終わるものなんだよ
頑張ってたらいつか報われるなんて嘘だ
これが終わったら、これを乗り越えたら、いつか必ず幸せが訪れるなんてそんなの嘘だ。少なくとも僕の人生はそうじゃなかった。全てが報われる世界なら夢だって簡単に叶うはずだ。でもそうじゃないから、僕らは好きなように生きている人に憧れを抱き、嫉妬から嫌味を言うのだろう。
全然関係ないけど、久々にキーボードを叩いているのでホームポジションが安定しません。泣きそう。ショック。
そう、話を戻すんだけど。少なくとも僕の人生はそうじゃなかったはずだ。という事は、多分皆の人生もそうじゃない場合が多いんだよ。願望が全て叶うわけがない。僕の力で叶えた願望はこの二十数年でたった一つだった。けれど叶えたからってずっと幸せなわけではないんだ。人は一度得た幸せに浸って、それを当たり前にするのだ。だからこそ僕が叶えた願望の先がなあなあな人生なのだ。上に上に、より良く期待を叶えて、売れるために有名になるために何でもやらなくてはいけないと思ってしまう。現実的に考えればそうでもないのにね。
確かに期待値が高くなっているのは間違いないだろう。頻繁に新作を出さなければいけないとも思ってしまう。けれどさ、誰も首を絞めてきたわけではないんだ。僕が自分で締めているだけなんだよ。
僕たちはきっと、誰にも会わず、誰の目にも触れない場所で好きな事を突き詰める人生が性に合っているんだ。外に発表もせず、晩年になって実はこんなにも作品があったんだよってなるような。そんな人生がしたいんだ。けれどそれだけじゃ生きていけない。好きだけじゃ生きていけないんだ。
可能な限り好きな事をして生きているつもりだった。これまでもこれからも、それを続けていきたいと思っていた。けれど、好きな事をして生きてきた僕を見た周りは僕から離れていった。そして一人になった。でも本を出した瞬間に掌を返したから、人間って本当に笑えるよな。
今日、また新しい試みを始めてみようと思った。声を出してみた。僕は自分の声が滅茶苦茶嫌いで、動画や映像に残った自分の声を聞くのがとても好きじゃないんだ。それでも、話さなくちゃ何も始まらないと思った。声を出さないと、誰にも伝えられないと思った。誰かに手を差し伸べる事すら出来ないと思った。だから、話してみた。
好きな事をするのだ。いつ飽きるか分からない、新しい事。誰かに批評されるわけでもない事。僕らはきっとその方がいいんだ。精神に優しいから。
だからさ。明日から新学期が始まるみたいだけど。
もし死にたいとか思ってるならちょっと立ち止まってほしい。思い返して欲しい。やり忘れた事はないか、言いたい事はないか、見たかった景色は見たか、行きたかった場所には行けたか、何か一つでも引っかかったなら踏み出す足を止めてくれ。
憂鬱も胸の痛みも若さゆえに来るものなのかもしれない。確かにそうかもしれない。けれど、若いってだけで辛い事は沢山ある。
大人たちは言うかもしれない。どうせ死ぬくらいならやり返せとか、死んだら負けだとか、それしきの事で、とか。僕も思い返せばそう思う事も多々ある。けれど、若いって残酷だからその言葉は全て君を傷つける言葉になってしまうのも分かっている。だから僕は言わない。僕大人でも子供でもないから。大人たちの言葉に耳を貸せる状態の人間が、自ら死ぬ事を止めるわけがないんだ。だって、その言葉全てが追い詰める言葉になるから。
大人でも子供でもない中途半端な僕の話を聞いて欲しい。明日からまた、辛い事が沢山あると思う。傷ついて傷つけられて涙を流すかもしれない。でも、死んだら君が読んでいた漫画の続きは分からない。僕の作品が未完のまま終わるように、君が主役の物語なら綺麗なエンディングで終わらせたいだろう。
正直、自殺を止めるつもりもないんだ。確かに悲しい事だし推奨はしないよ。でもそれが君の決めた決断なら、他人がとやかく言えるものでもないんだ。ただ、電車に飛び込むのは止めてね。かなり困るので。
僕が言いたいのは生きていれば必ずいい事があるなんて嘘だって事。良い事があるのではなく、自分で見つけなくてはいけないものなんだ。自分の足で歩いて自分の目で見てその手で触れて、幸せは与えられるものではなく勝ち取るものなんだ。掴み取るものなんだ。だから今君がどん底にいようと、君次第で世界は変えられるって事。君次第で三秒後の世界は晴れやかになる事。それは他の誰でもない、君が自分の意志で動かなくてはいけないんだ。
たださ、もし死ぬのなら僕と話して欲しい。僕は綺麗事が言えない。自分だって死にたかった。今だって他人の死には敏感なのに自分の生死にはあんまり興味がないんだ。僕は僕の大切な人たちが皆死んだ世界に興味がないから、どうせ死ぬなら僕が先に好きな事をして死にたいんだよ。人はいつ死んでもおかしくないって知ったその日から、そう思い始めた。
君にそうなって欲しいわけではない。厳しい言葉を浴びせるかもしれない。けれど君には言葉がある。声がある。耳がある。目がある。意思を伝えられる術がある。なら伝えようよ。下手くそなラブソングでも、文脈が滅茶苦茶な小説でも、何でもいいんだ。その胸に溜まって弾けてしまいそうな思いをどこでもいいから吐き出してくれ。馬鹿みたいに泣いて縋ってくれ。僕でもいい、親でも兄弟でも友人でも、誰でもいい。
君はどこにだって行けるんだ。誰にだって会えるし何でも出来るんだよ。人間一人の命なんて大した事ないかもしれない。でも人一人が出来る事の可能性は未知数だ。君がその可能性を知らないまま終わる決断をしないでくれ。
人生なんていつかは終わるものなんだよ。何も成さないまま終わるくらいなら、何か成してから終わらせたいだろう。




