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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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気持ち先行の放免計画

 昼メシのあとはなんと、晩メシまで自由時間!

 ムショの割にはすごい自由な感じだ。レベル5のムショだからかな?


 とりあえず時間があったから、談話室みたいな部屋に移動して、新入り仲間のエリカにあれこれと話を聞いた。超ロングの髪にギンギンの目はちょっと怖い印象があったけど、意外といい奴っぽい。


 私はいろんな規則とか書かれた冊子なんか、読む気が起きないからね。サクッと教えてくれるのはありがたいわ。

 それによるとムショの中でも希望すればお金を稼げる仕事をしたり、職業訓練みたいなのが受けられたりもするらしい。なかなかちゃんとしてるわ。


 でも私はハンターだからね。別の仕事の訓練する気はないし、ちまちました仕事もたぶんムリ。

 やっぱダンジョンで稼ぐしかない。そうやって生きていくしかねーわ!


「葵は夕方まで何する?」

「ダンジョンに入りたいけど、装備がないからねー」


 品川のムショは自分のものを持ち込めなかったから、ここのムショにも持ってこれてない。

 超ムズイとか言われたダンジョンは、自分の装備を使っていいみたいだからね。面会の時に持ってきてもらわないと。


「派閥探す?」

「そんなことも言われたね。めんどくせー」

「葵に話しかけてた金髪の女、あの人は情報通と言ってた。教えてもらう?」

「エリカはどっか派閥入りたいの? めんどくさそうじゃね?」


 新入りはどうのこうのとか、変なこと言われそうで嫌だわ。せま苦しいムショの中で派閥とか意味わからんし。

 それにしてもムショって殺風景だね。バラの花が咲きまくるうちのお庭がもう懐かしいわ。早く帰りたいよ。


「入りたいわけじゃない。でも入らないと、それはそれで面倒になりそう」


 それはそうかもしれんけどね。


「私はダンジョン攻略して、さっさと出ていくからさ。変に関わりたくないんだよね」


 私ったらいきなりケンカ売られたし、おとなしくしておくわ。


「これはまた新入りらしい言葉だね」


 うお、さっきの金髪ショートのお姉さんだ。話に混ざりたいのか、勝手に私の隣に腰かけたよ。


「高橋、どういうことか詳しく教えて。ダンジョンの難易度が高いことは聞いてる」

「あ、そんなこと私も聞いたわ。どうなん、高橋」

「高橋って、あんたらね……まあいいか。とりあえず、どんな風に聞いた?」


 えっと、どんなんだっけね。めっちゃ難しそうっていうのは覚えてるけど。


「……たしか、暗闇で強い風が吹いて、空気の薄い荒野。でもモンスターはいない」

「そうそう、私もそう聞いた気がするわ。あとあれだ、第一階層も突破した人がいないんだよね?」

「第二階層到達どころか、未だに階段がどこにあるかわかってない。中に入ってみればわかるけど、想像以上にひどいよ。あそこの闇はライトの光も飲み込んで、足元を照らすくらいしか効果がないし、台風直撃みたいな風がずっと吹いてる。それに高い山に登ったみたいに空気が薄いし乾燥もひどい」


 だいぶ嫌な感じのダンジョンっぽいね。

 てゆーか、次に進む階段がどこにあるかわからんのに第二階層? 第一階層しかないんじゃね?

 話の前提がよくわからんけど、とにかくみんなが探してるってことでいいのかな。


「でもハンターなら、ダンジョンの中でめっちゃ強くなるじゃん。なんとかならんの? 装備の力もあればさ、私がサクッと探し当ててやるのに」

「そう思うだろ? だけど、これまでに何度も大規模な探索が行われたが、たいした成果は出ていない。いくつかの岩山と、そこから採取できる水晶を発見した程度の結果に終わってる。あまりにも広いから、最悪は迷いでもしたら帰れなくなる」


 マジかよ。そんなに広いんだ。


「そんなダンジョン無理。葵、諦める」

「いやいや、私は意地でも攻略するよ! そういや、なんか成果が出たら刑期が短縮するんだったよね? 次の階層まで進んでも、ちょろっとしか刑期が縮まらないなら意味ないわ。高橋、そこはどうなってんの?」


 これまでに誰も進んだことがない第二階層に行けたら、ちょっとは期待してもいいよね。


「その点については、はっきりした取り決めがある。そもそも第二階層があるかどうかも判明していないが、もし次の階層に進んで転送陣まで設置できたら、その成果をもって放免だ」

