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マルセイユルーレット 8
「お願い… 決めて…」
キョンが呟く。
一美は思わず顔を手で覆ってしまう。
もえとりんりんは大声で叫ぶ。
健太は彼女達を眺めながら、思わず笑みが溢れる。思いが強いほど、叫べなくなる、見られなくなる。応援の父兄達もそうだ。母親達は皆顔を覆っている。そんなもんだ。
あ。一人だけ、違う女性がいる。まるでスーパーモデルのように格好良く腰に手を当てて、茅野のドリブルをキッと睨み付け仁王立ちしている。その美しい佇まいに目を細めていると!
父兄達が、爆発、する。
夫、妻、構いなく抱き合って、飛び跳ねる!
体に衝撃を感じる。もえとりんりんがタックルしてきた様だ。
キョンは一人、ガッツポーズを深く決め、そして徐にグランドに向かい、
「残り少し! 集中しろ!」
と檄を飛ばす。
一美は覆っていた手を上に掲げ、バレーボールのアタッカーさながら飛び跳ねている。
そんな様子を微笑みながら眺めていると、
「コーチ!」
と大声で叫びながら、目に涙を浮かべた茅野が健太に抱きついてくる。相手ゴールからベンチまでわざわざ駆けつけたのだ。




