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最後がこの人でよかったー・・・・・
最後の攻略対象者が現れたのは、宗純が去ってからすぐのことだった。
明るい色の前髪は真ん中で分けられ、そこから見える額は知性を感じさせる。
顔立ちは甘く柔和で、笑顔を浮かべたその姿はやさしいお兄さんそのものだ。
こげ茶色のスーツとベージュのシャツが更に彼の柔らかさを印象付けている。
三条秀介
三条病院勤務医、32歳。
アメリカで医学を学び医師免許を取得。専門は心臓外科。
アメリカでも未来のゴッドハンドと注目されていた若手医師で、理由があり今年日本に帰ってきた。
名前の通り三条病院は一族経営の大病院で跡取り息子。
優しい診察と確かな腕、そして甘いマスクでで患者さんから看護師さんまで絶大な人気を誇る。
三条家も古くからの医師の家系で、昔は高良田家のお抱え医師だった。
時代の流れによりお抱え医師でこそなくなったものの、今でも代々主治医として世話になっている。
「お父さんに聞いてはいたが、随分立派になって帰ってきたね。」
「なかなかご挨拶にうかかえず申し訳ありません。今日は父の代理で出席させていただきました。」
秀介の優しい笑みにそれを見ていた女性たちがポッと頬を染めている。
「・・・・少しお疲れのようですね。
式典の準備で忙しかったかと思いますが、無理は禁物です。
何かあればすぐに相談してください。」
「・・・・・・・さすがにお医者様の目は誤魔化せないな。忙しいのは今日がピークだし終わったらしっかり休むよ。」
その言葉を耳にして華穂様が目を丸くしている。私も表情にこそ出さないが驚いていた。
裕一郎様は私の目からはいつも通りに見えた。もちろん裕一郎様がそう振舞っているというのはあるだろうが、目の下にクマがあったり、動きが鈍かったりなどの疲れを示す身体的特徴は見受けられない。
それなのに裕一郎様が自覚するくらい感じている疲労を見抜くことができるとは。
腕はかなり確かなようだ。主治医として心強い。
「もうすぐ人間ドックの時期でしたね。ぜひ、お嬢さんと一緒にお越しください。」
「そうだな。華穂、三条秀介くんだ。病気はもちろん健康診断や予防接種で何かとお世話になることになる。
しっかり挨拶をしておきなさい。それと、唯くんも。」
そう言って裕一郎様が振り返ったので、私も華穂様の隣に立ち続けて挨拶をする。
「華穂様の執事を務めます、平岡です。三条様へのご連絡は私の方からさせていただくことになるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
「こちらこそどうぞよろしくお願いします。
うちは三条がたくさんいますから、下の名前で呼んでください。
華穂さんだけでなく平岡さんも気になることがあれば、気軽に相談してくださいね。」
そう言って微笑む姿はまさに正統派王子。白馬が大変似合いそうだ。
流のときは離れていたし、一弥のときは腹が立っていたのでなんとかなったが、この距離でこの笑顔は破壊力がありすぎる。
自分の顔が赤くなってないか心配だ。
「連絡はこちらの番号にください。院内呼び出しでは時間がかかると思いますから。」
華穂様と私に渡された名刺には名前と直通番号が載っていた。
期せずして本日2件目の連絡先ゲット。
「病は気からと言いますから、悩み事の相談なんかも受けますよ。」
笑顔を絶やさない医師は、今度は保健の先生のようなことを言っている。
こんな保健の先生がいたら、毎日保健室は女子生徒で一杯だろうなぁと思った。
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