071話 『真紅の隠された力の目覚め』
今回はセリエの内に眠るもう一つの意思がでてきます。
―――フォースピア、フェニキアの森。
「……あ…あ……あ…!」
セリエはメルヴァ・レイの魔力に怯え震えていた…
「セリエさん!?」
「どうしたの!?」
「くぅっ…雫さん、真紅さん、海斗さん! おそらくセリエさんは森の外からビシビシと感じてくる巨大な気にあてられてしまったようです…! わたくしも恐怖で体がいう事を聞きません!」
「巨大な気…!?」
「…い、かなければ…」
セリエは突然小屋を飛び出していってしまった。
「あ、セリエさん!」
「彼女を追うわよ! 輝羽さん…いける?」
「な、なんとか…」
「わかったわ。いくわよ! 神速武装!!」
カッ!
「「「解咒!!」」」
そして三人はセリエを追っていった。
◆◇―――――――――◇◆
一方、メルヴァと交戦しているガリウス達は…、
「鋼糸!」
ギュルッ!
「!?」
「捕らえた…! 落ちろ! ハアァァァァーーーッ!!」
ランカは鋼糸を何本も放ち高速で動くメルヴァの足を辛うじて捕らえて地面へと落とした!
「ぐっ…!」
「今よニュルンベルグ!」
『Comprehension, master! Ashkelon! Set!(了解、ご主人! アスカロン! セット!)』
するとアイラの拳に光の光弾が形成されメルヴァに接近し、
『Ashkelon shot!!(アスカロン・シュート!!)』
「受けなさい!!」
ズガンッ!
「ぐあっ!」
アスカロンと呼ばれる光の光弾は拳とともに胸にめりこんでメルヴァの体の内部に強烈な衝撃をあたえた。
「アイラ!!」
「はい!」
すぐさまアイラはその場を離れるとガリウスが空中で魔法の詠唱をしていた。
「大いなる無限の閃光! 闇を払い滅する高熱! うけよ! ライジング・プロミネンス!!」
唱えおわった瞬間、メルヴァを光の渦が捕らえ凄まじい閃光とともに巨大な爆発を引き起こした。
…それを見ていた一同は、
「す、すごい…!」
「いい連携攻撃でしたね!」
ゴゴゴゴゴゴッ………
爆煙が高々と上がり三人は軽く息継ぎ繰り返していた…
「…ここまでして、なんだが…」
「そうですわね…」
「えぇ…」
そして煙が晴れた時、空に四肢がなくなって体中がズタズタになっているメルヴァの姿があった…
「……、…くけけけ……」
「「「「「!!」」」」」
「…いいよ、いいよ! やっぱりおまえらはわたしの渇きを潤してくれるわぁ…この痛み……快適よーーーっ!!」
ズボボボッ!
シュウゥゥゥ…!
いきなり吹き飛んだ四肢も傷もすべて再生しもとの姿に戻った。
「そんな…!」
「あの再生力…尋常じゃねぇ!」
「あれがフェニックスの不死ゆえの力なのか…!」
クリス、翔、久刻がその再生力に驚きを見せていた。
「そうよ! しかもやっかいなことに彼女は痛みを快楽と感じてしまうから今のでますますヒートアップしてしまったわ…!」
「いいよいいわよ! あんた達はやはりやつに続いてわたしを楽しませてくれる恰好のエサよ! さぁ……今度はこちらからいくよっ!!」
シャッ!
「消えっ…!」
メルヴァ「シャアッ!」
ザシュッ!
「ぐあっ!?」
「あぁっ!?」
「!?」
ガリウスが気付いたたった一瞬の間にメルヴァは二人を剣を振り回して上半身下半身と半分に切り裂いていた!
「ランカ! アイラ!」
「次は…お前だよ!」
「はっ!?」
ジャキッ!
メルヴァはガリウスの首に左右反対に十字に剣を構え、そして…
「魔炎裂双!!」
一気に左右に広げるようにガリウスの首を刎ねた。
そして三人の体は瞬時に燃え盛り倒れた…
「「「「「!!」」」」」
「「きゃあーーーッ!!」」
クリスと衛巳が悲鳴を上げる。
「…嘘です…ガリウスさん達があんな簡単に…」
「そんな…」
「くそぅっ!」
「…俺たちでは…」
「…そうだな。あの人たちであれなのだからな…」
一同が絶望に駆られている中、メルヴァだけは高笑いをあげて喜んでいた…!
「…はははは…は、はぁ……さぁて、残りはお前達だよ…!」
「「「「「!?」」」」」
メルヴァは次は一同に剣先を向けた!
「くっ…! やるしかねぇのか!?」
しかしほぼ皆の士気はないに近かった…。
だが…
「…大丈夫よ」
「…えぇ」
「…メルヴァ・レイ…忘れていないか? 僕達はお前と同じく不死だということを…!」
三人は燃え盛る炎の中から何事もなかったかのように歩いてきた…
「あ…!」
「あなたをこの先に進ませるわけにはいきませんわ!」
「あの方が復活するまで付き合ってもらう…」
「そしてあの子達には指一本触れさせないわ!」
「ふん…そうだったねぇ~? なら……第二幕の始まりといこうかねぇ!」
そしてメルヴァとの死闘第二幕が始まり、その超人的な戦いを一同はただじっと見守ることしかできなかった…
◆◇―――――――――◇◆
そして走っていってしまったセリエを真紅、海斗、雫の三人は急いで追い掛けていた。
「……」
「待って、セリエさん…!」
「は、速い…! あたしの足でも追い付けないなんて…!」
「ですが見失わないように急ぎましょう!」
「うん!」
「えぇ!」
そして追い掛けていくうちに突然セリエは姿を消してしまった!
