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トラ トラ トラ!  作者: 悠鬼由宇
第1章
30/440

WB 6


 ママとミキは大きく溜息をつく。隣のトラは一人スマホを弄っている。


「そんで、永野さんアンタ、これからどーすんの?」


 ミキが何本目かのタバコに火を付けながら問いかける。


「エリート社員がこんなに落ちこぼれちまってさあ」



 赤の他人にこんなことを言われるなんて。ちょっと前の健太だったらなら、プライドを傷つけられたと怒り狂っていただろう。


 しかし今夜は、いやこの店では全く怒りが湧いてこなかった。寧ろその苦言が心地良くもある。不思議な店だ、いや不思議な人たちだ。



「そっか、ヒマ、なんだオッさん」



 不意にトラが口を挟んでくる。



「そしたらさ、俺たちの中学のサッカー部のコーチ、やってくんね?」


 飲みかけたビールを咽せてしまう。


「は? 何だって?」


「だからー。ウチのサッカー部の面倒みてくんね?」



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