第88話「本物」の「本物」達との週末wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「のわあああああああああああああああああああああああああああああっ!今、凄く学校が揺れたね!月曜日の体育が殺されたよ!」
巨大なクレーターのような穴ができた校庭を見ながらめっちゃはしゃぎ始めた若菜ちゃん。
あーあ、この人も普通の人が怯え逃げ惑う光景を見て喜んじゃってるけど…
まさに「本物」。真人間の感覚ではなくなっている。
沙織はしばらく窓の外を睨みつけていたが、どこからかかなり高性能そうな双眼鏡を取り出すとじっくりと様子をうかがい始めた。
「あーwwwミサイルではないなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれは隕石?wwwwwwwwwwwwwwメテオ・ストライクじゃないか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこのすばの爆裂魔法並みの威力がwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwツインテールがロリなのも被るwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は双眼鏡で校庭を見たまま病んだ笑みを浮かべた。
「ツインテールは凄いね!占いが全部当たったよ!」
若菜ちゃんが喜びをわかちあおうと天使にくっつきながらそう言うんだけど、天使は無表情で若菜ちゃんの顔を見るだけだった。
「また1つツインテールの素晴らしい才能を発見したwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww早く私の家で会議を行わなくてはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は双眼鏡を下ろすと天使を見つめながら嬉しそうに病んだ笑みを浮かべていた。
というか、これって占いが的中したっていうんですかね…
確かにめっちゃ凄いんだけど、なんか占いが凄いというべきなのかな…
天使が言うようにタロット占いは危険だ。
この勢いに乗って「本物」達が暴走しないように監視せねば。
ただでさえ「『本物少女』の定理」が働いて、すぐに「本物」9人分の暗黒パワーが発揮されるからな。
放っておくとこの街全体が破壊されるよ…
全くこの異常事態に動じない鋼の心、いや「本物」の高み達し映画でも見ているような感じの「本物」達。
むしろこいつらはこの状況を楽しんでいる。
校内や外からは部活をやっていたと思われる生徒が逃げ惑う悲鳴が響き渡る。
沙織同様、他の「本物」達も、この狂った状態に目を輝かせているようだった。
その日の夜。僕達は沙織の家に泊まらせてもらうことになった。
僕の両親と沙織のお母さんが話しあった結果、僕は10日から2週間程度沙織に家にお世話になることになった。
それくらいでどうやら僕の家が建て直されるらしい。
僕の両親はお父さんの職場の近くのホテル住まいになるとのこと。
全ていつも通り沙織の家に払ってもらうみたいなんだけど、家を建て直すってどれくらいお金がかかるんだろうか…
しかし10日で家が完成するというのも、めっちゃ早すぎてなんだか恐ろしいんだけど!!!!
あとどういうわけか若菜ちゃんも天使も一旦自分の家に帰ってから大荷物を持って沙織の豪邸にやってきた。
こいつらどれくらい沙織の家に居座るつもりなんですかね…
少なくともこの金土日の週末は「本物」達は一緒にいるつもりなんだろうな。
そしてずっとああだこうだ言いながら、そんなに大事とも思えない話を「本物」達は繰り返していた。
それを僕は黙って聞いていたんだけど、これは沙織がいうところの「緊急会議」ではあるので、めずらしく僕は意見を言ってみることにした。
「なあ、沙織、もう天使にタロット占いをしてもらうのは止めた方が良いんじゃないのか?天使も危険だって言ってるしさ」
沙織は意味が分からないような顔で病んだ笑みを浮かべた。
「なぜだ?wwwwwwwwwwwwwwwwwww差身は素晴らしい発見があるとすぐに隠そうとするのは悪い癖だぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「いやだって、またさっきみたいなことが…天使も占いは止めた方が良いと思わないか?」
僕が天使に話を振ると、天使は無表情で僕の方を向いた。
「私はみんなが良いなら平気。この世の中が滅びると楽」
天使が小さな声でそうつぶやくと、若菜ちゃんもあんまり良く考えていなさそうな顔でそれに続けた。
「そうだよ!差身君もリア充みたいなこと言わないで!この世界を破滅させようよ!」
「そうだぞ差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこの間違った国を正すには滅ぼすしかないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwそしてツインテールを否定するようなことを言ってはいけないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwツインテールはタロット占いは危険とは言ったがタロット占いが好きじゃないかwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
あれ?そうなのか?
