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悪役令嬢です。ヒロインがチート過ぎて嫌がらせができません!  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
 

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23/49

23話:プロ顔負けのトーク

 ホールはほぼ満席。


 ジャレッドとアナは一階中央席で、特等席。

 これはヒロインラッキーだろう。


 ヴェルナーとセシリオと私は二階席の最前列。

 おかげでジャレッドとアナの様子がよく見える。

 つまり邪魔もしやすいということ。

 これはシナリオの采配だろう。


「紳士淑女の皆さん、本日はようこそお越しくださいました。今から王立エール魔法学園の伝統あるチャリティーオークションを始めさせていただきます!」


 司会の令息が開幕を宣言。

 するとステージの真下にいる、オーケストラ部の学生たちが軽やかなメロディを奏でる。そこに宝石箱を手にした、真紅のドレス姿の令嬢が現れた。


「それでは早速、始めましょう! まず、一つ目はこちらです!」


 ステージ中央に置かれた演台に、宝石箱が置かれた。

 令嬢が宝石箱を開けると、「おおおっ」とどよめきが起きる。


「これは……見ましたか、皆さん! 最初から大変素晴らしいお宝です。これはとある公爵家に代々伝わる宝石の一つ、“麗しのレディのため息”と呼ばれる逸品。まさか、まさか、このオークションに登場するとは! それでは大変な貴重な品ですから、十万ゴールドからスタートしましょうか」


 司会の令息は、まるでプロ顔負けのトークをしている。

 会場はいきなり熱気に満ち、活発に動く。

 番号札を掲げ、セリ落とす金額を口にした。


 次々と手が上がり、すでに三百万ゴールドに達している。

 でもそれだけではまだまだ足りないだろう。


 “麗しのレディのため息”と言われるルビーの宝石。

 まだ宝飾品に加工前の原石。

 持ち主はイートン公爵家だ。つまり出品者はジャレッド!

 宝石自体があまりにも美しく、加工するのが惜しいと、原石のまま公爵家の宝物庫に眠っていた。そんな物が学園のオークションにと思うが、イートン公爵家なのだ。この程度の宝石を出品したところで、名誉となっても、損することはない。


 黒の仮面<アイマスク>をつけているので、ハッキリとした表情は分からなかった。だがジャレッドは今、ドヤ顔だろう。


「おおお、遂に出ました一千万ゴールド! どうですか、他にはいませんか!」


 会場の熱気に、セシリオが苦笑する。


「いきなり一千万ゴールドが出るなんて。これだと一般のオークションと遜色がないね」


 一千万ゴールド。それはすなわち前世の一千万円とイコールだ。

 これが学生のチャリティーオークションとは、にわかには信じられない。

 だが通うのは王侯貴族の令嬢令息。これも妥当なのかしら!?


「出ました! 二千万ゴールド! どうですか、おっと、二千百万ゴールド!」


 最終的な落札金額は七千万ゴールド!

 なかなかの値段だ。


 だが高額落札は、この後も続く。


 一億ゴールドという破格で落札されたのは、黄金の盃! しかも宝石がいくつも埋め込まれている。こんなものを出品できるのは……。


「宝物庫の端っこで、埃を被っている物でいいから、送って欲しいと父君に頼んだのですが……。まさかこんなに価値があるとは。父君は知らなかったのでしょうか? でも落札されましたからね、既に」


 ヴェルナーは快活に笑っているが、会場はもう興奮冷めやらない。


 給仕の男女役の生徒が歩き回り、飲み物のオーダーを受け付けているが、飛ぶように売れていた。


「キャンデル伯爵令嬢も飲み物はいかがですか? ザクロジュースがあるそうですよ」


 セシリオが私を見て微笑んだ。

 ザクロはエキゾチックな飲み物として、貴族には人気だった。


「そうですね。熱気に当てられ、喉も乾いたので、注文します!」


「了解です。ホルス第二皇子もザクロジュースでいいかな?」

「ええ。今回は殿下のおごりですか?」

「当然です」


 こうしてセシリオがご馳走してくれたザクロジュースを飲みながら、再びステージに目を向けると……。


 私が出品したオルゴールが登場した!


 一応宝石もついているが、“麗しのレディのため息”や黄金の盃とは比べ物にならない。


 もっと高価な物を出品すればよかった……と思っていたら!

 オルゴールに付属している陶器のダンスをする人形。

 これが有名な陶磁器メーカーのものと判明。

 しかもアンティークとしての価値も認められた。


 その結果。


 まさかの五百万ゴールドで落札されたのだ。


 これには驚き、「まさかこんなに高額で落札されるなんて」と呟いてしまった。

 するとこの呟きを聞いたセシリオは……。


「え、あれはキャンデル伯爵令嬢が出品したものだったの!?」


 驚きの声をあげる。


「え、ええ。実は」

「そうか……。なんだ、落札すればよかった……」

「えっ!?」

「あ、その、妹が、そう、妹のプレゼントに」

「ああ、なるほど」


 そんな会話をした直後だった。


「いやあ、皆さん、いいお買い物はできていますか? ここで再び目玉商品の登場です」


 真紅のドレスを着た令嬢が、小ぶりの宝石箱を手にステージに登場した。宝石箱は小ぶりだが、それは黄金製。そしてその宝石箱を私は知っていた。


 心臓がドクンと大きな音を立てる。


 ステージ中央の演台に宝石箱が置かれ、令嬢が蓋を開けた。


「こちらはロイヤルブルームーンストーンのイヤリングですが、宝飾品としての価値に加え、逸話が有名なものになります」


 これだ。これがジャレッドが競り落とそうとするイヤリング!


「こちらの元々の持ち主は、今は失われたと言われているエルフの王。彼は人間の女性に恋をして、求婚の際、このロイヤルブルームーンストーンのイヤリングを贈ったと言われています。とある一族の手に渡り、これまで宝物庫で眠っていたそうです。ところがこのまま眠らせておくのはと、今回、出品されました」


「ほおっ」という声が会場で波のように起こる。


「ということで、ロイヤルブルームーンストーンの平均相場である、一万ゴールドからスタートしましょう!」

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