関係性の所感
――小夜は……俺のことを一体どういう存在だと思ってんだ?
ラジオ体操からの帰宅後。
いつも通り朝食を済ませた小夜は、姫から言われた言葉を思い起こしていた。
言葉だけをなぞれば、何かしら意味深に聞こえなくもないが、これが呆れ混じりの姫の声で再生されたなら、言葉以上の意味を持つとは到底思えない。
(私が姫のことをどう思っているか……それはまあ、私より大人、かな)
今も昔も変わらない認識だ。
(というか、由衣の目にはそう映っていたなんて、全然思っていなかったぐらいだし。恋人のいるヤツの色眼鏡って怖いわ-)
幼馴染みの恋人もまた、小夜にとっては幼馴染み。小4から今も続いている恋人関係に、続いて欲しいと思う反面、この手の話をぶち込んでくるのは面倒だとも思う。
恋愛対象になり得る性別と絡めば、それ即ち恋、という考えは小夜には全くなかった。少なくとも、姫に対しては、特に。
(私にとっての姫は……どれだけ成長しても大人で、子どもでいられる相手って気がする。ウザ絡みしても本気で拒絶されたことはないし、でも、危ないこととかしそうなら本気で叱ってくる。家族より近すぎず、友だちよりも親しくなくて、それでいて落ち着く、赤の他人で大人の相談相手……。うん、そんな感じかな)
自分の中でしっくり来る答えに自然と頷いた。
ただ、小夜は相談と言える相談を姫にしたことはなかった。そもそも、夏の限られた時間でしか会えない相手なら、そんな機会はこれからも巡って来ないに違いない。
それでも、相談したならきっと、姫は一緒に考え、悩んでくれる。
不思議と起こる信頼感は本物だった。
何故かと尋ねても答えはない。
小夜の中にあるこの確信は、直感に近いものだ。
具体的な説明は不要の、絶対的な事実。
確認すればストンと腑に落ちる自分の答えに一人納得した小夜は、今日の予定へと頭を切り替えていく。
明日の朝の予定は、公園に行くことで埋めつつ。




