少し強めのモンスター!
激しいマグマ弾の連続攻撃を受けていたら、どんどん追加のカッパくんが登場してしまった。
のそのそ川から上がってくるね。全部で10体くらいかな? 思ったより少なかったわ。
でもあれ全部にマグマ攻撃されたら、さすがにやばそう。
どうするかね。あいつら動きがのろいから、逃げるのは余裕だと思う。でもこんなしょっぱなから逃げたんじゃ、この先やっていけない気がする。
これがダンジョンの下層ってことだよね。このくらいは普通だと思わないといけないっぽいわ。
「モンスターの特徴を見極めるより、減らすほうが先みたいね。通常のモンスター相手に、消耗の大きいスキルは避けるべきだけど……」
「そんなこと言ってる場合じゃねえな。これがウルトラハードの下層ってことだ」
「いずれにしてもあれの防御性能は知っておきたい。まずは私の『収束充填』で攻撃する。そうだな、3割で試してみよう」
おお、銀ちゃんが魔法の狙撃銃に力を注ぎこんでいる。普通に撃つだけじゃなく、その『収束充填』とかいうスキルを使えば威力を調整できるようになったんだよ。
3割ってことは……えっと、3発しか撃てないってこと?
めっちゃパワーこもってね? 普通なら結構、バンバン撃てるのに。
リカちゃんの盾から少しずれた位置に移動した銀ちゃんが、ちょっとだけ力を溜める時間を使ってからぶっ放した。いつにも増して、でっかい音だ。
魔法の青い弾丸にすごい力を感じる。シュイーンとすっ飛んで行って、当たり前みたいにカッパくんの胸に命中した。
さっきまでだったら、マグマの体に飲まれて終わりだったけど。
「うおーっ、すげー! 倒しちゃったよ」
こっちに攻撃してたカッパくん、光に変わっちゃったね。マグマの体を通り抜けて、中の弱点にズバッと当たったんだ。すごいよ。
「次はあたしの『魔杭貫刺』をバラまいてみるわ。討ち漏らしはアオイが仕留めて」
「よっしゃ、私もやったるわ!」
マドカの『魔杭貫刺』は焼けた魔法の杭を生やしまくって、敵を串刺しにする凶悪なスキルだ。威力もめっちゃ高いから、カッパくんのマグマの体も関係なくやれるはず。
気合を高めたマドカがスキルを放つと、まだ遠くでのろのろ進むカッパくん、10体くらいをまとめて攻撃した。
地面に生える針の草なんて目じゃない、どでかい焼けた魔法の杭! それがドバドバ生えて、貫きまくる。すげー、なんだよあれ。
でも運のいいやつが何匹か杭に直撃しなかったみたいだね。そいつは私の獲物だよ。
「おりゃー、くらえ超必殺『黒縄』の刑!」
ぐわっと私の中のパワーが減ったけど、その代わりにカッパくんを魔法の鎖に絡めとって、あっと言う間に光に変えた。ズバッと決まると気分がいいね!
杭に貫かれたやつらも次々と光に変わって、これで全部片付いた。やっぱ強いよ、私たち。まあそんなに連発はできんけど。
「やったわね」
「本気を出せば討伐に問題はない。だが、これをずっとは続けられん。難しいな」
「カッパは遠い距離から攻撃を仕掛けてくるのが厄介です。その前に近づければ、もっと消耗を抑えられそうですね。次は私が『迅雷歩法』で一気に近づいて、接近戦を仕掛けてみます」
沖ちゃんは元気全開だし、私たちもこうしている間にどんどん回復できる。
割といけるかも?
「川に注意しといたら、問題あらへんのとちゃう?」
「むしろこの階層にはカッパしかいねえのか? こんだけ広いフロアにモンスターが見当たらねえ」
「稼ぐにしても効率が悪そうな階層ですよねえ。次に進んでみますか?」
たしかに、そのほうがいいかも。
「カッパくんと戦ってもそんな面白くないし、次に行こうよ。いい感じに強いモンスターと戦いたいわ」
遠くからやり合ってもつまんないからね。
せっかくお初のダンジョン下層なのに、なんか微妙だったわ。
そうだよ、つまらん階層で粘っても意味ねーわ。次だよ、次。
「まだ検証の余地があるが、そうするか。この階層ではメンバー間での負担も違いすぎる」
「アタシとつばきには、ほぼ出番がねえしな」
「魔石の回収しちゃいますね」
いつもの『広域回収』で、ささっとでかい魔石を集めてくれるリカちゃん。今日もいい稼ぎになるよ。
次に進むと決めたら、とっとと行く!