「ほうめん?」

「つまり、釈放される。そのほか、新たなものを発見したり、何かしらの成果を出した場合にも刑期は短縮される。水晶の採掘は効率が悪すぎて誰もやってないけどね。まあ、そんなところか」


 ほーん。でもそもそもさ。


「第二階層があるかどうか、マジでわからんの? ないもんを探したって意味ないわ。ホントにあるならいいけどさ」

「はっきりとはしていない。最悪は存在しない可能性はあるけど、だいぶ前に特殊な感知スキルを持ったハンターが明言したらしい。次の階層は存在するってね。根拠はそれだけ」


 ホントかよ。でもまあ、ウソなんかつかないか。だったら、第二階層はあるのかな。

 じゃあやっぱそこまで行けちゃえば、もう出所じゃん。


「葵、やる気になってる」

「そりゃそうだよ。早くシャバに戻りたいからさ、第二階層に行っちゃえば釈放だよ!」

「……どれだけ厳しいかは、入ってみればわかることだ」

「ほかには? なんかわかってることないの?」


 これまでに何人ものハンターがチャレンジしたなら、スキルとかでもっといろんなことがわかってそうだけど。


「その辺のことはダンジョン担当の刑務官に聞いたほうがいい。あたしが知ってて重要だと思うのは、次の階層の入り口がある方向はわかってるらしいってこと」

「え、それもわかってんの?」

「さっきの感知スキルを持ったハンターがね。ただ、誰も確かめられてないから、本当のことかは不明。それとダンジョンの真の名前も判明してる。沖島ダンジョンと呼ばれるここは、本当は深淵の孤島ダンジョンというらしい」

「高橋、本当の名前ってどういうこと?」


 真の名前ってなんだよ。ひょっとして、ほかのダンジョンにもあるんかね。


「詳しいことはわからないが、そう言い伝えられているんだって。いまシャバだと『ベリーハードモード』が話題になってるけど、そんなのは比較にならないと思う。実際に中は超絶難易度と言われても違和感のない環境だから、囚人はみんな沖島ダンジョンじゃなくて、深淵アビスダンジョンて呼んでるね」


 ほーん、いいじゃん。面白そうだね。

 ウルトラハードに慣れまくった私に、アビスモード?なダンジョンか。それがどれくらいムズイのか全然想像できないけど、超強い私にはちょうどいいわ。


 そうだね、まずはどんなもんか入ってみようかね。


「ちょっとダンジョン行ってくるわ。装備とかないけど、入るだけなら別にいいよね」

「刑期短縮目当てでダンジョンに入るのは、新人なら誰もが通る道だ。いいんじゃない?」

「エリカも行く?」

「行ってみる。高橋、案内して」

「そうだな。噂の永倉葵が、あのダンジョンにどう反応するのか見てみたい。いいよ、こっちだ」


 よっしゃよっしゃ。やっぱ私はハンターだからね、ダンジョンにアタックしないとだよ。


 てゆーか、このムショにいるのって、みんなハンターなんだよね?

 しかもレベル5のムショで、結構強い人たちもいるんだよね?


 だったら派閥とか意味わからんことして遊んでないで、攻略をもっとがんばれよ。まったくもう。



 高橋に案内してもらって、ダンジョンのある建物に到着した。ムショ内のダンジョン管理所だ。

 ほうほう、やっぱ全体的にぼろっちいね。カウンターっぽいところに、何人かいかつい人がいる。


「どうも。新入りを2人、連れてきました」

「おいすー、新入りだよ」

「永倉葵スカーレットと山村恵梨香だな。高橋は引率か?」

「そんなところです。深淵アビスダンジョン、体験したいって言ってるんで、少しだけいいですか?」

「入るだけなら構わないが、説明はしているのか?」

「もちろんです」


 やった、入ってもいいっぽいね。


「すぐに逃げ帰ることになるだろうが、ひとつだけ忠告だ。階段を下りても下手に動くな。危険だからな」


 脅すというよりは、真剣に忠告してくれた感じだね。高橋も言ってたけど、だいぶやばそう。まあ行くけど。

 本当ならここに預けた装備を受け取って、着替えたりなんだりしつつ、ダンジョンに入るらしい。出る時には、逆にちゃんと全部預けないとマズいことになるみたいだね。


 とりあえず、いまはお試しだから装備なしでもいい。

 ダンジョンの近くに行くと、ステータスの力が開放されてすっごいシャキッとする。この感覚がたまらんよね。

 そうして3人でダンジョンの大階段に向かった。


 ういー、だいぶ脅されたからね。楽しみだけど、ちょっとだけ怖いわ。

 どんなもんかねー。

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