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八重する企みと囚人たち Lv.4(十七話)

 朝日がのぼり始めた頃、一つ目の門のそばにある小さな小屋から少女が出てくる。


 彼女は高い城壁から離れ、日の当たる場所まで走って行った。

 背中に当たる太陽の輝きは、今日も頑張らせてくれるおまじないをかけてもらった気分だ。

 とても清々しくてたまんない。


 登る太陽の様に輝く綺麗な金髪に、黄色い瞳をしたキャリー・ピジュンだ。

 なぜ、彼女が刑務所内の小屋にいたのか。


 オリパス達と共に早く、スタックタウンまで向かいたいと思ったキャリーはダインの誘いで、こっちで寝泊まりすることに。


 作業のためならとシャーフ看守補佐官が、留めさせてくれた。


「いち、にー、さんし、ごー、ろく、しち、はち!」


 肩や足、筋を伸ばすのを頭にイメージしながら全身をストレッチする。

 早いところ、荷物を運び切ってしまおうと考えていた。


 


 みんなが起き始め、朝食を取り始めた頃、キャリーも作業の手を休めて、看守達と食事をした。


 パンと昨日の残り物のトマトスープだ。

 酸味と胡椒のピリッとした辛さが体に染み渡る。


「美味しい!」


 思わず、喜びの言葉が溢れるほどだった。


 食事を終えて再び作業に戻る時、ダインも合流してくれた。


 彼がいる時は、重い荷物を優先する様に心がけて動く。

 と言っても往復はキャリーの方が速くなってしまうため、運ぶ順番は、重い物、軽い物、軽い物、重い物と順に運ぶのだ。

 しばらくして、シャーフに連れられてアン、リードと幸が手伝いに来てくれる。


 彼女達は一つ目の門からファドン刑務所内の荷物置き場に運ぶのが主な仕事になっていた。

 一休みしていると、何気ない顔でリードがやって来る。


「よお、このクソだるい荷物は後どれくらいあるんだ?」


 キャリーは麓の荷物置き場の様子を思い浮かべる。

 自分が運べる小さい荷物はあらかた運び終えて残りはダインと二人がかりで運ばなきゃいけない物。


 となるとそれなりに時間がかかるかも……

 キャリーはピースサインをして答える。


「今日、明日で多分」


「はぁ、この作業。あと二日もかかるのかよ! どんだけ運び込んでんだよ……」


 舌打ちをしながら頭を掻く。


 キャリーも同じ気持ちだ。

 こんなに何度も運ぶのは久しぶりで結構しんどく感じる。

 おまけにキャリー一人では出来ない事があるのがもどかしい気分だ。


 大きい荷物はダインがいないとできない。でも、彼は、午後は別の事があるので、出来ない。

 苦笑いで返していると突然、リードが肩を組んでくる。


 何事かと驚いてしまった。


 彼女は小さな声でキャリーに尋ねる。


「お前、しばらく刑務所にいるんだろ?」


 少女はこくりと頷く。


「外側とは言え、安全対策は平気なのか?」


 突然、変な事を聞いて来てキャリーには、よく分からなかったが、すぐにどういう事か理解する。

 視界の端から鋭い釘が近づいてきた。


「例えば、俺がお前を刺そうとしたりとか」


 いきなりの事でキャリーは困惑する。


 なぜ、そんな事をしなくちゃいけないのか、分からなかった。

 リードは固まるキャリーから離れて嘲る様に笑う。


「用心に越したことはねぇ。テメェは自分の身もろくに守れねぇだろ? シャーフの野郎のところ言って聞いてこい。バーカ」


 煽られているのぐらいキャリーにも分かる。


 ムッと顔を顰めてから大人しく聞きに行った。


 実際、近づかれて脅されかけたのだ。

 なんでそんな事するのか、よくは、分からないが。

 アン達の看守についていたシャーフの元に行って聞いてみる。


「シャーフさん」


「どうしました?」


 囚人達に向ける様な怖い視線ではなく、物腰柔らかな口調で聞き返す。


「えっとね、ちょっとここでの身の守り方を教えてほしいの……」


「身を守る? ご安心ください。何かあれば、僕たちがあなた達をお守りしますので……」


 キャリーに言った後に自分の発言に疑問を持つ。

 囚人なら力づくで、なんとかなるが、一人だけどうにもしきれない者がいる事を思い出す。


「アシュメ看守長のことか……」


 彼は小さく呟いた。

 確かに、彼女はキャリーに何やら入れ込んでいる。


(あの人は一様、一般人には手を出さないはずだが、そうとも言い切れない)


 最悪の場合、彼女も壁に貼り付けられてしまう。

 シャーフはこくりと頷き、目線をキャリーに合わせた。


「分かりました。貴方にも身を守るおまじないを教えます」


 彼はメモ用紙を取り出し、内容の一部をキャリーに教えてあげた。


 なぜ、リードはキャリーに自分の身を守る方法を聞きに行かせたのか?

 リードなりの親切心か?

 ながら、利用するためだ。


 超空間把握能力と言う祝福の力で、彼のメモ用紙の中身を覗き込む。

 目を凝らし、たくさん飛び込んでくる情報の中、手に入れたい情報を見つける。


 くらりと視界が揺らいだ。

 白くなったり黒くなったりと点滅し始める。

 リードは貧血になった様に膝をつく。


(ちくしょ、外でやるとやっぱキツい……)


 彼女の目は多くの情報を見る事ができる。

 ただ、広い空間や明るい場所で使うと体への負荷が強くなってしまうのだ。


 太陽を直接見る。


 今のリードはそんな感覚であった。


 相手の動きも予想できるが、たくさん使えないのが難点だなと呆れる。

 この祝福の力が活躍するのは、盗みだけだと思っていた。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

リードの超空間把握能力は、周囲の情報をくみ取る事です。しかし、視界に入るものを制限することができないというだいぶ不便な祝福の力ですよね。

でも、背の低い彼女だから持つ意味があったり……


「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

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