マグマの川から付かず離れずの感じで移動したら、次に進む階段があった。カッパくんの気配はあったけど、めんどくさいからスルーして次に進む。
「また到達階層更新!」
第三十二階層にきちまったよ。
変わらず針の草原風のダンジョンで……お、マグマの川はないっぽいね。遠くのほうに真っ赤な池があるくらいかな。モンスターもちゃんといるわ。
「この階層は面白いかもしれませんね。群れが目立ちます」
「あの銀色のスケルトンは……犬型のモンスターみたいね。大きさはそうね、猛獣サイズかしら?」
「でっかい犬!」
いいじゃんね。遠距離攻撃とかしなさそう。そろそろちゃんと暴れたいわ。
「犬か狼かわかんねえが、カッパよりはやりやすそうだな」
「弱点は背骨の中央だ。可能ならまずは1体だけ引き寄せて戦いたいが、あの群れでは難しいな」
「いつもの形でいきますか。まずはわたしが受け止めますね」
よしよし、普段のフォーメーションでやれる安心感よ。
ツバキの結界に包まれた状態で、リカちゃんを先頭に進む。周りを見てなんとなくよさそうな場所まできたら、銀ちゃんとマドカが拳銃を撃って引き寄せる。
ほっほー、まんまと引き寄せられてるわ。まとまって勢いよく走ってくるね。
「……いまのところ別の群れに反応はないが、私は周辺警戒に当たる。あれは任せるぞ」
銀ちゃんが周りを見てくれるなら、それでまた安心! 集中できるね。
なかなかの勢いで突っ走ってきた骸骨犬が、リカちゃんの盾に次々と体当たりした。
普通に跳ね返したけど、たぶんめっちゃすごい威力がある。車がぶつかったくらいの衝撃はあるよね?
近くで見るとあの犬は思ったよりでっかいし、牛くらいあるんじゃね?
やっぱ下層のモンスターだからかな。カッパくんもそうだったけど、サイズ感が全体的にでっかい。これからもそうっぽいのかな。
「よっしゃ、やるよー」
マドカと沖ちゃんが、リカちゃんの盾の右側からモンスターを倒しに行く。私はその反対側からだ。後ろからはツバキとまゆまゆが援護してくれる。
足元の針みたいな草を踏みつぶしながら、6匹いるモンスターの近いのからぶっ叩こう。
「とうっ」
背骨の真ん中が弱点だって言ってたね。ハンマーを振り上げながらジャンプしたら、骸骨犬にすごい警戒された。
私の強そうなハンマーに注目しているのがわかるわ。そんでもって、いまにも避けようとしているね?
「甘いんだよ、犬っころ!」
どりゃっと振り下ろしたら、背骨にドカンとヒット!
わかっていても避けられないよね。私のほうがずっと強いんだよね!
でもめっちゃ硬い。なかなかの手ごたえがあったわ。
「ふいー、どんどこ倒していこう」
さっそく1匹の犬を光に変えたら、ほかの犬がめっちゃ警戒しているっぽい。
すでにみんなの攻撃でも犬は減ってるし、これなら全然いけるね。ちょっと銀の骨は硬いけど、それがむしろ手ごたえあっていい感じかも。
次はキックとかスキルをあれこれ試していこうかな。
「おーん?」
なんて思っていたらだよ。
骸骨犬どもが、ぱぱっといったん下がって、距離を開けてから立ち止まった。そんでもって口から火を吹き出した。
私たちに向かって吹いたわけじゃなく、その火が体にまとわりついて体になっちゃったよ。
カッパくんがマグマで体を作ったみたいな感じかな?
ほうほう。雑魚モンスターのくせに、なかなか面白いことするね。




