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いつかあの頂上(てっぺん)に  作者: 志賀 沙奈絵


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エピローグ


 有馬記念が終わり、28日の開催で一年の全てのレースが終わった。


 大晦日の日、華音は実家を訪れた。


「パパ、ママ。有馬記念、わざわざ見に来てくれてありがとう」

「華音。よく最後まで頑張ったな」

「格好良かったわよ。あなたもフォルチュンヌも」


 博則と朱音の言葉に華音はニッコリ笑った。そして、持っていたバッグから取り出した物をテーブルの上に置いた。


 ゴトン コトン


「これは……」

「え?」


 博則と朱音の目の前に置かれたのは綺麗に磨き上げられた蹄鉄と鞭だった。


「これ、有馬記念の時にフォルがつけてた蹄鉄と私が使ってた鞭なんだ」

「フォルチュンヌが……。華音が持ってなくて良いのか……?」


 もうフォルチュンヌは引退をした。二度と華音とレースに出る事はない。


 博則と朱音もその事は充分承知している。


「うん。パパとママに持っていて欲しくて」

「どうして? 華音の大切な物でしょう?」


 朱音の心配そうな顔と声に対して、華音はニッコリと笑って見せた。


「大切な物だからなの。私がここまで頑張って来られたのは、パパとママが『騎手になりたい』って言った私を応援してくれたからなんだ」

「華音……」


 博則の目が潤んだ。朱音の頬には涙が伝っている。


「ありがとう、パパ。私の事を心配して怒って反対したのも今なら分かるの。でも……どうしても諦めたくなくて……。私の夢を応援してくれてありがとう。いっぱいいっぱい心配かけてごめんなさい」


 太ももの上で握っていた華音の手が震えている。それでも、華音はしっかりと思っている事を伝えなくてはと笑った。


「私ね、必ず有馬記念勝つよ。いつになるとは言えないけど。絶対、パパとママと一緒に口取り写真撮る。数年後にはフォルの産駒でレースにも出られる。私、諦めない」


 博則はうんうんと頷くしかなかった。


「まだまだたくさん心配かけちゃうけど、大好きなパパとママに私が勝つところを見守っていて欲しい」

「ああ。言われなくともずっと見守っているさ。華音は本当に大切な娘だから。大切な大切な宝物だからな」

「ええ。これからも応援しているわ。体に気をつけて頑張りなさい」

「うん」


 明日一日休めばまた調教が待っている。


 次のレースが待っている。


 華音は晴れ晴れした気持ちで、一歩踏み出した。


 有馬記念を獲るという闘志は燃え尽きはしない。


(いつか……いつかあの頂上てっぺんに………)









 華音の挑戦は続く………







『いつかあの頂上てっぺんに』をお読みいただきまして本当にありがとうございましたm(_ _)mなるべく競馬を知らない方々にも読んでいただけるように分かりやすく書いたつもりですが読み難かったら申し訳ないです。本当に最後まで読んでいただきありがとうございました。感謝しております。m(_ _)m

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