小話 小心商人サッギーシの夢?
書きたいから書いた。後悔は少ししている。
※本編じゃ無いっス。読まなくてもオッケー!
あっしの名前はサッギーシ。………いたってごく普通な商人でやんす。
先日行商に行った赤竜の郷で、変な女があっしの姉貴が開発した、魔力ギンギンくん8号といういかにも胡散臭い商品を、満面の笑みで購入して行きやした……。
あんなしょうもない物、一体何に使う気なんでやんすかね?8号と書いてあったため、あっしが興味本意で姉貴に、8号と書いてあるが1~7はどうしたのか聞いてみたら、「1~7なぞ無いっ!8が至高であり、8が始まりであるっ!!」と、意味が分からない事を叫びながら、頭をかきむしり、部屋中のありとあらゆる物をあっしに、投げつけて来たんでやんす。
流石のあっしも、理解しやした……それ以上は聞いて来るなって事でやんしょ?
ガッテン、ガッテンでやんす。
まあ、到底売れるとは思って無かったでやんすが、まさか売れるとは……。人生ってやつは、何が起こるか分からないでやんすね?
それにしても……魔力ギンギンくん8号を、買って行ったあの女……目が完全にイッちゃってたでやんす。
あっしの姉貴が、危険な実験をしている時の目にソックリでやんした。
あの、胡散臭い……ゴホッ……パチもん……ゴホゴホッ…しょうもない物が、悪いことに使われない事だけ、あっしは祈るのみでやんす。まあ、悪い事に使用しても、大したことは起こらないと思うでやんすが…ね。
あっしはこれから海を渡って、他の大陸に行ってみようかと考えているでやんす。
別に厄介な姉貴と縁を切りたいとか、そういう事は全く考えて無いでやんすよ?ええ……ただあっしは、楽してお金を儲けるのが好きなだけでやんす。
姉貴に押し付けられた商品を売ると、必ずと言っていいほど買った人の家族や、知人からクレームが入るんでやんす。処理にてんてこ舞いでやんす。
ただし買った本人からは、御礼状や高価な宝石等が、定期的に送られて来るんでやんす。
その中の何通かを読ませてもらったんでやんすが、【貴女の商品のファンになりました】とか【お送りした宝石で、更により良い物を作って下さい】とかは、まだ普通でやんすね?あっしも、普通に読めたんでやんすが、【貴女の商品のお陰で旦那の浮気が消えた…というより、旦那が消えました。有り難う御座います】とか、【好きだったあの人を私だけのモノに出来ました。もう彼は私以外は瞳に写しません…写せません。嬉しいです】とか……後半は全員病んだ内容となっていたのでやんす。怖いでやんすっ!!
あっしはもう限界でやんす。姉貴の危ない商品を売りさばくのは怖いので嫌でやんす。姉貴が嫌じゃ無いでやんすよ?姉貴の商品と、病んだ顧客が嫌なんでやんす。大事な事なので、繰り返させて頂いたでやんす!!
もっとごく普通の商品を扱う、真っ当な商人になりたいでやんす。
しかしながらこの大陸では姉貴が居るのは勿論、姉貴の信者という名のパトロネスが、ウジャウジャ居るため、姉貴の商品を扱わない事など到底出来ないでやんす。
あっしが居なくなれば、姉貴は重度の人見知り&研究室という名の自室から、外に出て商品を売ることは出来ないでやんす。食料は幼馴染みのボビーの家から定期的に配達して貰えば、姉貴が飢えることは無いでやんしょ?今度頼みに行くでやんす。
あっしさえ居なければ、姉貴も姉貴のパトロネスも大体無害でやんす。
あっしがこの大陸の人々(被害は全て男性に限定)を救ってみせるでやんす!!
そしてあっしの夢だった普通の商人に、あっしはなるんでやんすっ!
***
この後、急速に勢力を拡大していた、『黒の貴婦人』なる組織が、拡大していた時と同じ速度で縮小して行き、やがて無くなっていったのであった。
この平和の裏側には他大陸に逃げる事で、この平和に尽力した一人の普通の商人の姿が、有ったとか……………無かったとか。
姉貴は弟のサッギーシが、居なくなったので血眼になって(パトロネス達が)捜しましたが、他大陸に渡って居たので手が出せず、人見知りの為作った商品も売れず、人知れず危険でしょうもない商品を作るだけの日々を過ごして居ます。
愛猫と共に……ね。
他大陸に渡ったサッギーシは、後に大成して大商人とかになって、凱旋したら面白いですね?
そして、因縁の姉弟対決……その日、1つの大陸が滅んだ……とか?
それか、大陸中が涙した!!感度の姉弟巨編ここに完結~★的な?
無いな…。無い無い。




