華が死ぬ!?
これまでのあらすじ
不思議な女・・・華。
華と暮らし始めた竜二は、ときどき消えてしまいそうなくらい透明になる華を見た。
消えそうなほど透明になる現象は命が尽きる前兆なのか。
華が話し始めた竜二との前世とは・・・
そして再び出会った竜二と華の運命とは・・・
二人が辿る道がこれから明かされる。
竜二のスマホが鳴ったのはお昼近かった。
番号を確かめると華の電話番号だ。
『なんだろう?』
竜二は、華が仕事中には滅多に電話をかけてこないことを知っている。
もし何か連絡があるときはLINEでメッセージが届くはずだ。
急に胸騒ぎがした竜二は急いで電話に出た。
電話に出て竜二は驚いた。
番号はたしかに華のスマホの番号なのに、その電話口に出たのはまったくの別人だったのだ。
電話の主は女の声だった。
『もしもし。もしもし・・・』
『あなたはどなたですか?
なんで華の電話から?・・・・・・』
竜二は電話の相手が誰なのか確かめた。
すると電話の相手が早口で話を始めた。
『もしもし。私は東京医科大学の看護師の榎本と申します。
急な電話で申し訳ございません。
実はこの電話は白井さんからお借りして電話をしております。
手短に申し上げますが、白井さんは本日会社で倒れられ救急でこの病院に運ばれて来られたんです。
一度は心肺停止状態でしたが、現在はAEDによる蘇生措置が行われ意識が回復されています。
ただし、いつ意識が混濁するかわからない状況のため、今のうちに白井さんのご家族に連絡をと思い、白井さんから松井さんの電話番号をお聞きした次第です。』
この女、何を言ってるんだ???
華が倒れた?
心肺停止だと・・・?
どういうことなんだ。
『もしもし!もしもし!
松井さん聞こえてますか!?』
榎本という看護師は電話の応答がないため、しきりに何か叫んでいる。
『あ、はい。聞こえてます。』
竜二は我に返ったように返事をした。
『それでは一刻を争いますので、今すぐ病院の方へ来れますか?
救命救急センターの方へおいでいただき、窓口で榎本を呼んでください。
では、よろしくお願いいたします。』
榎本は電話をしながら、華の救命措置をやっていたのだろう。
一方的に話すと電話は切れてしまった。
『華が倒れた・・・・・・・』
竜二は呆然としていた。
嘘であってほしいと願いながら、竜二はとりあえずバッグに財布とスマホを押し込むと華の部屋を急いで飛び出した。
竜二は甲州街道まで出たが、新宿は『新宿バスタ』の中のタクシー乗り場でしかタクシーを止められないことになっていた。
なので竜二が手をあげても、甲州街道を走るタクシーは止まらない。
竜二は仕方なく、また新宿バスタの2階のタクシー乗り場まで走った。
初めて大学病院にやってきた竜二は、その大きさに目を見張った。
今まで病院らしい病院に来たことがなかったので、この物々しい雰囲気にさらに華の容体が気になった。
救急救命センターでは榎本という、先ほど竜二に電話をかけてくれた看護師が待っていた。
その雰囲気から少し状況が落ち着いているらしい。
『華の容体はどうなんでしょうか!』
挨拶もそこそこに竜二が尋ねると、榎本という看護師は今は意識があり落ち着いてますとだけ答えた。
病名などはきっと看護師の口からは言えないのだと竜二は思った。
榎本に案内されるまま竜二は集中治療室ICUに入った。
部屋中からピコピコという電子音が鳴り響いている。
この音が人の命を繋いでいる音だ。
華は奥から2番目の窓際のベッドに寝ていた。
竜二がベッドに駆け寄って『華!!』と呼びかけると、華はゆっくりと目を開けて竜二の方を見た。
青ざめた華の肌は透き通るようだった。
いや、透き通るようではない。
透き通っている!
『いつものあれだ!・・・・・・』
と、竜二は思った。
そうか。
あれは華にとってよくない前兆だったのだ。
『クソ〜!なんで俺は気づかなかったんだ!!!
もっと早くに気付いていれば、華はこんなことにはならなかったのかもしれないのに・・・・・・・・
もっと早くに病院に行くように言えばよかった。』
竜二は華の目を見つめながらこれまでのことを心から悔いた。
すると華の口が開いた。
何かを伝えようとしている。
『竜・・・ニくん・・・・・・・・ごめんね。
私にはもう時間が残されてないの。
だから、竜二くんに聞いて欲しいことがあるの。』
『じ、時間が残されてないっていったいどういうことだよ!』
竜二は当然だが理解ができない。
ただただ、今朝まで元気だった華がなぜ今こうなったのか。
それを知りたかった。
それから華は少しづつ話を始めた。
華は竜二から視線を外し天井を見上げながらまずこう言った。
『竜二君。
私はもうすぐ死ぬわ。
なぜなら私は神様とそういう契約をしてきたの。
前世で・・・・・・・』
明日は『華との前世』に続きます。




