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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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突然のライバル宣言!

 猛獣とお猿は残念ながら、たまたま機嫌が悪かったみたいだ。

 もっとゆっくり動物を見たかったのにね、ちょっと上手くいかないわ。


 気を取り直して、次はふれあい広場とやらに行くことにした。

 なんでも小動物がそこら中にいるコーナーで、自由にさわったりエサをやったりできるらしい。

 まさに癒しの空間。いまの私が求めているものだよ。


 そんなふれあい広場に到着した。結構、にぎやかで楽しい雰囲気だね。


「うおー、ちっさいキッズどもが畜生とたわむれているよ。立派な成人女性の私があそこに入るのは、ちょっと気が引けるわ」

「なに言ってるのよ。行きましょ」

「待ってください。そっちの看板に注意事項が書いてあるので、念のためきちんと読んでからのほういいかもしれません」

「特に葵姉はんはちゃんと読んだほうがええ思う」


 そうかな。別に大丈夫だと思うけど。まあでも、予想外のルールとかあるかもしれんね。それで追い出されたらムカついちゃうし、ちょっとくらいは読んでみるかな。


「仕方ないね、わかったよ。どれどれ?」


 みんなで看板を見るよ。

 ほうほう。注意事項はしょうもないことしか書いてないね。まずは手を洗ってねとか、追いかけるなーとか、嫌がることはするなーとか、キッズでもわかるようなことばっかりだ。


 中にいるのはウサギとかヤギとかヒツジ、ほかにもヒヨコとかモルモットとかいるんだね。まさに弱っちそうな畜生どもだよ。

 もっとでっかくてカッコいい動物とふれあいたいわ。でもまあキッズどもには、弱っちそうなのじゃないとふれあえないよね。

 仕方ないわ。とにかくこんな注意事項くらい、オトナの私は余裕で守れる。


「そろそろ中、入る」


 よっぽど早くふれあいたいのか、ツバキがいそいそと広場に入ってしまった。

 私たちも広場に入ってみれば、動物がそこら中にいっぱいだ。

 おー、ウサギはいいね。カッコよくはないけど、まあかわいいわ。


「ほーれほれ、だっこしてあげようね」


 手を伸ばして近くのウサギにさわろうとしたらだよ。すごいダッシュで逃げられてしまった。


「……あいつはちょっと気難しいみたいだね」


 ツバキたちはどうかなと思ったら、さっそくエサをやったりだっこしたりで、楽しんでいるみたいだ。私も楽しまないとだね。

 気を取り直して、次だよ次。


「よーし、よし。そこのウサギ、お前は逃げないよね?」


 近づいたら全速力で遠くまで逃げてしまった。なんだよ、こいつら。

 あれだ、ウサギは臆病すぎてダメなんだね。キッズにお似合いだね。


 ところがどっこい。ヤギだろうがヒツジだろうが、どいつもこいつも私が近づいただけでみんな逃げてしまった。


 なんなんだよ。

 ツバキはウサギをだっこしているし、マドカはモルモットを3匹もまとめてだっこ中だ。

 沖ちゃんはヒツジとたわむれているし、どうなってんだよ。


「そうだよ、エサか。腹減ってたら、機嫌も悪くなるよね」


 仕方ないね。チャリンと買った野菜くずをあげようね。

 ほれほれ、ヤギとヒツジ、腹いっぱい食いな。


「うおっ」


 ちょっと待てい。

 エサをもって近づいただけなのに、すごい鳴き声を上げながら体当たりしてきたんだけど。しかも2匹とも。

 マジかよ。あやうく蹴り飛ばすところだったわ。


 ささっと避けてやったけど、あんなのは無視だよ無視。もう構ってやらんわ。

 あまりにもちびっちゃくて弱々しいけど、次はモルモットにしとくかな。マドカがだっこしてるやつにエサをやれば、だぶん大丈夫だよね。

 なんて思っていたらだよ。


 さっきのヤギとヒツジが鳴き声を上げまくって、広場の中の畜生どもまで鳴きだした。やたらとうるさいわ。

 それでもって、ウサギとかヒヨコとかのちっちゃい動物が端っこのほうに逃げていく。

 ふれあい広場の中の人たちもちょっとざわざわしているね。一部のキッズどもが泣いちゃってるよ。


「どうしたんですか、葵。なにがあったんです?」

「え、いやいや。特になんもないけどね。むしろ私が教えてほしいわ」


 沖ちゃんと謎の現象について話そうとしてたら、うるさいヤギとヒツジがこっちを見ているっぽい。なんだよあれ。

 そうしたらなぜか、ダッシュしてきた。体当たりを食らわそうとしてるよね?


