と予想される金額に微妙な表情をする華穂様。


「お返ししたところで槙嶋様にこのドレスの使い道があるとは思えませんし、迷惑料ということでいただいておきましょう。」


「でも、すっごく高そうだよ?」


「まあ、たしかに高価なものですが靴やアクセサリーはともかく、ドレスに関しては華穂様しか着れないものですので、お返ししてもこのままお蔵入りか最悪処分されるだけかと。

それではドレスが可哀想なのできてあげたほうがよろしいと思います。」


「私しか着れない??」


「豊福デパートでご購入いただいたようですので、華穂様ピッタリのサイズに仕立て直しがされているはずです。」


豊福デパートには先日測った華穂様のスリーサイズを始めとした身体データが保管されている。

おそらく『婚約者に内緒でプレゼントしたい』とでもいって購入したのだろう。

もちろんスリーサイズは大事な個人情報なので本人以外には明かしたりしない。仕立て直した品はデパートから直接、個人情報登録先のこの屋敷へ送られているはずだ。


「そういうことなら仕方ないよね。・・・・・大人しくもらっといてあげよう。」


そう口にする華穂様は本心では嬉しいのだろう。ちょっと顔がにやけていた。




あっという間にパーティー当日。流は時間ぴったりにやってきた。


「ほぉ・・・・馬子にも衣装だな。」


・・・・・・これは華穂様ではなく私に向けられた言葉だ。

今日は私もパーティー招待客ということで、いつものスーツや燕尾服ではない。

ダークグリーンのサテンの生地を使った膝丈のワンピースとアイボリーのストール、アクセサリーは華穂様と合わせてシルバーを着けている。


「・・・・・・槙嶋様、お褒めいただくのは光栄ですが、それは女性にいう言葉ではありません。」


そう、この男の恐ろしいところは、バカにしてるつもりは一切ないのに、相手に誤解される言葉を選ぶ言語センスだ。

これで一流経営者なのが信じられない。ゲームの世界恐るべし。


「槙嶋さん、この度は素敵なドレスをありがとうございます。」


私の後ろで待っていた華穂様が流にぺこりと頭を下げる。


「流でいい。あぁ、思ったとおりよく似合っているな。選びに行った甲斐があった。」


「え?槙嶋さんが選んでくれたんですか?」


意外である。この男のことだから秘書にでも頼んで注文させたのかと思った。

華穂様も同じような考えだったようでびっくりした顔をしている。


「流だ。

先日のパーティーで着飾ったお前はとても綺麗だったからな。

俺の選んだ服でもっと俺好みにしたくなった。」


・・・・・・・・・・・・。

こういうことが素面で言えるのも言語センスの問題だろうか。


「そ、そぉですか・・・。」


華穂様は真っ赤になって俯いてしまった。


「そろそろ時間だから出るぞ。」


若干、流以外に微妙な空気が漂ったまま私たちは車に乗り込んだ。


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