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マルセイユルーレット 7
実は茅野が今履いているスパイクは健太から貰ったものだった。それまで履いていたのものは穴が空き、試合では履けないので新たに購入する様に健太に言われたのだが、茅野家にその余裕が無かった。
ある日の練習後、その事を健太に伝えに行くと、
「そっか… すまなかった。恥かかせたな…」
そして練習後、二人で川崎にある格安スポーツ店に行き、茅野の足に合うスパイクを健太が購入した。
「大人になったら、酒奢ってくれよ。それでチャラな」
茅野は返す言葉を知らなかった。まさかコーチがスパイクを買い与えてくれるなんて… マンガやアニメの世界ではアルアルだが、このしょぼくれた現実社会でこんなことが実際に起こるとは…
何も言えず、お礼も言えず。ただ口をパクパクさせている茅野に、
「俺への感謝なんていい。それより、みんなの為、チームの為に走ってくれ。それとー」
「それと?」
「キョンの為。わかったか?」
キョンに気がある茅野は真っ赤な顔で、だが嬉しそうに満面の笑顔で大きく頷いた。