「「「!?」」」
「き、消えちゃったわよ…?」
「どこにいっちゃったのセリエさん…!」
「……、いえ消えてなどいませんよ」
「それってどういう……?」
「一見消えたかのように見えますが…実際は見えなくなっただけです」
『なるほど…! 結界ですね!』
輝羽が気づいたのか声を上げる。
「えぇ…消えた場所を触ってみればわかります。いきましょう! この先に真実が待っているはずです!」
三人はそこに張られている結界を無理矢理突き抜けようとした。
だが、突き抜けた割りには抵抗もなく三人は普通に結界内に侵入することができた。
そこで三人が目にしたものは、巨大な繭のような固まりとその傍らにいるセリエの姿だった…
「ここ、は…?」
『おそらく結界の内側でしょう…? 雫さん戻りますね?』
「えぇ…でもあの巨大な繭みたいなのは一体…?」
「…よく入ってこられた…どうやらあなた達は認められたようだ…」
そこでセリエが四人に向かい合い喋りだした。
「セリエさん…ここは一体なんなんですか…?」
「ここは…、いえ…ここからはアカリ様にお任せする…」
するとセリエの意識が消え、あらたに違う意識がセリエの体に入った。
そして目の色は先程の碧と打って変わって金色に変わっていた。
「…よくぞここに来てくださいました」
アカリなる人物は礼儀正しく挨拶をかわした。
「あなたが…、アカリさん…」
「はい。そうです」
「セリエさんは…?」
「彼女は過去この地に存在した村の思念体です…今はわたしが手を放せない時の代わりにこの森を守る森人の役目を担っています」
「そうですか」
「ではやはりこの森は過去に水滸さんが住んでいたという…『聖水の村・セリエ』の跡地なんですね…」
「よくご存じですね。その村は過去に滅びてそのまま放置されたのですが、そこから草木が異常に発達しこのフェニキアの森ができました」
「そうだったのですか…」
「それでセリ…いえアカリさん。この繭は一体なんなんですか…?」
「そうですね。十二支の生まれ変わりのあなた達になら話してもよいでしょう…」
「えっ? どうしてあたし達が生まれ変わりとわかったの!?」
「それは…遥か昔にあなた達と同じ気を持ち合わせていたものと会ったことがあるからです」
「それは…先代の白竜様達のことですか…?」
「いえ、わたし達が会った時はまだ初代の時ですわ」
「初代!? ではまだ精霊界が創世されたばかりのころではないですか…!」
「…その通りです。わたし達はそれ以前からこの地上にすでにいたのです」
「…“達”ということはこの繭の正体はあなたの仲間なのかしら?」
「仲間…ですか。いえわたしは今もこの繭の中でお眠りになられている御方の忠実なる部下……なのですがわたしはそれ以上のつもりです」
アカリは顔を赤らめながらそう話す。
「それじゃこの中にはガリウスさんの言っていたフィールさんという方が眠っているんですね!」
「そう…だけどまだ目覚めません」
「どうしてですか!」
「フィール様の本当のお名前は『フェイドラ・ワイズ』…正真正銘のフェニックスの化身ですわ。
今、フェイドラ様は300年の周期毎に半年間自らの体からすり減ってしまった力を取り戻すため眠りにつかれている…復活するまで後、4、5日は必要なのよ…」
「…そ、んな…それじゃ鈴架のことを…助けられない…」
「急用だったのでしょうが申し訳ございません……、…ですがこちらもそんなに待つ猶予ができなくなりました!」
アカリは真剣な表情になった。
「どういう事なの…!?」
「セリエが感じ取ったようなのですが巨大な力がここを目指しているようなのです…」
「あの凄まじい気配のことですか!」
「そう…そしておそらくそいつはフェイドラ様と対となる存在の魔界のフェニックス、名を『メルヴァ・レイ』!」
「ではフェイドラ様とアカリ様は天界の住人…!」
「そう。今は訳あって地上界にいますが…。そしてメルヴァの進行を阻止するために今ガイウス達が戦っているようなのです!」
「ガリウスさん達が…!」
「だから一刻の猶予もないのです。…せめて精神をリンクでき尚且つ炎の能力を持つものがいればフェイドラ様はもっと早く復活できるのですか…」
「精神リンク能力者…」
「そんなレアな能力の持ち主がいるわけがないですね…」
「炎なら私が使えるのに…!」
そして真紅は繭に近寄り手をつけて、
「…フェイドラさん…お願いします。
どうか私たちの力になってください…このままじゃ鈴架だけじゃなくみんなも死んでしまうわ…! だからお願いします!」
「…無理です。わたしでさえ眠りについているフェイドラ様の精神に入り込むことはできないのですから…」
「………」
「真紅さん…?」
「真紅…? どうしたの?」
「………」
皆が何度も呼んだが真紅は一向に返事を返さないで無反応でいた…。
「…反応が、まったくありませんよ! これは…!」
「まさか…そんな奇跡的な偶然が! この方は精神リンク能力者です!」
「真紅さんが!?…あ、だからでしたか!」
「なにか心当たりがあるの、海斗くん?」
「はい。前に一度敵の手によって操られていたラビさんを真紅さんは僕達はまったく気付かなかったのに『哀しそう…』といい、そして的確に操っている機械を破壊した。
その後に、『もう敵じゃない…』といったんですよ! 真紅さん自身はなぜかそう感じたと言っていましたが…そうだったんですね」
「そうなの。真紅が……じゃ今頃真紅は…」
「はい。フェイドラ様の精神の中にいるのでしょう…」
果たして真紅は不死鳥の復活を達成できるのか…。
――to be continued.
アカリは天使です。
そして真紅は精神リンク能力者です。




