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王妃教育の謎から始まる溺愛 ~ 王子と婚約破棄?大歓迎です!  作者: 柚屋志宇
第2章 婚約者の溺愛

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16話 公用語の会話力

「フェリシア嬢は先日、試験で追い抜いて欲しいと、私におっしゃいましたよね」

「ええ」


 その日も学院で、私とユベール様は昼食を一緒にとりました。

 そしておしゃべりをしました。


「私がフェリシア嬢の成績を追い抜くための、良い方法を考えたのです」

「どんな方法かしら」

「私とフェリシア嬢で、一緒に勉強会をするのです!」

「まあ、楽しそう!」


 私とユベール様がそうしてじゃれあっていると……。


「フェリシア様!」


 怒れる天使のごとく、眉を吊り上げたセリーヌ様がいらっしゃいました。


「あらセリーヌ様、ごきげんよう」

「フェリシア様、貴女、王妃教育の講師を買収したでしょう」


 セリーヌ様は私に、あらぬ疑いをかけました。


「私が王妃様を買収? まさか!」


 私の王妃教育の講師は、王妃様でした。

 教えてもらったことなどありませんが。


「王妃様ではなく、講師たちです! 作法や公用語や歴史の講師たちです! フェリシア様は講師たちを買収して、王妃教育を半月で終わらせたと言わせているでしょう!」

「ああ、王妃教育の基礎課程のことですか。それなら半月で終わりました」

「嘘よ!」

「本当です。もう三年も昔のことですが」


「フェリシア様は公用語も歴史も、試験で三十点も取れていなかったでしょう! そんなんで王妃教育を修了できるわけがないわ!」

「今回の試験ではどちらも八十点以上でしたが? 公用語は簡単なので百点でした」

「今回は不正でしょう!」

「今回は実力です。今までが不正でした」


 私は正直に告白しました。


「今まではルシアン殿下の成績を超えないように、試験で不正に手抜きをして、得点を下方に修正していました」

「嘘よ!」


 セリーヌ様は怖いお顔をなさって、公用語で私に言いました。


『貴女の公用語の会話力を試すわ』


 お互いに公用語でお話しをするという意味ですよね。


『はい、どうぞ』


 私も公用語で答えました。


『フェリシア様、ルシアン王子の悪口を言わないで』

『私は彼の悪口は言っておりません。セリーヌ様のご質問にお答えしただけです』

『王妃様とルシアン殿下のお仕事を盗まないで』

『私はそれをしていません。私は王妃様に騙されて、王妃様とルシアン殿下の台本を書かされていたのです』


 これは以前にもセリーヌ様に説明したことです。


 私が台本を書いていたことを認めず、あれらを王妃様とルシアン殿下が自分で考え、自分で発言したとすると、むしろややこしいことになると思うのですが。

 セリーヌ様は気付いておられないのでしょうか?


(セリーヌ様とブランシュ様には、ルシアン殿下との婚約破棄を後押ししていただいたご恩があるもの。この機会に、念のため確認をしましょう)


『セリーヌ様、お気付きでしょうか。ラルベル公爵領の堤防建設が、ルシアン殿下の発案だとしたら、ルシアン殿下とラルベル公爵が共謀して、ラルベル公爵領に利益誘導したと疑われてしまうかもしれません』


 私は懸念していることをセリーヌ様に説明しました。


『ラルベル公爵領に国費で堤防建設の援助がなされた、その後、ラルベル公爵令嬢であるセリーヌ様はルシアン殿下とご婚約なさいましたでしょう。これは傍から見たら、ルシアン殿下が、意中のご令嬢の領地に、国費を横流ししたように見えてしまいます。私の書いた台本だったことを明らかにしたほうが、変な疑いをかけられません』


 ついでにラルベル公爵の不手際についても注意喚起いたしましょう。


『国費からの融資の返済計画書を、ラルベル公爵は未だに提出していらっしゃいません。セリーヌ様が王太子の婚約者になったことで、ラルベル公爵領の借金をうやむやにする気ではないかと、ラルベル公爵を疑う者もいるでしょう。返済計画書は疑いを払拭するためにもお急ぎになられたほうがよろしくてよ』


 ついでにブランシュ様についての懸念も、セリーヌ様にお伝えしました。

 セリーヌ様とブランシュ様は仲が良いようですから、セリーヌ様に言えばブランシュ様に伝わりますよね。


『王妃様がフリアデル王国の特使をもてなす晩餐会で、ガイヤール産ブルーベリーをフリアデル王国に売ろうとしたことで、ガイヤール辺境伯が王妃様に宣伝を頼んだと疑われているようです。こちらも対処したほうが良いでしょう』


 天使のセリーヌ様とブランシュ様には、不幸になって欲しくありませんでしたので。

 私は不安に思っていたことを伝えました。


 しかし……。


「……」


 セリーヌ様は沈黙なさいました。


『セリーヌ様、私のお話を聞いていただけましたか?』


 返事がないので、私はセリーヌ様にそう問いかけました。

 ですがセリーヌ様は沈黙したままで、その代わりにユベール様が私に説明をしました。


「フェリシア嬢、ラルベル公爵令嬢の公用語の会話力は、簡単な日常会話程度です。彼女はフェリシア嬢ほどには公用語を使えないのです」


 かつてセリーヌ様と婚約していたユベール様が、セリーヌ様について私に教えてくださいました。


「ラルベル公爵令嬢は政治経済の単語をご存知ないでしょうから、フェリシア嬢のお話はラルベル公爵令嬢に通じていないかと」


「そうだったのね……」


 事情を聞いた私は、セリーヌ様に謝罪しました。


「てっきりセリーヌ様もしゃべれるものと思って、まくしたててしまいました。ごめんなさいね」


「……」


 セリーヌ様は不愉快そうにお顔を歪めました。


「もう、結構よ!」


 セリーヌ様はそう叫ぶと、くるりと身をひるがえして私に背を向け、足早に去って行ってしまいました。


「セリーヌ様の会話力に配慮もせずに、私がまくしたててしまったから、セリーヌ様のご気分を害してしまいましたのね。どうしましょう」


 私はおろおろしましたが、ユベール様は動じずににこにこと微笑んだままで言いました。


「放っておいて良いと思います」

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このアドバイスを嫌味でやっていないとしたら将来が楽しみ過ぎますね! 敵対者に天然で火の玉ストレートの善意で投げつけて焼き払う剛腕貴族夫人として社交界で鳴らす未来が見える見えるw
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