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イニシエからの絆  作者: 炎の剣製
47/71

047話 『悪夢の闇に苦しむ少女…(中編)』

中編になります。

今回はまた一人今回の話のキーキャラがちょびっと登場します。




東条家では楓はまた小さい頃に味わった恐怖の体験が夢に出てきて苦しんでいた…。


『おらぁっ! 静かにしやがれ! このガキ!!』

『いやだぁ! 誰か助けて…! お母さん!』

『殺されたくなかったら静かにしてやがれ! しょうがねぇ…これでもくらって少しは吠えてろ!』


そしてまた夢の中で男が銃を構えて、


カチッ…ダァンッ!


『うあぁっ!!』


楓の腕に銃弾が当たり楓は悲鳴をあげた。


『…うぅ、痛い…痛いよぉ…私、なにかしたの?…■■■■…?』


楓は腕から血を流しながらその男にむかって聞いた。

そしていつもこの夢を見るたびに楓の言葉にこの男の名前だけ…そう、まるでノイズがはいるかのようにかき消されていた…。



「わああああーーーッ!!!」

「「!!?」」


夜中にすごい悲鳴を楓があげて、父親の『東条(とうじょう)大和(やまと)』と母親の『東条(とうじょう)(まゆ)』が急いで楓の部屋に向かった。


「楓!!」

「楓ちゃん!! 大丈夫!?」

楓「ああぁあああぁああぁぁぁっ!!」


大和と繭が必死に楓に話しかけるが楓は二人の声が耳に入ってこないほどに暴れていた。


「楓ちゃん! 楓ちゃん!!」

「いけない! 引き付けを起こしている! 早く、病院に連れていこう、繭!!」

「……の、せいで……」

「繭!!」

「はっ!? はい! わかったわ、あなた!」


繭は小声でなにかを呟くが大和の言葉に正気に戻る。

そして楓は深夜遅く病院へと運ばれていった…。




…その出来事から遡ること一日前、ある男が“とある場所”から出てきた。

そこは星林町からかなり離れた場所にある刑務所であった。


刑務所の監視員「…やっと出所か。もう事件絡みの犯行はしないで真面目に働くんだぞ?」


刑務所の入口の監視員がその男にそう話しかける。


「…うっす。今まで十年間ありがとうごぜぇました」

「返事はまぁまぁだが…よし! 真面目に達者で暮らせよ」

「………」


そして男は刑務所の監視員に軽くお辞儀をしその場から立ち去った…。


「まずはひでぇことをしちまった人達の家をまわるか…特に東条さんのお子さんには最初に謝りにいかねぇとな…一生消えない傷をつけちまったからな…」

「…へぇ、どんな傷?」

「! 誰だ!?」


男がその謎の声に咄嗟に振り向くが、


ドスッ!


「ヴッ!?」


男が振り向いた瞬間、胸に黒い玉…そう、来豪の愛用していた『暗黒球』が抉りこまれていた。


「グガッ! だ、誰だてめぇ!?」

「私は仮面の女…さぁ、そんなことより早く欲望の心を開いて乗っ取られてしまいなさい!」

「グガアァァァーーーッ!!!」


バシュッ!


「………」


そして支配されてしまったのか男は静かになってしまった…。


「ふふふ…私は力だけの来豪の出来損ないとは違う。

…だがこの暗黒球は今一番思っている相手を殺さないかぎり覚醒しない…面倒ね?

ま、いいわ。後は好きに暴れてきなさい! 自分の体にしたいならね?」

「…東条ぉ…」


男はそう呟くのだった。



◆◇―――――――――◇◆



6/13(日)



今日真紅達は衛巳からの頼みもあって雲隠の家に来ていた。


「…―――というわけなんです。私の友達の楓ちゃんが金曜日に真紅さんが力を使っている現場を見てしまったそうなんです」

「やっぱり誰か見てたんだ…失敗しちゃったな」


真紅は頭に手を当ててしまったなぁ…という感じの表情をする。


「でも! お姉ちゃんはいいことしたんだから落ち込むことないよ!」

「そうですね」


鈴架と海斗が真紅の行動をそう評価していた。


「しっかしよぉ…やっぱり真紅が力を使ってるとこ見られちまったっていうのは問題だよな?」

「やっぱりそうよね…」

「そのことなんですが、今日は楓ちゃんの家にいってみようと思うんです。きっと家のパン屋の手伝いをしていると思いますので…大丈夫ですか? 真紅さん?」

「えぇ、私は平気よ」


衛巳の提案に真紅は了承した。


「こーいう場合、一緒にいた私達もいったほうがいいですよね? ね、海斗さん?」

「はい、付き合いますよ」


…そうして衛巳、真紅、鈴架、海斗の四人は楓の家へとむかった。



◆◇―――――――――◇◆



四人は東条家へと到着したが、パン屋は本日は閉まっているようだった。


「…あれ? 今日はお店はお休みなんですかね…?」

「玄関のほうにいってみてはどうですか?」

「そうですね」


ピンポ~ン…

そして玄関の前に来て衛巳はインターフォンをならした


「………」

『………』


しかし家の中からは誰も出てこなかった。


「…楓ちゃん、どうしたんだろう…?」


その時後ろから、


「あら…もしかして衛巳さん?」

「えっ? あ、繭おばさん」


そこには繭がどこからか帰ってきたのかそう衛巳達に話しかけてきた。


「今日はどうしたの…? ところでそちらの人たちは…?」

「あ、初めまして。私は辰宮真紅といいます」

「同じく妹の辰宮鈴架です!」

「僕は美薙海斗といいます」

「あらあら…衛巳ちゃんのお友達さんですね。せっかく来てくれたのにごめんなさいね、今楓ちゃんは家にいないのよ」

「楓ちゃんになにかあったんですか!? まさか、また…」

「…えぇ、昨日にまた引き付けを起こしちゃって一日だけれど入院することになって替えの服と下着を取りにくるために病院から戻ってきたところなのよ…」

「そうですか…最近部活で調子が悪いと聞いて嫌な予感がしていたんですが、やっぱりそうだったんですね…。あの私達も一緒にいってもいいですか!? 楓ちゃんのお見舞いがしたいんです!」