沙織にそう言われて天使がタロット占いが嫌いだと自分が思い込んでいることに気づいた。
「天使はタロット占いが好きなのか?」
僕が天使にそう聞くと、天使は無表情のまま僕を見て小さな声でつぶやいた。
「タロット占いは好き」
ああ…そうだったのか…
やはり「本物」同士のシンパシーが存在するのだろうか?
沙織は天使がタロット占いが好きなのを見抜いていたのだ。
いや、見抜くというよりは、天使が楽しそうにタロット占いをしているように沙織は感じてたんだろうな。
僕には全然その辺がわからないんだけど、天使が好きな物を無理矢理止めさせるのは良くないよね。
てっきり天使はタロット占いが嫌いだと思ってたんだけど、そうじゃないのならもう少し様子を見てみるか。
「そうか…天使がタロット占いが好きだったら良いんじゃないかな。でも危険だから気をつけてやろうね」
「わかった」
僕が天使が嫌な気持ちにならないようになるべく優しくそう言うと天使は短く返事をした。
「じゃあそろそろ『本物』の『偉大なる実験』などを少々wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwニャンパス史上最大の奇跡をみんなで確認することにしようwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwツインテールよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwお前が主役だwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwさあ占ってくれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwうひひひひひxひxひxひxひxひxひっxひぃhぃwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が狂った様に笑い出すと、天使はタロットカードを取り出しキリ始めた。
「じゃあ私からお願いするね。私のスマホ、戦争中に少しヒビが入ったから直したい!」
若菜ちゃんは端の方が少しヒビが入ったスマホを取り出すと、あんまり考えていなさそうな顔で笑った。
またそんな占いとはかけ離れたお願いをして…
でも天使はあまりそれを気にしていないようだった。
「わかった」
天使は教室の時と同じように、躊躇なくすぐにタロットカードを1枚机に並べた。
「節制。直った」
天使がカードを見ながらそう言って若菜ちゃんのスマホを見ると、いつのまにかスマホのヒビはキレイになくなっていた。
「やったー!これで誰に見られても恥ずかしくないよ。ツインテールありがとう!」
若菜ちゃんはあんまり考えていなさそうな顔でめっちゃ喜んでいたが、天使はただ無表情でそれを見ていた。
「次は私だwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこの戦車が欲しいんだがどうすれば良いんだ?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれこれⅣ号戦車D型がwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はスマホで何かを物凄い勢いで検索しながら天使に言うと、スマホの画面を天使に見せた。
あー、これってあれか…沙織が最近戦車道とか言って騒いでたやつか…
確かガルパンというアニメだよな。
あいつ「戦車道をやりたいwwwwwwwwwwww秋山殿の魂をwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」とか言ってたけど、沙織も占いを勘違いしてるとしか思えないことを言い出したな…
「わかった」
天使は再び平然とカードを机の上に置いた。
「皇帝。庭に行けば見つかる」
沙織は天使が小さくつぶやいたのを聞くやいなや、めっちゃ興奮したように病んだ笑みを浮かべながら部屋の外に飛び出していった。
僕達3人も後に続いて行くと、沙織は玄関の外のめっちゃ広すぎる庭に飛び出した。
そして沙織の前には黒い巨大な影が立ちふさがっていた。
僕達もすぐに沙織の横に駆けつけたんだけど、沙織の目はめっちゃ光り輝いていた。
「ニャンパススウウスススススッスウウスススウゥゥッゥゥウゥゥゥゥゥッゥゥ!!!!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
めっちゃ興奮した様子で叫ぶ沙織の目の前には、さっきスマホで検索して天使に見せた戦車「Ⅳ号戦車D型」が凛として停車している。
「のわああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!凄いよ!凄いよ!ツインテールの占いがまた当たったよ!!!!」
あんまり良く考えていなさそうな顔で若菜ちゃんはぴょんぴょん跳ねながら喜んでいた。
僕はじっと目の前にある戦車を見上げてたんだけど、やっとこのタロット占いが何なのかわかった気がした。
天使のやるタロット占いは恐らく特別なもの。
もしかするとタロットがなくても発動する特殊能力ではないのだろうか?
僕は横にいる天使に目をやると、やはり無表情で目の前にある戦車を見つめていた。
これは今後天使とうまくやっていくためにも「本物」達を制御するためにも確認しないといけない。
天使のとてつもない「本物」の力。
それが何か見えてきた時、僕は天使をどう受け止めていけば良いのか考え始めていた。




