Vol.038【空央がこわれるとき】
▶あお♡ 2017年4月4日 ついさっき
ソラチャン ハ ワタシガフウジタ (⃔ ー̀֊ー́ )⃕
やばい!!俺はSoRaとフレンド!
桜沢が俺の日記にこんなコメントをしてきたことが
SoRaのフレンドにバレたら、SoRaを封じた「あお♡」は
犯人として容赦なく叩かれるだろう!
ここはこの場が荒れるのを防ぐため、俺がフレンド以外は日記の観覧ができないようにセキュリティ設定しなければならない!
「あお♡」のコメントを削除するのも手段!
でも今、「あお♡」は何をコメントしてくるかわからない!!
削除するタイミングも難しい!!
SNSの世界はとても危険な状態だ!!
セキュリティをすれば「あお♡」は俺の日記に来ることはできなくなるが、話すなら直接、桜沢とLINEで話せばいい!
俺はそう思いながらネバーランドの観覧セキュリティ設定を終え、退出した!
これで友達以外、俺の日記に来ることはできない!
そして桜沢にLINEで電話を。
2017年4月5日 21:45
俺が桜沢にLINEで電話をかけると、すぐに出た。
漓久「どういうつもりだよ、桜沢!!」
空央「南さん!こんばんは(笑)初めての電話、嬉しいですよ!」
漓久「嬉しいじゃない!SoRaに何をした!!」
空央「あれ??そんなに怒ってSoRaちゃんのこと、好きなんですか?」
漓久「好きとかそういう問題じゃない!桜沢はいったい何がしたいんだ!?」
空央「南さん、SoRaちゃんに近づいてはダメですよ!!」
漓久「何?なんでだよ!!」
空央「とにかく関わりを持たないでください!!」
漓久「は?何を言ってるんだか」
空央「SoRaちゃんは今まで欲しいものを手に入れてきた人です。」
漓久「どういうことだ?さっぱりわからない、説明しろ!」
空央「どうしても関わりたいと?SoRaちゃんに?」
漓久「関わりたい!?そんなんじゃない!俺は知りたいんだよ!なぜこんなことが起こってるのか!知りたいだけなんだよ!」
空央「どんなことがあっても知りたいんだ」
漓久「当たり前だ!!不思議なことが多すぎる!SoRaの性別もわからない、歳も名前も知らない!なぜ俺の前に現れたのか、SoRaが誰かを知りたい!!」
空央「SoRaの性別もわからない」
空央「SoRaの歳も名前も知らない」
空央「そしてSoRaが誰かを知りたいか」
空央「やっぱり……許せないなぁ」
空央「SoRaを……」
漓久「は!?お前、何を言ってるんだ?」
漓久「桜沢、知ってるのか?SoRaが何者か」
空央「私は全て知ってますよ!!嘘をついてもすぐにバレるから、これだけは教えてあげる。」
空央「お望み通り、SoRaはれっきとした女性。」
SoRaは……女性
漓久「女性だとは思っていた」
驚くことはない!!
初めからわかっていたことじゃないか!
でも何も見えない世界で確信に変わる言葉を聞くと
なぜか心が騒ぐ
そして空央の口調が
少しずつ
少しずつ
変わっていく
空央「好きなものがひとつならはんぶんこ。でも、はんぶんこできないときはどうしよう」
漓久「それは、ダイアリーの……」
空央「ひとつしかないボロボロの服」
空央「ひとつしかないボロボロの鞄」
空央「ひとつしかないボロボロの自転車」
空央「そしてひとつしかない、儚い恋」
漓久「な、なに?」
そのとき、電話の向こうで
何か不吉な空気がどよめき始めた。
空央
「私の欲しいものは」
「私の欲しいものは!!!!」
「すべて」
「すべてあの子が奪ったぁぁぁぁーーー!!!」
リアルで悲痛な叫び声!
桜沢の感情は頂点に達している!
かなりマズイ状態と言える
漓久「お、おい!桜沢!どうしたんだよ!!」
そして桜沢は少し気持ちを落ち着かせて
静かな口調で話し始めた。
空央「あの写真を見たときから決めたんですよ。」
漓久「写真?」
空央「ダイヤモンドダスト!」
漓久「な……」
空央
「こういうことです!
あなたのダイヤモンドダストの写真に二人の少女が惹かれた。
小さい頃から今まで痛い思いや死にそうな思いをしながら生きてきた二人が、初めて心を癒され、この世界にはまだまだ綺麗なものがあるんだと教えてもらい、生きる喜びを知った」
漓久「おい!言ってることがさっぱりわからない!!俺のダイヤモンドダストの写真を二人が見たってどういうことだ?」
空央「私たちが中学生になったとき、写真展であなたの写真を見たんです」
漓久「私たち???俺は写真を展示会に出したことはない!!」
空央「あなたのお父様が出展されたんですよね?そしてその写真を撮ったのが少し歳上の中学生。同じ年頃の人にこんな素敵な写真が撮れるのかと感動したんです。その場でお父様に聞きました。そして私たちは写真展開催の期間、ずっとあなたの写真を見ていたんです。心の癒しを求めて、ずっと、ずっと」
漓久「心の癒しだと?写真一つで?ありえねぇって」
空央「ありうるんですよ」
空央「私たちみたいな環境で育ってきた人間には」
空央「それがたった1枚の写真でも、全てを忘れさせてくれるものってあるんです」
空央「普通の環境で育ってきた人たちには絶対にわからないこの気持ち!」
空央「本当の救いは……あなたにあった」
空央「あとこれも教えてあげますよ。」
漓久「な、なんだよ!!」
私たちは________________
漓久「そ、そんな、バカな」
その言葉を聞いた瞬間、
俺の脳内にまたどうしようもない激痛が走る!
うわぁぁぁぁぁぁぁー!!
うわぁぁぁぁぁぁぁー!!
俺の記憶の中に
全く知らない
もうひとつの記憶が
潜んでいる!
全く知らない
別の記憶!
これは……
これはなんだ!
_____________________
これあげるよ!
いっしょうけんめい
友達と選んだんだ。
見てよ!
こうしてふたつに分かれるんだよ。
すごいよね!
お互い持っていようね
ずっと
ずっと
______________
ホントに?
可愛い
嬉しい
うん
ずっと一緒に
持っていようね
ありがとっ!
りくちゃん!
りくちゃんのこと、
ずっと……好きだよ……
______________
うん
わかってる
僕も大好きだよ
でも
君のお父さん……
ううん、なんでもない
______________
暖かい春が来て
暑い夏が過ぎ去り
肌寒い秋が少しだけ
そして寒い冬はやってくる
______________
ねぇ?どうしたの?
りくちゃん
さっきから黙って
なんかあったの?
______________
もう君のこと
嫌いになっちゃった!
ごめんね
僕のことは忘れてね
ふたりで持ってたあれ、
君に返すね
僕はもう要らないから
ばいばい!
______________
りくちゃん
りくちゃん
おいてかないで
りくちゃん
りくちゃん
かなしいよ
かなしいよ
涙、出ちゃうよ
かなしいよ
りくちゃん
りくちゃん
なんで?
なんでいなくなるの?
涙が止まらないよ
______________
僕の心が
僕の心が
少しずつ
少しずつ
死んでく
死んでく
君に渡せないまま
死んでく
死んでく……
_____________________
俺は
何かを忘れている
とてつもなく大きな存在を
忘れている
SoRa
お前は誰だ!!




