193/440
マンツーマン 8
ケンシロウさん。本当はあなたが
この掌の温もりに癒されるはずだった。
さぞや辛かったでしょう さぞや悔しかったでしょう
この温もりを感じることが出来なくなったことが
それにこのトラも
本来あなたが与える温もりを今まで…
気が付くと健太はトラを抱きしめていた。
自分より数センチ背が高く自分よりも筋肉質のトラをしっかりと抱き締めていた。
トラは体を硬直させ、何だよよせよウゼーよと呟くのだが、健太の抱擁に身を委ねたままである。
そんな二人をはじめは目を見開き見ていた亜弓も、知らず瞳から一雫の涙がこぼれ落ちる。二人に見られまいと空を見上げると、青い空にコントレールをたなびかせながら飛行機が高くゆっくりと流れて行く。