「…私達もいいですか?」

「えぇ、よかったら付き合います」

「うん!」


真紅達も一緒に行くと言う。


「真紅さん…それに鈴架さん、海斗さん…」

「ありがとう、衛巳ちゃん…それに皆さん。きっと楓ちゃんも喜ぶわ」




奈義総合病院…ここは久刻の父親が扱っている病院である。


「…そういえば、この町の病院の院長さんは奈義会長のお父様だったわよね」

「さすがというか……なんといいますか」

「…そうですね~」

「奈義さんといいますと、あの来豪さんをたった一撃で撤退させたという御方ですか?」

「はい、そうですよ」

「すごいですね。あ、それより早くいきましょう? 繭おばさんも手続きで先に中にいっちゃいましたし…」

「そうね」


そして一同は繭と合流して楓の入院している部屋へ向かった。


コンコンッ!


「楓ちゃん、替えの服持ってきたわよ?」

「わかった。入っていいよ」

「あ、それとね。衛巳ちゃんとそのお友達が来てくれてるわよ?」

「え…なっ!? 母さん、なんで最初にそれをいってくれないかな! ちょっと待ってもらって!」

「わ、わかったわ」


中から楓の慌てた声が聞こえてくる。


「楓ちゃん、元気そうですね…?」

「先生がいうにはいつもの一時的な発作らしいのよ。だから今は元気よ?」

「そうですか…よかったです」


衛巳が安心した声を出す。


「母さん、もう入れてもいいよ。」

「わかりました。じゃお入りになってください」

『はい』


ガラッ!


そして一同は楓の入院している部屋に入っていった。


「やぁ、衛巳。おや? そちらの方々は…」

「あ、楓ちゃん紹介するね!こちらが辰宮真紅さんに辰宮鈴架さん、それと美薙海斗さんです」

『初めまして』

「初めまして、……衛巳、やっぱり真紅先輩は噂どおりきれいでかわいい人だな」

「えっ…!」


楓が挨拶した後にいきなり真紅のことを綺麗だと言い出し突然のことだったので真紅は顔を赤くする。


「ちょっと楓ちゃん! 真紅さん突然のことで困ってるよ?」

「あ、いやすまなかった。率直に感想をのべたのが悪かったでしたね。…、そうだ母さん、ちょっと話をしたいことがあるから席を外してくれないかな?」

「はいはい…それじゃゆっくりしてってね」


そして繭は荷物を置いていくと部屋を出ていった。


「(…ねぇ、衛巳ちゃん? なんか楓って子、男の子っぽい口調してるね?)」

「(はぁ…まぁ色々とありまして)」

「衛巳、話し中いいかな?」

「あ、ごめんね!」

「すまん。昨日にまた“あれ”を見てしまったもので…」

「楓ちゃん、無理しちゃダメだよ?」

「わかってるよ」

「あの…東条さん?」

「楓でいいですよ。こちらも名前で呼ばせてもらいますから」

「わかったわ。それで楓さんはなにがあって入院しているんですか?」

「…夢を、見るんですよ」

「夢、ですか…?」

「はい。隠し事はしたくありませんのでこの際話します」

「楓ちゃん!」


楓が真紅達に事情を話すと言い出し衛巳がいきなり話しても…という感じで止めに入るが、


「衛巳、気にすることはない。私は大丈夫だ…」

「…うん。楓ちゃんがいいっていうなら私は口を挟まないよ」

「感謝するよ、衛巳。では話します。…私、昔に誰かに誘拐されたことがあるんだ…」

「誘拐!!?」

「誰に誘拐されたの…? 楓さん?」


鈴架が一番に反応し真紅が優しそうな声でそう聞く。


「それが…わからない。今は捕まって刑務所に入っているというがどんな奴かまでは覚えていないんだ。だがその時に拳銃で右腕を撃たれた事は記憶に鮮明に残っている」


そういい楓は右腕の袖を捲った。

すると肩と肘のちょうど真ん中くらいに銃で撃たれた後がくっきりと残されていた。


「……、これがその証拠。そしてそれからというものときたまにその時の出来事が鮮明に夢の中に出てくるようになるんだ。

そして母さん達の話によればそのたびに私は引き付け…つまり全身痙攣を起こして病院に運ばれるらしい…昨日もそれでここに運ばれたそうだ」

「まさに悪夢、ですね…僕もたまに見ますから気持ちはわかりますよ」


海斗がそう話すが、楓は目つきを少し険しくして、


「…あなたがですか…? どんな悪夢かはしりませんが私のと比較しないでくれませんか!?」


海斗の言葉に楓は突然怒りをあらわにして返事を返した。


『!!』

「楓ちゃん!! 海斗さんは…!!」

「…いいですよ衛巳さん」

「海斗さん!? で、でも…!」

「楓さん、すみません。口が過ぎましたね、今度から気を付けます」

「…あ、いえ、私もつい血が上ってしまった…すみません」


それから気まずい雰囲気が漂いだしたことは言うまでもないだろう…。




――to be continued.


少し楓が怒りました。海斗の事情を知らない故ですのでしょうがないですが…。

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