鬼を倒しました。後、ガイルさんも倒しました。
さてどうしましょうね。確率操作は防御は完璧なんですけど攻撃には向いてないんですよねー。
特にこう言う防御が高い敵には。
私が、どう倒すか考えてる間も鬼は私に向かって攻撃を仕掛けるが、その全てが私を捉えることは無かった。
「どうなってるかは分からんが貴様に攻撃が当たらないならば先に雑魚共を蹴散らすまでだ!」
鬼が私から、兄さん達に標的を変え攻撃を仕掛ける。
「兄さん達、動かないで下さいね」
「動かないと死ぬのですよ!?」
「大丈夫。ユキネを信じよう」
兄さんがガイルさん達の前に立ち目をぎゅっと閉じ衝撃に備えるが、鬼の拳は兄さん達を捉える事は無かった。
「私以外には攻撃が当たると思いましたか? そんな事させる訳ないでしょう」
「小癪な……ならばこれでどうだ!!〈クリアプリズン〉」
鬼が、地面に手をつけ魔法を発動すると私と鬼を隔離する様に、透明な四角形が現れる。
「ふはは、この中では使用者の我以外のステータスが大幅にダウンする!! 貴様がどれ程の力を持っていてもこの中では雑魚同然だ!」
「ふむ、中々強力な魔法ですね」
私は、四角形をコンコンと叩きながらニヤリと笑う。
「それじゃ、少し本気で行きましょうか」
どうやら、この四角形は外からの攻撃は中に通らず中からの攻撃は外には通らない仕組みの様です。
なので、私の魔法が兄さん達を巻き込む事は無いという事ですね。 だったら、遠慮なくぶっ放せます。
「フッ、攻撃力の落ちた貴様の攻撃が我に傷をつける事は不可能!!」
「確かに、普通の攻撃じゃダメそうなんでこれで行きますね。〈ブラックボックス〉」
私が指をパチンと鳴らすと、空中に小さく黒い四角形の箱が幾つも浮かび鬼の周りを取り囲み、黒い箱が当たった鬼の箇所が文字通り消失する。
「ぐわぁぁぁぁ!! な、なんだこれは我の防御を突破するだと!?」
「その魔法は如何なる防御も貫通し消滅させる魔法です。 更にデメリットとして使用者にも20%の確率で当たります」
ですが、私のスキル【確率操作】で私に当たる確率を0に引き下げてるので、私に当たる事は無いです。
あとは、簡単見てるだけで鬼の部位が少しずつ少しずつ削られて行きその内死に至ります。
「ふわぁ、眠たくなってきましたね」
「こんなガキに我が破れると言うのか……この、鬼の我が!!」
「うるさいんですよ。 貴方の命はここまでですよ。この四角形を発動した事、後悔しながら死んでいって下さい」
やっぱり確率操作は戦闘で使うのはダメですね。面白くないです。
これからは、どうしようもない時にだけ使用しましょう。
私が、一人で納得しうんうんと頷いていると鬼が断末魔を上げながら、地面に血溜まりを作り倒れる。
「終わりましたね。 帰りましょうか」
私は、鬼から視線を外し兄さん達へと振り返る。
「ユキネ! よかった無事で」
「しかし、何故奴の攻撃は俺達に当たらなかったんだ? 不自然に体勢が崩れた様に見えたが」
「……」
アイラさんは私のスキルを知ってる様で黙ったまま私を見つめる。
私は、人差し指を唇に当てニコッと笑いアイラさんにシーっと小声で伝える。
「なんでなんでしょうね?」
私が、あくびをしながら下山しようとするとガイルさんに肩を掴まれる。
「なんでしょうか?」
「疲れてる所すまんが、俺と手合わせしてくれないか」
ほわ? 何故に今?
「なんでですか?」
「お前の戦いを見て、本当に俺がダイヤモンドに相応しいか確認したくなった」
えー、すごくめんどくさいんですけど……。
私が心の底から嫌そうな顔をするとガイルさんが地面に膝を付く。
「頼む! この通りだ! このクエストの報酬の俺の分は全部お前に渡すから」
なんとも綺麗な土下座ですねぇ。
「はぁ、分かりましたよ。 少しだけですからね」
私は、ため息を吐きながら広い場所へと移動する。
「ルールは?」
「なんでもありで頼む」
「わかりました」
私達が、一定距離離れ戦闘の準備が整うと兄さんが真ん中に立ち開始の合図の為、手を上に上げる。
「二人共あんまり無理しちゃダメだからね? それじゃ、始め!」
兄さんが手を振り下ろした瞬間、ガイルさんの姿が消え私の顔目がけて拳を放つ。
私は、首を少し横にずらして拳を避けガイルさんのお腹に手の平を当てる。
「〈双竜〉」
私が手の平を軽く押し込むとガイルさんのお腹から背中にかけて衝撃が貫通し、ガイルさんの口から血が溢れる。
その場で、お腹を抑えてしゃがみ込むガイルさんの顔を膝で蹴り上げ、少しジャンプをし回し蹴りを放つ。
「ガハッ!! なんだ、今のは……」
「双竜って言う、東の大陸の方で伝わる古い魔法ですよ」
この魔法は、空気を押し出す事により強い衝撃を放つ魔法……と言うよりは技術ですね。
「まだ、やりますか?」
「当たり前だ!」
ガイルさんが、拳に炎を纏わせ私に向かって放つ。 私は、その腕を絡め取りそのまま背後へと投げ飛ばし、ため息を吐く。
「もういいんじゃないですか?」
「まだだ!!」
もう、しつこいですね……。
「死んでも知らないですよ……」
私の目が紅く染まり、拳に紅い雷が迸る。
「あれは……まさか!?」
ガイルさんの蹴りを身体を回転させ避けガイルさんの顔面目がけて拳を放つ。
「ユキネ!! ダメだ!!」
兄さんの声にハッとし、ガイルさんの顔面ギリギリで拳を止める。その瞬間、ガイルさんの後ろの山が消し飛び破片がパラパラと落ちる。
「ユキネ今のは〈紅雷竜〉だね」
「危なかったです。 本当に殺す所でした」
「はぁはぁ、なんだ今のは……なんだ、この威力は」
「ガイルさん、大丈夫なのです?」
私は、拳に纏った雷を振り払いガイルさんへと視線を向ける。
「正直に言いますと、格闘戦に頼り過ぎです。 後、動きも直線過ぎます。 そこさえ、直せばダイヤモンドとしてふさわしいかと思いますよ」
ルビーランク如きが何言ってんだって言われそうですけど、その時はその時です。
「もし、力を試したい強くなりたいと思うなら、ルナベル大深層ってダンジョンに挑む事をお勧めします」
私は、それだけをいい兄さん達を置いて一人で下山を始める。
ユキネ・ホワイトベル
レベル 67
ランク ルビー
所有スキルNEW
【鬼神化】




