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トワの奏弦士  作者: 苫古。
◆第2章◆ 謳の悪夢
22/57

* 謠 ***

「お前が神子姫(フェルマ)におなり」


「お前なら大丈夫」


「そう。あの娘は、お前とは違って弱い子だから」


「そう。とてもじゃないけど、あの子では可哀想で不憫だもの」






 私を逃がさないように取り囲む、父様と母様の(さえず)り。

 父様は、笑って私の肩に手を置く。

「やってくれるね? お前は、優しいあの娘と同じだから」

 同じ? ――――違うでしょう。

 


 水に映したかのような容貌。

 木霊したかのような声。



 それでも、可哀想なのは、あの子だけ。

 不憫なのも、あの子だけ。

 私は、あの子に似ている、あの子の代わり。

 母様は、微笑んで私の手を握る。

「平気よね? お前は、あの娘と同じだから」

 



 ―――――やめて。



 私はあの()じゃない。



 私なのは、私だけ。





 

 あの子と同じだなんて、いわないで。








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