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レイオフ 1
「へーーーー。トラが、アンタをねえ」
亜弓は焼酎の水割りを口に含みながらあかねを眺めている。
カウンターで健太の隣に座り、上品に今夜の夕食の焼うどんを上手にすすりながら、あかねがトラとの邂逅を亜弓と健太に話したのだ。
「でもアンタの父さんはちゃんとした人じゃんか。そうだよ、トラは自分の為にケンカなんてしねえんだよ。大体いつも仲間をコケにされたとか親をバカにされたとか、そんな理由でケンカすんだよ」
「私、未だに暴力に対しては懐疑的なのですけど。それでもトラくんに女子としての最大の危機を救ってもらったことには変わりありませんから。そしてトラくんが一人の女子を救いその子と家族に大変感謝されている、と言う事実は知っておいてもらいたかったのです。実際父自身、いつかトラくんに直接礼がしたいそうです」
「へー。今時大した親じゃねえか。ねえ永野サン」
健太は全力で首を縦に振る。確かに今時、こんな不良に直接礼をしたいなんて言う親は珍しいのかもしれない。




