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SMF 3
「だからさ。トラって父親の味を知らねえんだよね。父親から叱られたことも、父親に何かを教わったことも…」
亜弓の瞳に涙が溢れてくる。
「だからさ、さっきアンタとトラが紙と睨めっこしてんの見てさ。ああ、トラってこーゆーのに憧れてたんだなって。母親とじゃ出来ない、こーゆーことをって」
頬に涙が流れる。健太が見た女の涙の中でも、一番美しい涙だった。
「もし父親がいればさ。トラは年ショーなんて行かなかったかも。その前に父親に怒鳴られ殴られ、真っ当に中学生してたかも」
「いや、ちょっと待てよ」
健太はカウンターに身を乗り出しながら、
「トラはいい奴だぞ、うちの会社にもあんな真っ直ぐで実直な男はそうはいないぞ」
「真っ直ぐで実直って、同じじゃん」