「こんの、おんどりゃーっ、人間様にさからうんじゃねーよ!」

「ちょっと葵、マズいですって!」

「アオイ、なにしてるのよ!」


 駆け寄ってきたマドカと沖ちゃんに引っ張られて、広場の外に出されてしまった。


「葵姉はん、なにしてるん?」

「いやいやいや、私はなんもしてないって。ホントにさあ!」


 マジでなんなんだよ。

 ふざけやがってよー、超つまんねーわ。楽しい最後のお休みが台無しなんだけど。


「葵の存在は何かこう、動物の本能を刺激するのかもしれませんね。最初から思っていましたが、動物の反応が過剰です」

「うちも最初から思うとった」

「実はあたしも。小動物なら大丈夫かと思ったんだけど……」


 まあね? 私も虎に威嚇された時点で、ちょっと変だなって思ったけどさ。それにしたっておかしくね? なんでだよ。

 よく考えたら、近所の犬にもめっちゃ吠えられるし、私ったらそういう感じ?


 あ、でもあれか。私の超強そうなオーラとか、気配みたいなもんのせいってことだよね?


 がははっ、それなら仕方ないよ。

 吹けば飛ぶような弱っちい畜生が、この私に恐れをなしたってことだもんね。

 それなら服従の態度を示せよって思うけど、それにはまだ私の迫力が足りないのかな。もっとがんばらないとだ。


「動物に近づくと刺激しそうですし、離れた場所からゆっくり見てまわりますか?」

「そうだね、私はそうするよ。みんなは好きなところ見てきなよ」

「あたしはアオイをひとりにするほうが心配よ。いいわ、あたしは葵と一緒に行くから、ツバキとルリはほかを見てきたら?」

「うち、次は珍しい鳥見たい」

「じゃあ、私が付き添います。しばらくしたら合流しましょう」


 それがいいね。私は鳥なんか見てもお腹が減るだけだわ。その場でツバキと沖ちゃんを見送った。


「マドカはなんか見たいやついないの?」

「あたしもそこまで興味はないのよね。虎の赤ちゃんは見られたし、ウサギやモルモットも触れたから」

「そっか。じゃあ、なんかレアな動物とか探す? ちょろっと見るくらいなら、私がいても大丈夫だよね」

「いいわね。案内板で探してみましょ」


 ちょっとだけ高まるわくわく感を感じていたら、


「もしかして……まどか?」


 うおっと。気やすく声をかけられてしまったね。

 超美人で目立つマドカは変装ってほどじゃないけど、伊達メガネと帽子でわかりにくくはしている。超美人でかわいいオーラは隠せてないけど、それは仕方ない。


 でもあれ? こいつなんか見たことあるね。


「あー、フロレゾの小娘じゃん」

「誰が小娘よ!」


 仲間っぽい奴らをたくさん引き連れているわ。カメラを持ってる奴もいるし、また撮影っぽいね。


「……奇遇ね、ルカ」

「動画の撮影でね。そっちは遊びで?」

「そんなところよ」

「前の時は意識してなかったけど、新進気鋭のクラン絶望の花園……その活躍は聞いてるわ」


 なんだよこいつ。勝手に雑談を始めやがってよー。


「すみません、高千穂さん。そろそろ時間が」

「わかってます。まどか、フロレゾは次のランキングで上位を目指すわ。そっちに負けないくらいにはね」

「……ランキング? 噂は本当みたいね」

「フロレゾはアイドルとしてもハンターとしても、中途半端にはならないつもりってこと。それだけ言いたかったの」


 マジでなんなんだよ。勝手にライバル宣言みたいなことしやがってよー。


「うおいっ、うちはさあ! お前らなんか目じゃないんだよ、すっごい上にいっちゃうんだからさあ」

「まどかと話してるの。黙って」

「いーや、黙らんね。小娘がよー、うちのマドカは超美人でかわいくてハンターとしてもすごくて、お前とはもう次元が違うんだよね。気やすく話しかけんなよな!」

「こ、この……」

「高千穂さん、騒ぎになるとまずいです。そろそろ行きましょう」

「ほれほれ、さっさと行けよ」


 言い返そうとした小娘だったけど、仲間たちに言われてやっとどっかに行った。邪魔くせー奴らだよ。


「……フロレゾは本気みたいね」

「うちだって本気だよ。あんな奴らに負けてたまるかって」


 ホントに。まあいいよ。

 思い知らせてやるわ。格が違うんだよって、もうぶっちぎりで思い知らせてやるわ。

 見とけよ、小娘どもが!

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― 新着の感想 ―
スキル威嚇が動物には常に感じられるのかも
ハシビロコウと対面して欲しい気持ちがある
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