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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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練馬ダンジョンの秘密

 メイドさんが持ってきてくれた高級そうなお茶やらお菓子やらを楽しみつつ、あれこれ雑談した。

 ムショの話とか、私たちのダンジョン攻略の話とか、おっさんはなかなか興味深そうに聞いていたね。


「もうレベル30になったことは知っている。記録的なスピードで話題にもなっているが、困ったことは何かないのか?」


 世間の奴らがどう騒ごうが、私はどうでもいいわ。あいつらテキトーなこと言ってるだけだし。


「困ってることは特にないよ。練馬の人たちは普段と変わらんし、変な奴はずっと前からいたしさ」

「そうか。それならいいが、何かあれば遠慮なく相談しろ。面倒事の芽は育つ前に摘んだほうが楽だ」

「まあ困ったら言うね。前までだったら、ぶっ飛ばしてやったのにさあ」


 いちいちムショにぶち込まれるんじゃ、それもなかなかできないわ。


「少しは反省したのか? お前のような跳ねっ返りは、一度痛い目に遭うくらいでちょうどいいと思っていたが」

「なんでよ? 私ったら悪くないのに、さすがにムショはひどくね?」


 別に痛くもかゆくなかったけどね! なんならちょっと楽しかったし。


「俺もまさか逮捕されるとは思っていなかったがな。だが何かしら得るものはあったのだろう?」

「得るもの? まあそうだね。得るものあったよ」


 深淵ダンジョンは珍しい感じだったし、お友だちってほどじゃないけど知り合いも増えたしね。時間できたら面会に行かないとだ。


「ならばいい。おかみからの埋め合わせも、いずれあるだろう。ところで今日の用件は練馬ダンジョンだったな」

「そうそう、それだよ。ついに私たちレベル30になったんだよ。もう入ってもいいんだよね? みんながその前におっさんに相談したほうがいいって言うから、今日はやってきたんだよ。めっちゃムズイって言ってたけど、どんなもんなの? 前は詳しく教えてくれなかったよね?」

「あの時点で話しても意味がなかっただけだ。今日は話してやろう」


 蒼龍のおっさんがメイドさんを呼び出して、茶を淹れ直してもらってる。


 ついに教えてもらえるのか。ちょっとわくわく感が高まってきた。

 よく考えたら、伝説のハンターがあきらめたってくらいのダンジョンが、私たちのクランハウスの中にあるんだよね。

 あんまり気にしないようにしてたけど、そんなのが身近にあって気にならないはずがないわ。


 ちょろっとだけでも中に入れれば、あれこれ無駄な想像をしないで済むようになる。それだけでも結構でかい。

 熱い茶をずずっと飲んだおっさんが、マジメな顔をしている。なんだよ、なんか緊張しちまうわ。


「……練馬ダンジョンは、伝説と呼ばれたかつての俺たちでさえ、ろくに攻略できなかった超高難易度ダンジョンだ」


 それは前にも聞いたね。


「具体的にはどんな感じ? 洞窟っぽいとか草原っぽいとかさ。あとモンスターも」


 肝心なことを教えておくれよ。


「わかりやすく例えるなら、モンスターはまるで悪魔のような姿をしている。ダンジョンの構造も悪魔の城のようだったな」

「おお、悪魔!」


 マジかよ。悪魔のお城とか、めっちゃ面白そう。


「……ダンジョンに入ってすぐは、城の前庭のような広場になっているがそこはまだいい。だが、大きな問題は城の中にある。何しろ入っただけで、ステータスが大幅に減少する謎の環境だ。それだけではなく、攻略を進めるほどに減少の割合が増していく。最終的にどこまで減少するのか不明だ」

「それって天剣の聖域化みたいなやつってこと?」

「似て非なるものだが、同系統の仕掛けと思っておけ」


 またかよ。そのパターン多くね?


