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Vol.001【プロローグ】

挿絵(By みてみん)


「削除されたアバター」ビジュアルデザイン。

挿絵(By みてみん)


Vol.1 【プロローグ】


2017年4月22日 午後

旭川中央総合病院


静まり返った空間に、

音のない二発の銃声が鳴り響いた――。


_____________________


早くしろ!!


担架、まだか!!


急げ!!

何やってる!!

血圧がどんどん落ちてるぞ!!


血が止まらない!

早く運べ!!


AED、持ってこい!!


ショック状態です!!


しっかりしろ!!


おいっ!


おいっ!!



「う……嘘…だ………」



心肺停止!!


心肺停止!!



な、なぜ!なぜ!!


もう少し…

もう少しだったのに!!


………………………………


_____________________




とても心が安らぐ……。


顔も知らないのに、

いつも俺に言葉をくれる。


最初は、ただの暇つぶしだった。


それなのに、いつの間にか

ここへ来るのが当たり前になっていた。


この場所に来て、本当に良かったと思う。


――ネバーランド。



そして、2017年7月7日。

俺は、一番大切にしていた

アバターを消した……。


_____________________



眠い。

もうこんな時間か。


ぼんやりしたまま画面を開き、

俺はいつものように「ネバーランド」へ

入っていく。

すると、見慣れたコメントが並んでいた。


 


▶ギルト 2017年3月4日 6:02

おはようございます。今日もいい天気ですね。

がんばってください。


▶レイラ 2017年3月4日 6:10

カイト~(^^)おはよ!! 朝だよー!! 起きろ~


▶レイラ 2017年3月4日 6:11

早く起きないと遅刻しちゃうぞ!


▶レイラ 2017年3月4日 6:12

しょうがないなぁ(◍ •́ ₃ •̀ ◍)ぶー!


▶みぃちん 2017年3月4日 6:13

返事して~~~~~


▶レイラ 2017年3月4日 6:35

まだ寝てんの???(ヾノ・ω・`)ナイナイ


▶ミッチィmama 2017年3月4日 6:56

今日も頑張ってね~ p(´∇`)q ファイトォ~♪


……。

 

いつもの朝だった。


他愛もないコメント。

顔も知らないフレンドたち。


それでも、この世界には確かな温もりがあった。


現実よりも、ずっと。


だけど最近、

俺の中から何かが消えていく。


出会った時の記憶。

大切だったはずの記憶。


そして「存在」の記憶。


姿も知らない。

声も聞いたことがない。


本当に存在しているのかすら分からない。


そんな曖昧な「存在」が、

あの冬からずっと、

俺の中に残り続けている。


忘れたくない。


だから、こうして思い出そうとしている。


「存在」の名前は――

アバターネーム『SoRa』。


気づけば、あの場所にはいつもSoRaがいた。


この時の俺はまだ知らなかった。


この出会いが、

すべてを

壊していくことになるなんて――。

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