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パーティー会場には問題なく到着した。
入場の時に流が当然のように華穂様に『腕を組め』といった態度で肘を差し出したが、そんな文化のない華穂様にはもちろん通じないし、通じたところで拒否されるのは確定なので、何か言う前に目線で肘を引っ込めさせた。
今回は流のパートナーではなく裕一郎様の代理なので、1度流と距離をとってから入場する。
・・・・・・・・・と、意外な人物に声をかけられた。
「こんばんは。華穂さんもきてたんですね。」
「こんばんは。秀介さんに会えるなんてびっくりしました。」
「そのドレスとても似合ってますね。平岡さんも、スーツ姿とは随分印象が違って見えます。」
「ありがとうございます。」
・・・・・・・・・・・おかしい。
前世でやったゲームではこれは流の専用イベントだったはずだ。
秀介が出てくるはずがない。
現実の話をすれば、今日は経済界の大物が主催する親睦会なのでいてもおかしくないといえばおかしくないのだが。
「裕一郎さんもご一緒ですか?」
「いえ、今日は父の代理で・・・・・」
「華穂、そいつは誰だ?」
ちょっと険しい顔をした流が割り込んできた。
流の態度に顔をしかめる華穂様。
「そいつって・・・・。
こちら三条病院の先生の三条秀介さん。
我が家のかかりつけ医をしてもらってるんです。」
「あぁ、三条の跡取り息子か。」
「何度かパーティーでお見かけしていましたが、ご挨拶するのは初めてですね。
三条秀介です。以後、お見知り置きを。槙嶋流さん。
ところで、華穂さんとはどんな関係で?」
「華穂は俺のこ・・・・」
目からビームが出せるんじゃないかとおもうくらい睨みつけたら発言は止まった。
『婚約者』はタブーである。
「本日、華穂様は裕一郎様の代理でいらしたんですが、なにぶん不慣れなので社交界にお顔の広い槙嶋様に連れてきていただいたんです。」
流が余計なことを言わないうちにフォローに入る。
「そうだったんですか。裕一郎さんらしい気遣いですね。
僕も今は皆様に顔を覚えてもらっている段階でして、本当は僕がお力になれればよかったんですが。」
「いえ、秀介様には華穂様のお話を聞いてくださることで十分お力になっていただいております。」
「はい!秀介さんとお話するとすっきりしてまた頑張ろうっておもえます!!」
・・・・・まずい。流の方から不穏な空気が流れてきた。
早くこの場を離れねば。
「申し訳ございません、秀介様。この後、槙嶋様のご挨拶についていく予定ですので、この辺りで失礼させていただきます。」
ちょっと強引かつ執事から言うのは失礼だが仕方ない。
流の機嫌をとりつつとにかく早く離れなければ。
「あぁ、引き留めてしまってすみません。
挨拶回りが終わったら、またゆっくり話しましょう。」
「はい!秀介さん、また後で。」
華穂様が小さく手を振ると秀介はもといたグループの中に戻っていった。
「槙嶋様、槙嶋様は主催者の方とも親しいと思いますので、是非とも裕一郎様の代理として華穂様を紹介してきてください。私はこちらに控えておりますので。」
間違っても婚約者としては紹介しないように。
「え、唯さん一緒に来てくれないの?」
「執事の出る幕ではございません。大丈夫です。槙嶋様は一流のビジネスマンですから、ご挨拶の仕方をしっかり見て学んできてください。
槙嶋様、華穂様よろしくおねがいいたします。」
「あぁ、安心して任せろ。」
ちょっとは機嫌が直ったようだ。
相手の気持ちは汲み取れないのに頼りにされてないと拗ねるなんて、なんて面倒くさい性格なんだ。
一応、華穂様に信頼されてないとわかるあたりまだマシなのだろうか。
主催者と挨拶しているふたりを見ながら、パーティーが無事に済むかどうか心配になった。




