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エピローグ それでも、終わらない

 数ヶ月後。


 風は、以前よりも少しだけ冷たかった。


「……順調ですね」


 文官が言う。


「他領からの導入要請が増えています」


「模倣も」


「はい」


 短い報告。


 だが。


 意味は大きい。


「……」


 エレノアは、静かに書類を見ていた。


 新しい依頼。


 新しい構造。


 そして――


 新しい問題。


「……増えますね」


 小さく呟く。


「ええ」


 サラが答える。


 いつもの場所から。


「世界は、真似する」


 一歩、近づく。


「で?」


 視線を合わせる。


「どうするの?」


 その問いに。


 エレノアは、わずかに間を置いた。


 そして。


「……選びます」


 と、言った。


 静かに。


 だが。


 変わらず。


「全部は、受けません」


 一歩、前に出る。


「成立するものだけ」


 その言葉は。


 最初から、変わっていない。


「……」


 サラが、少しだけ笑う。


「ほんと、変わらないわね」


「ええ」


 エレノアは頷く。


 それでいい。


 それが、必要だから。


 そのとき。


「報告です」


 文官が、もう一枚の書簡を差し出した。


「……これは?」


「隣国より」


 一拍。


「新たな提案です」


 沈黙。


 封蝋には、見覚えがある。


「……」


 エレノアは、それを開いた。


 短く目を通す。


 そして。


 わずかに。


 目を細める。


「……何て?」


 サラが聞く。


 興味深そうに。


「……簡単です」


 エレノアは答えた。


「“一緒にやらないか”と」


 沈黙。


 その意味は、明確だった。


「……来たわね」


 サラが、笑う。


「ええ」


 エレノアは頷く。


 そして。


「……どうするの?」


 サラが問う。


 その問いに。


 エレノアは、少しだけ考えた。


 そして。


「……条件次第です」


 と、言った。


 その一言で。


 すべてが、始まる。


 また。


 新しい構造。


 新しい選択。


 新しい世界。


「……」


 エレノアは、窓の外を見た。


 流れる世界。


 止まらない変化。


 そして――


 終わらない構造。


 ――悪女は。


 まだ、終わらない。

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