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アイソレーション 4
その笑みを横目で見ながら、亜弓は胸の鼓動が収まらなくなっている。
アタシとは住む世界が違う。過ごして来た環境が違いすぎる。
学生時代からサッカーの名選手で進学校から六大学。卒業後は世界的大メーカーに入社し、去年までは部長。有名大学生の息子もいる。
比べて、アタシ。高校中退。地元のチンケな族の出。スナック、キャバクラで働いて子供を育て、その子は少年院。
違いすぎる。あまりに、違いすぎる。
それに。亡くなった旦那程ではないが、体も大きく、顔だってかなりイケている。初めて店にきた日とは全くの別人の様である。
こんな人がトラの父親だったのなら。
ずっとそう思っていたのだが。
河川敷の桜を目を細めながら眺めている健太の横顔を見て、
ああ、この人がアタシの夫だったのなら
そんな叶う筈のない望みを飲み込んで、亜弓も多摩川を彩るソメイヨシノに目を向けるのだった。




