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華穂視点。

コンコンッ



ノックの音にビクッとする。



「は、はーい!」



あぁあ、声が震えちゃう!!



「華穂様、お食事をお持ちいたしました。」



こっちの緊張なんてお構いなしにドアの向こうから声が聞こえてくる。



「どうぞ。」



ドアが開いて、布のかかった銀色のカートを押した里美さんが入ってくる。

駆け寄りたいのを我慢してジッと里美さんの動きを確認する。

里美さんがドアを閉めるまで、早く早く・・・・。

我慢我慢と思ってるのに、思いとは反対にジリジリと足が勝手にカートに近づいていく。



ガチャッ



里美さんが扉を閉めた瞬間、私はカートに飛びついた。



「うわっ」


ごろんとカートから大きなものが転げ落ちる。

布越しにくぐもった悲鳴が聞こえるけど、そのままぎゅっとしがみつく。

・・・・・・・布越しでもあったかい・・・。



「ごめん・・・・、ごめんね・・・・・・。」



わたしのせいで空太を巻き込んじゃった。

お父さんみたいに会えなくなるかもしれないところだった。


泣くつもりなんてないのに、涙がボロボロこぼれてくる。


ポンっと頭を叩かれた感触に顔を上げると、空太が困ったように笑ってた。



「俺の方こそごめんな。心配させて。

あーあ・・・・・、こんな顔になって・・・・・。」



空太の大きな親指が目の下を拭っていく。

あ・・・クマ・・・・。



こほんこほんっ



っ!!??



離れたところから聞こえてきた音に、飛び上がる。

音の方を見ると里美さんが赤い顔で目をそらしていた。


!!!!里美さんのことすっかり忘れてたっ!!!



「華穂様、私はいったん失礼します。

1時間半後、夕食を下げるのと同時に桜井さんを迎えに来ます。

それまでにこれからのことを話し合ってください。」


「わかりました。

無理を聞いてもらってありがとうございます。」



里美さんはぺこりと頭を下げると出て行った。




「きゃっ!!」



急に下から引っ張られて、バランスを崩して倒れこむ。

引っ張ったのは空太で、倒れた先はもちろん空太の上。

そのままぎゅっと抱きしめられる。

・・・・・・なんだかさっきと逆みたい。



「やっと会えた・・・。」



すごくホッとしたような声にまた目がうるうるしてくる。



「わたしも・・・会いたかったっ!!!」



会いたかった、会えてよかった、無事でよかった、ホッとした。

心配させてごめん、巻き込んでごめん、辛い目にあわせてごめん。

きつく抱きしめられてるのが、苦しいけど心地いい。


話すこと、謝ることはいっぱいあるのに今はいろんな感情がぐちゃぐちゃになって涙と嗚咽しか出てこない。



ぐっぐぐぅーーーーきゅるる



「?」



そんな音が空太のお腹から聞こえてきたのは、わたしが少し落ち着いてきてからだった。

空太の顔を覗き込むと、赤い顔を背けられる。



「・・・・・・・・。」


「・・・・・・・ぷっ。あははははははははっはははっ」


「あ“ーもう!!仕方ねぇだろっ、安心したら・・・・・。

好きで鳴らしてるわけじゃねぇんだから、そんなに笑うなよっ!」


「ごめんごめん・・・・・・、少し・・・痩せたね。」



少しコケてしまった頬に手を当てる。



「ご飯・・・食べさせてもらえなかった?」


「いや、俺が最近勝手に断食してただけ。

・・・・・・あんま飯食わなかったら心配して開けてくれるんじゃないかとか思って。

食事はいつもの料理長のうまい飯だった。」



・・・・・あの空太が断食してた。

それだけで、どれだけ必死だったかわかる。

施設で育ったわたしたちはどれだけ食事が感謝しないといけないものか知ってるし、料理人の空太なら作った人の想いもわかってる。

だから空太はいつも絶対に残さない。

食べ残すことに罪悪感がある。

しかも空太が尊敬する料理長の料理・・・・。

心苦しかったろうな。



「ご飯、空太の分も持ってきてもらってるから一緒に食べよう。」



空太の上から立ち上がって、そのまま空太を引っ張り上げる。

食べながら話さなくちゃ。

これからのことを。

あー、1ヶ月かかってこんだけしか進んでなくてすみませんorz

言い訳は活動報告で・・・・・

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