「でも私たちったら弱体化耐性あるんだよね。簡単にいけそうじゃね?」


 黒い天使を倒したら、いい感じの加護をゲットできちゃったもんね。余裕っすわ。


「問題は効果の強さと減少の割合だ。完全耐性でなければ、おそらく弱体化は避けられん。当時の俺たちも弱体化対策はしていたが、結果は芳しいものではなかった」

「そうなんだ? まあわかってんなら対策はするよね」

「悪魔のようなモンスターにも当然ながら注意が必要だ。あれは強いぞ」

「めっちゃ強い?」

「特別にな。精神攻撃や状態異常攻撃が厄介だ。あそこでは様々な意味で、ハンターは常のような能力を発揮できない」


 ひたすら弱らせてくる系の攻撃をされるっぽいのか。嫌だねー。


「でもそういう異常系? そういうやつの対策ってみんなやってんじゃないの? それでもダメってこと?」


 私はあんまり気にしたことないけど、花園のみんなはバッチリやってる。そのための装備をあれこれ買い集めて装備しているね。


「通常の対策程度で防ぎ切れるものではない。だからこそ厄介だ。あの悪魔の城自体に、耐性を弱化させる効果があると考えられるな。言っておくが、聖域化程度の仕掛けとは次元が違う」


 あれも結構なもんだと思うけど、さすがに人力で作れちゃう仕掛けと同じくらいってことはないか。だって悪魔のお城がその装置っぽいんだもんね? そりゃ次元も違うわ。


「俺がレベルの上昇以外に仲間を集めろと言っていたのは、それらに対応できる能力が必要という意味がある。戦力の強化と同時に、対応力の幅を広げなければ攻略など不可能だ。そのためには人数を集めるのが手っ取り早い」


 そっかそっか。でもまずはやってみないとわからんよね。


「うおー、そう聞いちゃうとめっちゃキツそう。昔はすごかったおっさんでも、攻略できなかったんだもんね」

「実際に第一階層の突破すらできなかった。まあ第二階層以降が存在するかは不明だがな。お前たちには期待しているが、決して無理はするなよ。細かい情報はクランに送っておいてやる」

「あ、それはありがたいわ。ここでごちゃごちゃ言われても、たぶん覚えらんないし」

「……だろうな」


 ムズくても楽しいダンジョンだったらいいな。


「あとあれだよ。なんかいいアイテムが取れるとか言ってなかったっけ? ダンジョンハンターなら、そういうのも大事だよね」


 どうせムズイ場所を攻略するなら、すごいお宝だってほしい。私のコレクションに加えてもいいくらいのやつ。


「練馬ダンジョンはその面でも破格だ。第一階層の時点でモンスターが落とす魔石の大きさは、通常の第三十階層相当の大きさだ。しかも高品質の物のみが手に入る。そのほか、宝石のドロップ率が高く資金調達の面でも優れている。稀に武具も手に入るが、少なくとも俺たちが目にしたものはあそこの難易度に相応しい性能だった。数を倒せるようになれば、入手は期待できるだろうな」

「だいぶすごそうじゃん。もうかりまくる感じ?」

「それ相応の危険が伴うということだ。楽に稼げるダンジョンなどない」


 めちゃくちゃ楽しみになってきたんだけど。

 いつもの『ソロダンジョン』だと、装備品をゲットしても私専用になっちゃうからね。私はいつもの最強装備から変える気がないし、もしみんなが気に入る装備が手に入るならめっちゃいい。みんなのやる気もますます上がるよね。


「まずは城に入る前の広場だ。そこにいるモンスターと十分に戦えると判断してから先に進め」

「悪魔のモンスターかー。いやー、どんだけ強いか楽しみだわ」

「お前のその楽観は、ハンターとしては武器かもしれんな。早速入るのか?」


 あー、どうだろうね。


「実はさ、うちもサブクランとか同盟とか考えてんだよ」

「ほう、いいことだ。仲間は可能な限り増やせ」

「だよね。みんなはそれで出かけちゃってるし、ちょっと忙しい感じなんだよね」


 帰ったらすぐにでもダンジョンアタックしたいけどね。

 なかなかそうもいかないかな。


「言っておくが、単独では入るなよ。無茶をすれば仲間が迷惑を被るだけだ。その程度のことは学んだのだろう?」

「わかってるよ。練馬ダンジョンはみんなだって楽しみにしてるし、私だけ先に味見したら怒られちゃうわ」


 ホントはちょっと入ってみようかと思ったけど、まあやめとくかな。

 みんなで一緒にやったほうがきっと楽しいよね。


 でもやっと解禁だ! 早く私たちのダンジョンに入ってみたいね。

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